それだけならまだ赤面をするほどではなかったのだが、
向かった先がカップル割りみたいなサービスをしている水族館だったのがまずかった。

入り口にてリョテイは、さも「カップルでーす」と言った感じで腕を組んできた。
しかもいつもみたいな服装ではないせいだろう。二の腕に柔らかい感触が直で来たのだ。

「えー？トレちゃん今更オレに女感じちゃった？」
「……勘弁してください」
今日は色々と精神が削れそうだ。

しかし、その後は普段と変わらないやり取りが続いた。
今までもそうだったように大体はリョテイに振り回されているだけだったが、不思議とストレスではなかった。
彼女は大雑把にふるまってはいるが、実のところ相手のキャパの把握が上手いのだろう。
とは言えそれが気配りや配慮みたいな良い働きを見せる事もあれば、
逆に相手を手玉に取ったり、的確に煽ったりする悪い働きもするのだが。

「外面はいいもんなぁ…」
「あぁん？なんか言ったか？」
そんな彼女のとの日常を思い出しつい口が滑った。

「いえ何にも」
「ったく、トレちゃんずっとうわの空じゃねーか、今日はオレへのご褒美なんだろ？」
「……そうだったな……すまん」
「はー……しゃーねぇ休憩すっか」

気づけばもう夕方に差し掛かるような時刻だった。
楽しんでいた上にうわの空だったのだ。時間の経過はあまりにも早い。
これが最後かもしれないと言うのに、ずいぶんと情けないエスコートだった気がする。

彼女に連れられ、水族館の一角に設けられていた個室アクアリウムコーナーへと向かった。
……またスタッフに見せつけるように腕組んでくるのはやめてくれないかな。

「ほら」
「ん」
彼女からもらった缶コーヒーを開け、椅子に座りながら眼前の床に広がるアクアリウムを眺める。
どうやらこのアクアリウムはふれあい要素も入っているらしく。
「ここ泳いでもいいってよ」
「ほー、水着持ってくればよかったな」
確かにこれはアクアリウムと言うより海を模したプールだ。
はしゃぎ過ぎたかエアコンのせいか少し体が暑い事もあり、水着の貸し出しがあったら喜んで入っていただろう。

「プールか……」
「なーに思い出したのかなートレちゃーん」
「その返しをした時点で分かっているじゃないか」

彼女のとのエピソードは色々あれどプールの溺れた振りと言うのももはや定番の話題だ。
本当に色々あったんだなと改めて感傷に浸る。……いや……この感情は哀愁のほうか。

「トレちゃん」
突然、さっきとは打って変わって低いトーンでリョテイが話しかけてくる。
「何か言う事があるんじゃないのか？」
こちらの胸の内をすべて知っているかの様に言葉を続ける。
「幸いここは個室だぜ？言いたい事ドバッと言っちゃても聞いてやるよ……最後なんだし？」
彼女はキャパの把握の達人だ。それが良い方に向くか悪い方に向くか…この場合はどちらだろう。

「……リョテイ、まだ走りたいと思うか？」
「あ？」

かのドバイ優勝からの香港優勝。彼女の実力は相当の物だと言うのは誰もが気づいた。気づいてしまった。
なら今まで2位3位が多かったのはどうして？逆境になれば覚醒する？
そういう言葉が飛び交うのは当然で、果てには、
「トレーナーの腕が悪かった、そう言われてね」
「……」
「リョテイの引退を取り下げて、新しいトレーナーと再度スタートなんていう話も出たんだ」
「……」
「皆薄々感じてはいたんだろうなお前の走り方に……仮にもトレセンのトレーナー達だ、見る目があるんだよ」
「……で？」
「……一応断ったが、本人の意見も聞いてからでって事にな」

