「ぐっ……！いや、待てよ……なぁフジ、これも冗談だって言わないよな？」
「おや、今日は鋭いね……私の扱いにも慣れてきたのかな？」
「あっ！ということはフジ！また俺を騙そうとしたなーっ！」
「ふふっ、やっぱり君は面白いなトレーナー……いつも私の言葉を信じるじゃないか」
「？そりゃトレーナーが担当の言葉を信じないでどうするんだ」
っ！……まったく、何時こういう言い方が出来るようになったのかなこの人は
「信頼されてるのは嬉しいけど少しは疑問に思ってもいいんじゃないかな？」
「そうは言ってもな……最初に私を信じてくれって言ったのはフジからじゃないか」
ああ……この人は契約を結んだ時の言葉をまだ覚えていてくれてたのか
私だっておぼろげな記憶だったのにこの人はずっと覚えていたのか……
「そうだったかな？ごめんね、3年前の記憶だから忘れてたよ」
「えーっ！？俺あの時の言葉で頑張ろうって思えたのに……」
「それはすまなかったね、それじゃあ今度クッキー作ってあげるから許してくれないかい？」

「本当か！？やったー！俺フジが作るクッキー大好きだぞ！毎日食べたいぐらいにな！」
またそうやって一切の邪念無しにストレートに好意をぶつけてくるんだね……
まったく、それを数年間真正面から受けた私の気持ちを考えてくれないかな
でも君はそういう所は鈍感だからね、気づかないんだろうね
遠回しに伝えたって伝わらないその性格、一回タキオンくんに矯正でも頼んでみるのもアリかもね
「喜んでくれてなにより、じゃあ来週の月曜に渡すから期待しててね」
「おう！それじゃあまた来週な！クッキー待ってるからな―！…………待ってるからな―！」
遠くからでも聞こえる嬉しそうな声、これだけで喜ぶのは実にリーズナブルだね
でも……トレーナーが喜んでくれるのは、嬉しいかな

「えーと……うん、これで大丈夫だね」
翌日私はトレーナーに渡すためにクッキーの材料を買っていた
「今回はバニラとココアのクッキーで良いかな……喜んでくれるといいけどね」

「枚数はいくつが良いかな……各10枚ずつで足りるかな……おや？」
商店街を歩いていると見知った後姿を見つけた……見間違いようのない、私のトレーナーだ
「今日は休みとは聞いていたけど……まさかここにいるなんてね」
世界は広く見えて案外狭いのかもね、でも何の用事だろうか
「今はちょうどお昼、か……うん、トレーナーにお昼を奢ってもらおうかな」
彼へのいたずらごころが働いてしまったようだ、まあ彼なら快諾するだろうけども
どうせなら後ろから驚かせてみよう、そう考えた私は彼に近づ――

「え！？本当ですか！？いや、なんというか照れますね……」

――くことが出来なかった。だって、見えてしまったから
彼が一緒にいた見知らぬ女性と話してて、私に向けたことのない顔が見えてしまったから

なんで？どうして？頭の中で答えの無い疑問が繰り返される
彼が色んな人と話すのは特に珍しいことでもない、何故なら彼は人気者だからだ
だから気にする必要がなかった、はずなのに、私だけ時間が止まってしまったようだ
なんで、そんな、優しい顔で、その人を見てるの？
いやだ、見たくない、いやだ、逃げたい、逃げたい、逃げなきゃ――
「はーっ……！はーっ……！はーっ……！」
――気づいたら私は自分の部屋の前に立っていた、それまでの記憶がない
身体が、熱い、汗が、止まらない、息も、落ち着かない
「はぁ……はぁ……なんで？なんで？どうして？」
疑問を投げかけても答える誰かはいない、今ここにいるのは私一人だけ
「部屋、入らなきゃ、入って、落ち着かなきゃ」
まずは手と顔を洗わないと、汗がへばりついて気持ち悪い
洗面所へ向かい鏡に目を向けた、そうしたら

今にも崩れそうな私の顔を見せつけられてしまった

「あ……あ、あああああああああああああああ！！！」
現実に引き戻された私は叫んだ、今まで出したことのないぐらいの声で
私にはもう叫ぶしか選択肢に残っていなかったのだ、それしかなかった
「あああ……あぁ……トレーナー……」
叫び終えた後の第一声がトレーナーだった、心の底では望んでいたのかもしれない
「トレーナー……どうして……どうして……」
私とトレーナーはこれからもずっと一緒だと、根拠もない事を信じていたのかもしれない
「トレーナー……やだぁ……やだよぉ」
玩具を取られた子供の様に泣く私、でも助けてくれる人は誰としていない
一人しかいないこの部屋で泣く、でも後悔は先に立たない
「あ……クッキー……クッキー作らなきゃ……」
クッキー？……なんでクッキーを作るんだっけ？
「クッキー作らなきゃ……トレーナーが喜ぶから……」

トレーナーが、喜ぶ、私のトレーナーが、私に見せたことのない顔で、あの女を見る
手が動かない、足が動かない、作らなきゃいけないのに、脳が拒否してる
これまで感じたことのない喪失感、胸の中が空いたような感覚
その空虚が私を妨げる、ダメだよ、作らなきゃ、いけないのに
やっと動いた手足、クッキーの材料が入った袋を手にした私は――


――クッキーを作るなんて出来やしなかった

本日の天気は大雨、バ場は不良となりました。雨に濡れぬようご注意ください

なんでこんなことになってしまったんだ……

>「本当か！？やったー！俺フジが作るクッキー大好きだぞ！」
かわいい
>「毎日食べたいぐらいにな！」
おいおいおい

晴れるよな？そうだと言ってくれ

続編は！？続編はまだですか！？

取り敢えず私の言い分を聞いてほしいんだ
アンジャッシュ構文で書こうとしたら筆があらぬ方向に走ったんだ

このトレーナー相当数をひっかけてそうだな…

そうか
ちゃんを続きを書けば許してやろう

リアルタイムで書いてやくめでしょ

まだアンジャッシュです済むぞ
さあ筆を取って続きを書こう

早く書いてくれないと寝不足になるので頼む

すいません時間下さい…

いいんだ…描いてくれればな！

待つ！

時間があれば書いてくれるんですか！？

書け書かないとお前は俺の返り血で真っ赤に染まることになる

「」がなんか魔人ブウみたいになってる…

こういうモテるタイプの子が喪失感に飲み込まれるのは私の性癖にあっていますよ！

しかし担当を泣かせるのはトレーナー失格なのではないでしょうか？

>書け書かないとお前は俺の返り血で真っ赤に染まることになる
デジたんのレス

フジ相談できる相手はヒシアマゾンぐらいだけかな？

ｺﾝｺﾝ
ドアを叩く音がやけに遠く聞こえる、世界が灰色に見える
今の私はベッドに横たわるだけの人形、糸が切れたお人形
立ち上がれない、力が入らない、最早私は生きてるだけになってる
ｳﾞｰｯｳﾞｰｯ
今度は携帯から音が聞こえる、誰の……私のか
それでも手が動かない、指も動かせない、触りたくない
窓から溢れる光が眩しい、もう私には掴めない眩しい光
私はバカだった、世界を何も知らない子供だった
世界は私の思いのままに動かせると思っていた、さっきまでは
ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ
またドアを叩く音が聞こえた、さっきより五月蠅く聞こえる
もう何も見たくない、聞きたくない、閉じていたい

来たのか！？

……ｼﾞ！……ﾙｶ！　ﾄﾞﾝﾄﾞﾝ
何か話してる声も聞こえてきた、聞きたくない
もうどうだっていい、どうだっていいんだ
私はピエロだったんだ、それを私は知らなかっただけなんだ
顔に温かい何かが伝う、これは、涙か
さっきで出尽くしたと思っていたのにまだあったのか
ｶﾁｬｶﾁｬ　ｶﾞﾁｬｯ
ドアの鍵の音？さっき閉めたのに、誰かに開けられた？
「―――――――――フジッ！！」
聞こえた、私がいつも聞いている、あの人の声
な、んで、聞こえるはずがないのに、聞こえるんだ
「いるかフジ！いるなら返事をしてくれ！」
いや、幻聴じゃない、これは私が一番好きな、あの人の声

わっふるわっふる

「フジー！いるかー！……あっフジ！ここにいたのか！」
おかしいな、トレーナーが目の前にいる、なんで
「やっぱりさっき商店街にいたのフジだったのか！」
ﾄﾞｸﾝｯ　胸の鼓動が一際大きくなった、いやだ、思い出したくない
でも思い出してしまう、あの時の、あの光景が
「凄い速さで走っていったのが見えたからな！心配したんだぞ！」
心配？なんで、なんで心配してくれたの、その優しさが、私を刺しているのに
貴方に優しくされるだけで、泣きたくなるのに、縋っても良いと思ってしまうのに
「商店街で話した人が言わなかったら気づかなかったけどな……何があったんだ？」
ﾄﾞｸﾝｯ　また、心臓が大きく動いた、貴方と話していた、あの女
「いやーあの人が気づいてくれてよかったよ、なんせ――――」
嫌だ、嫌だ、聞きたくない、やめてよ、言わないでよ、だって私はもう――――