リョテイが冷ややかにこちらを見つめる。コーヒーは飲み干したのか、スチール缶が握りつぶされていた。
「なぁトレちゃん？オレ走る事が嫌いなんだよね」
「知ってる」
「やれウマ娘の本能だのなんだのって言うならこれがオレの本能よ」
「俺はそれでいいと思っている、だから断ったんだ」
「……今思えばよくオレのトレーナー続けてくれたな？」
「嫌々言いながらも走ってはくれたし、それに……」
「……それに？」
「……」
「おい！終わりか！？」
「いや！違うんだ！トレーナー続けてた理由はまだあって…！ただ……気配りが良いとか面倒見が良いとか…レースに関係ない事ばっかだなって…」
「……っ」
「…………あぁ…そうか」
言いたい事。ドバッと。
「俺は競走バであるキンイロリョテイだけじゃなく、キンイロリョテイそのものに惚れ込んでたんだな」

「だからそう……寂しいんだろうな、お前が学園から去るのが、レースに勝った負けたじゃなく」
「……」
「お前が卒業したら俺は新しいウマ娘のトレーナーになる、だからお前個人に入れ込んじゃいけないとは思うんだが」
「……」
「……別に走らなくたっていいじゃないか！リョテイの魅力はそこだけじゃないだろう！香港とかだってあれはむしろ本調子じゃなかったせいで…！」
「はいストップ！ストップ！」
語気が強まりだした頃に、リョテイから頬を両手で押さえつけられ止められる。
「もう言葉の前後がつながってねーぜ」
「……すまん」
俺が単純と言うのもあるだろうが、やはり彼女は他人の手綱を操るのが上手い。
「まーなんにせよ？トレちゃんのオレへの熱いラブっつーのは分かったわけだし？」
「…えッ！？いや……え？」
「丁度いい案があるんだよね」
そう言うと彼女は両手を頬から胸元になでるようにずらし、プールへと俺を投げつけた。

「ぶへっ！？」
幸いそこまで勢いよく投げつけられたわけでもなく、プール自体も深くない。
底に足を付け立ち上がり、何をするんだ…と言おうとした矢先にリョテイもまたプールへと飛び込んでくる。
「お…おい！リョテイ！急にどうした！？」
「んー？いやー話を聞いてさー……いい加減覚悟決めんとなーって」
「覚悟って……え…いやリョテイ！服！」
水に塗れた彼女を目視してぎょっとした。

あの黒いワンピースが透けてしまっている。
おかげで布越しでも分かるほどはっきりと彼女の下着が見えてしまう。
……しかもこれはいわゆる下着として機能してないタイプだ。

「おーっと逃がさねーぜー」
目を背けた所をリョテイは抱き着いてきた。

「なートレちゃん、現役のウマ娘が故障とかでもないのに走るのを止める理由って何が思いつくよ？」
「な…何って……いやていうか胸！胸当たってる！」
いままでの柔らかい感触だった理由が分かった。布が胸を固定していないんだコレ。
必死に彼女をはがそうとするが、やはり力はウマ娘である向こうの方が強く。

「こ・と・ぶ・き・なんとやら」
その言葉に引きはがす力すら止まる。

「ご褒美まだもらってないもんなー、あと引退の手土産的な？」
「…………いや」
「おっと！あいにくオレはもう生徒じゃないぜ？そしてもうトレちゃんとの今までの関係もこれで最後だもんな？何の問題はないぜ？」
「いや、いやいやいや」
「さすがに身重になったらそう言う野暮なスカウトも来なくなるし、円満に走らなくて済むって寸法よ」
「待って…待ってリョテイ」
「待たない…」

ようやくちゃんと彼女の顔が見れた。
水に塗れ、顔を赤らめた……いつも見ていた、俺の惚れ込んだ女の顔だ。

「覚悟決めてよ…――」
再び抱き着き、彼女は耳元で、か細く口にした。「トレちゃん」ではなく、俺の名前を。
彼女はキャパの把握の達人だ。これは良い方。

キンイロリョテイ様宛『一心同体デートプラン』ご利用明細

・メジロ水族館デートプラン
　・追加オプション
　　・MEZIRO　オーダーメイドワンピース(水に濡れると透ける機能付き)
　　・MEZIRO　オーダーメイドクロッチレスランジェリー
　　・一新同体用鍵付き個室アクアリム
　　・専属販売缶コーヒー(うまぴょい促進効果付き)
　　・疲労回復ドリンク『ウマピョイZ』5本入り

・メジロUs2泊3日ご利用プラン
　・疲労回復ドリンク『ウマピョイZ』20本入り
　・衣装レンタル
　　・MEZIRO　勝負服レプリカ
　　・MEZIRO　トレセン学園制服レプリカ
　　・MEZIRO　うまぴょい用スクール水着
　　・MEZIRO　オーダーメイドクロッチレスランジェリー3点

・割引
　・一心同体割(60%OFF)
　・お友達紹介割：サイレンススズカ様(5%OFF)
　・うまぴょい大成功割(30%OFF)

キンイロリョテイ様のまたのご利用をお待ちしております。
あなたにも更なる一心同体のあらんことを。

メジロシティかな
メジロシティだったわ

アイツら寿引退したんだ！

見てスペちゃん
リョテイがとうとうやる事やったわよ

ステマ配合ってそういう

すごい長くかかりましたねスズカさん

メジロは固有名詞が出なくても途中でなんとなくわかるな…

クソ長領収書で笑ってしまった

ステマ配合ってメジロシティでリョテイとトレちゃんがうまぴょいすることだったのか…

>・メジロUs2泊3日ご利用プラン
ウワーッ！

謎の割引サービスな水族館で全てを察した顔

ちゃっかりスズカさんの推薦だったんですね

イチャイチャリョテイ怪文書はいつか癌に効くようになる

>見てスペちゃん
>リョテイがとうとうやる事やったわよ
仕組んだのスズカさんですよね！？

紹介割がもし重複ありなら紹介だけで100%オフ行きそうだな…

こうして生まれたステマの子らは皆荒れ狂うものを持った子に

俺全然メジロシティだと気付かなくてメジロバレまでハラハラしながら読んでたわ…

水族館で泳げるところで察した

ドリームジャーニー・オルフェーヴル・ゴールドシップ・ナカヤマフェスタ・フェノーメノ・オジュウチョウサンその他多数「で、俺が生まれたってわけ」

突然個室が現れて我に返った

スペちゃん
リョテイは私たち同期のなかで一番長く現役生活してたの
およそ5年よ
ウマ娘的に16才でデビューだから香港制覇してる時点で21才よ

何だかんだでお互い身持ちが堅かったんですねスズカさん

>ドリームジャーニー・オルフェーヴル・ゴールドシップ・ナカヤマフェスタ・フェノーメノ・オジュウチョウサンその他多数「で、俺が生まれたってわけ」
気性難ばっかじゃねえかよお！

>スペちゃん
>リョテイは私たち同期のなかで一番長く現役生活してたの
>およそ5年よ
>ウマ娘的に16才でデビューだから香港制覇してる時点で21才
でも馬->人の換算だとおよそ3倍で15年だよな…31歳なんじゃ…

>でも馬->人の換算だとおよそ3倍で15年だよな…31歳なんじゃ…
スペちゃん。触れちゃダメよ

>31歳
なんか…これはこれでエロそうだな…

>仕組んだのスズカさんですよね！？
半分正解よ
思い詰めた顔で「そろそろ勝負決めたいので協力してくれ」
って相談された時はウソでしょ…？って天を仰いだわ…

むぅ三十路リョテイ…

親父(？)のデレデレ姿を眺めるゴルシやオルフェやフェスタ...