いつも女の子をポニーちゃんと呼ぶ寮長があの女呼びする様に興奮を覚えちゃいますよ

「俺とフジの大ファンだって言ってくれたからな！」
――――え、
「フジのファンならいっぱいいるけどなーまさか俺のファンがいるとは思わなかった！」
ウソ、ウソだ、だって、だって貴方は、あんな顔をしていたのに
「サインまでねだられるとは……思わずニヤニヤしちゃったよ！」
そう話すトレーナーの顔は、あの場で見たトレーナーの顔と一致してた
まさか、そんな、じゃああの時私が見たのは……私の思い違い、だった
「それでなフジ！色んな人にフジが今どこにいるか聞き込みしていたら――――」
「ひぐっ……うわあぁぁぁぁぁぁぁん！！」
「おおっ！？どうした！？どうしたフジ！？どこか痛いのか！？」
心に溜まっていた膿が全部吐き出されたように私は泣いた
「ひぐっ……だってぇ、だってぇ、トレーナーがぁ……うわぁぁぁん！！」
「俺か！？俺が悪いのか！？ごめんな！何か分かんないけどごめんなぁ！！」

>「俺か！？俺が悪いのか！？ごめんな！何か分かんないけどごめんなぁ！！」
一番ダメなやつ！

クソボケ！

良かった…安心して寝られる…

――⏰――
「……なぁフジ、いつまでこうしていればいいんだ？」
「なんだいトレーナー、まだ私がいいよって言ってないよ」
「いやぁそうは言うけどさ……抱きしめたままってのはいかがなものかと」
「私がいいって言ってるんだからトレーナーは考えなくていいんだよ、ほら頭撫でて」
「あぁ……わかった……」　ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「〜♪」
あれからトレーナーと長い時間話し合った、全部私の勘違いだったらしい
「でもフジ……罰とは言えなんでこうなんだ？もっとこう……あったんじゃないか？」
「いいや？これが今の君にふさわしい罰だよトレーナー、撫でるの止まってるよ」
「おっとすまんすまん……」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「んふふ……♪こうしてトレーナーに撫でられるとね、落ち着くんだ」
「そうなのか？良く分からないが……フジがそうならそうなんだろうな」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

俺にはわかるぞ
部屋の前でポニーちゃんたちがキャーキャーしてるんだろう…

こういうのでいいんだよこういうので
ありがとうスレ「」

素晴らしいです

素晴らしいですっっ！

何だい今日は随分と記者の数が多いようだが？

気ぶり記者

いつも余裕の寮長がわかりやすく甘えるのいい…

つまりトレーナーさんは
自分の将来すべてを担当ウマ娘に捧げるということですね！？

…？大抵のトレーナーは皆そうでは…？

「ねぇトレーナー……この罰が終わったら次の罰についてなんだけどね……」
「えっ！？まだ他にも罰があるのか！？聞いてないぞ！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「たった今私が作った、その罰なんだけどね……その、クッキー、一緒に作らないか？」
「え？……それが罰？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「ああ、この私を弄んだ罰さ、因みに拒否権は存在しないからね」
「弄んだ！？俺が！？いつだ！？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「そんなことも分からないのか……少しは乙女心と言うのを勉強したらどうだい？」
「乙女心！？そういうのは勉強でどうにかなるものなのか！？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「そういう質問をした時点で分かっちゃいないよトレーナー、さて、もういいよ」
「？おう？それでどうするんだ？俺クッキー作ったことなんてないぞ？」
「大丈夫さ、そのために私がいるんだからね……ｱﾘｶﾞﾄ」
「なんか言ったかフジ？」
「何も？じゃあ早速準備しようか、ああ心配しなくてもいいさトレーナー、だって――――」