子だくさんの家庭を築いたってわけ

>「覚悟決めてよ…――」
が非常に味わい深くなってきた

二泊三日！？

すっかり口調も丸くなったと思いきやトレちゃんと二人きりのときは昔の口調に戻るんだね…

>向かった先がカップル割りみたいなサービスをしている水族館だったのがまずかった。
これだけでメジロ認定は少し掛かっていた
あってた

30代になって諸々先の見えてくる年代になってるリョテイ…
なんかドラマの最終回ぽさある

エロ下着プレイにハマってる…

メジロシティとわかった途端絶対ハッピーエンドが保証されるからありがたい

4才が人間でいう20才で、以降は一年あたり2.5才で年を数えるから、リョテイの香港制覇は大体28才くらいよ

>4才が人間でいう20才で、以降は一年あたり2.5才で年を数えるから、リョテイの香港制覇は大体28才くらいよ
むうアラサーリョテイ…

一心同体割の提示を求められる前に見せつけて入場してるの頭良いな

勝負服と制服と水着とエロ下着3種ってかかりすぎじゃないですかね？

>勝負服と制服と水着とエロ下着3種ってかかりすぎじゃないですかね？
いいだろ？世界でしか勝てない50戦ウマだぜ？

2泊3日なのは参考にしたのがスズカさんだから…

原作リョテイさんは超床上手なので二泊三日で徹底的に搾られたと思われる

>勝負服と制服と水着とエロ下着3種ってかかりすぎじゃないですかね？
30前ならもう普通は覚悟決める時期だし遅いくらいじゃないかな

G1勝利割は海外はノーカンか

>>ドリームジャーニー・オルフェーヴル・ゴールドシップ・ナカヤマフェスタ・フェノーメノ・オジュウチョウサンその他多数「で、俺が生まれたってわけ」
>気性難ばっかじゃねえかよお！
「「「俺らよりマシ」」」

そういや引退直前の左ヨレ対策て上村騎手が大きく関わってたんだっけか

「」が普通にできなかったみたいな言い方は良くない

>G1勝利割は海外はノーカンか
割引限度額に引っかかったとかだろう

>>G1勝利割は海外はノーカンか
>割引限度額に引っかかったとかだろう
99.9%割まで存在するこの街に限度額は存在するのだろうか

しっとりリョテイいい…

>>>ドリームジャーニー・オルフェーヴル・ゴールドシップ・ナカヤマフェスタ・フェノーメノ・オジュウチョウサンその他多数「で、俺が生まれたってわけ」
>>気性難ばっかじゃねえかよお！
>「「「俺らよりマシ」」」
ヘイローディクタスSSサッカーボーイだから4人か

こんだけくそ長い怪文書真面目に最初から最後まで読み込まされたの初めてかもしんねえ

リョテイさんに年貢納めたい…

！！

90%OFF以降はどうせ誤差なのでどんぶり勘定ですわー！

お嬢様だからね…そっちの教養も教えられてるよね…

>90%OFF以降はどうせ誤差なのでどんぶり勘定ですわー！
倒産するぞマック…

>倒産するぞマック…
元々破産するために立ち上げた街だ

>>90%OFF以降はどうせ誤差なのでどんぶり勘定ですわー！
>倒産するぞマック…
没落プレイ出来てお得ですわ

>元々破産するために立ち上げた街だ
まあ何故か知らないが大いに儲けになってるもんだから破産するのは遥かな彼方だ

これでキンイロ組もメジロシティに案内されるしな…
客層もガッツリ増えて儲かるぞ

見てスペちゃん
あれが2日も突然有給取った後幸せそうな顔をしているリョテイよ

金色組が出口で並んで御苦労様です！って言ってるのが目に浮かぶ

おめでたいことだからみんなでお祝いしないと
とかって学園に広めてそうなのが天然スズカさん

はや旦那つれてこいバカ娘

>はや旦那つれてこいバカ娘
日曜日沈黙さん！？

>これでキンイロ組もメジロシティに案内されるしな…
>客層もガッツリ増えて儲かるぞ
以前から仕事してたしね
だからキンイロ組もカジノに入れて…

>これでキンイロ組もメジロシティに案内されるしな…
>客層もガッツリ増えて儲かるぞ
みかじめ取られません？

キンイロファイナンスがメジロシティのスポンサーになっちまうー！