「――――今から作るクッキー、絶対に美味しいからさ」

終わった……書き終えたぞ！即興ながら上手く書けたと思う！たぶん！メイビー！

尊敬に値する

グレートだ

後半のスパートが素晴らしい末筆ですね

素晴らしい出来だ
素晴らしい出来だ

神はいる。そう思った。

素晴らしい
寝ずに待っていた甲斐があった

最初やらかしたなーと思ったけどどうにか軌道修正できてよかった……
女の子は笑顔が一番だって本にも載ってますからね

個人的にはあのまま曇りってのも良かったよ
フジが幸せになってるのも好き！！

幸せが確約されてないと曇りを楽しめない心の弱い人間ですまない…

「うん、これで後は焼きあがるのを待つだけだね」
「なんか工作みたいで楽しかったな！」
「お菓子作りはそういう楽しみもあるからね……それとねトレーナー」
「……？どうしたフジ？」
「私はね、昔から欲しいものはどうしても手に入れたい性格でね」
「今ね、どうしても欲しいものを見つけたんだよ、誰にも渡したくないのが」
「しかもそれは早くしないと誰かに盗られる心配のある替えの利かないものなんだ」
「そうか！俺に何か手伝えるものはないか？」
「君だよ、トレーナー、私は、トレーナーが欲しいんだ」
「……？？？俺はフジ以外のトレーナーになる気は今のところないぞ？」
「……これは今まで素直になれてなかった私の責任かな」
「？？？？？」

いけーっ！

しとめろー！

勝負服の谷間を触らせるくらいから始めるか

勝負服の前はトレーナーがクソボケだから開けてる説

トレーナーが独占欲を得るまで開けっ放しになるシャツ

素晴らしいなあ...

>勝負服の前はトレーナーがクソボケだから開けてる説
暑いのか？まあレース後だからな！クーラー付けるか！

勝負服の具合確かめた後ちょっと汗かいちゃったからとトレーナーからタオルを借りて谷間を拭いて返す系ウマ娘だと思ってます

抱け…っ！抱け…っ！

攻めろ攻めろ
躊躇せず行かないとクソボケには分からないぞ

これトレーナーもだいぶフジ寮長に依存？してますね
フジキセキといつか離れ離れになっちゃうかもとか微塵も考えたことなさそう

>これトレーナーもだいぶフジ寮長に依存？してますね
>フジキセキといつか離れ離れになっちゃうかもとか微塵も考えたことなさそう
俺はずっとフジといるが？と素で返すやつ！

>これトレーナーもだいぶフジ寮長に依存？してますね
>フジキセキといつか離れ離れになっちゃうかもとか微塵も考えたことなさそう
それでもめちゃくちゃ落ち込んだ後新しい担当と出会ってなんだかんだ支え合って立ち直りそう
とフジキセキの方は思ってると良いなって

「ねぇトレーナー……昨日言った事なんだけどさ……」
「昨日……あっ！ツチノコの話か！？」
「いやそっちじゃなくて……お詫びの方、あっクッキーじゃないのね」
「クッキーじゃないのって言うと……フジが言っていた胸の話か？」
「うんそっちの話なんだけど……その、触ってみたくないかい？」「え？」
「トレーナーだったら触ってもいいと言ったんだよ……いつでも、ね」
「なっ……！？どうしたフジ！？」
「どうしたんだいトレーナー？そんなに慌てて……」「顔！」「え？」
「顔！凄い真っ赤だぞ！ほら鏡！」「えっ……あっ」
「…………待ってトレーナー……今こっち見ないで……」
「大丈夫か！？熱でもあるのか！？ちょっと良いか！」ﾋﾟﾄｯ　「あっ……」
「うーん特に熱っぽくはないようだが……」　「あっ、あのっ、トレーナー？」
「ん？」「か、顔、近、近い……」「おおっすまなかったな！」ｽｯ　「あっ……」
「……トレーナーは良く人に鈍感が過ぎるとか言われたことないかい？」
「？？？？？」

クソボケがー！！！

いい…
もう挑発とかできなくなった寮長…

そろそろ眠いのでここ落ちたら寝ます

お疲れ様
明日以降も待ってますとも

このトレーナー自分がフジキセキ大好きなこと自覚してなさそう
担当としてじゃなくて女性的な意味で

>このトレーナー自分がフジキセキ大好きなこと自覚してなさそう
>担当としてじゃなくて女性的な意味で
トレーナーとして安心できるな！

>クッキー？……なんでクッキーを作るんだっけ？
>「クッキー作らなきゃ……トレーナーが喜ぶから……」
>トレーナーが、喜ぶ、私のトレーナーが、私に見せたことのない顔で、あの女を見る
ここの最悪の連想いいねぇ…

気付いたらどうなる

むっ…意図的にトレーナーを振り回すフジキセキと意図せずに愛バを振り回すトレーナーのカップルいいねぇ…