それはいつものようにトレーナーさんのお部屋の開運グッズたちの様子を見に来て、ついでにトレーナーさんとお夕飯をご一緒したり、一緒にテレビを観たりして過ごしていた時のことでした。 「フク、今日は泊まっていけ」 私の聞き間違いでしょうか?普段私が泊まりたいと言っても中々聞き入れてくれない、あのトレーナーさんが! でもトレーナーさんの顔は真剣そのもので、見つめられるとドキドキしてしまいます。 これはとうとうトレーナーさんにもデレ期が到来!?いやいや喜ぶのは早いですね、次のレースのミーティングがしたかったとかのオチが… 「今日は、もう少し一緒に居たいんだ」 むっはーっ!こんなにストレートな言葉をいただけるとは!これは間違いありません、マチカネハルキテルです!そういえば今日の恋愛運は最高でしたし!さあトレーナーさん!あなたの愛バは既にベッドイン完了です、いつでもゲートを開いていただいて… 「アホ」 ギョワ-!?ヒッパラナイデ-! …ふう、少し舞い上がり過ぎてしまいました。 考えてみれば運命の人ともう少し一緒にいられるというだけでこの上ないハッピーですね。 快諾するとトレーナーさんはすぐに、フジキセキさんに外泊の許可を取ってくれました。 それからはさっきと変わらずとりとめのない話や次のレースの話をして過ごしました。あれ?結局ミーティングになっているような… [tips] マチカネフクキタルのSRサポートカード内で使われている『特製☆福が来たるシラオキ様シート』はマチカネフクキタルの文字だけカタカナになっている 「そろそろだな」 トレーナーさんがお部屋の時計を見上げてそう呟いて席を立ちました。つられて見上げると、時計は丁度0時を回るところでした。もうこんな時間になっていたんですね。 そうしている間にトレーナーさんが戻ってきました、その手には何やら箱のようなものが。 「おめでとう、フクキタル」 ええっ!?急にどうしたんですか? 「今日は何日だ?」 ええと、今日は21日…は過ぎたので…あっ! 忘れるなよ、と苦笑してトレーナーさんは箱を開けました。 その中には小さめのワンホールのケーキに 『Happy Birthday Dear Matikanefukukitaru』 と書かれたチョコレートが。 まさかこんな風に祝ってもらえるなんて。 えへへ…ありがとうございます!トレーナーさん! 「夜遅いから今食べるなら1切れにしとけよ」 はい!いただきます! トレーナーさんが用意してくださったのはシンプルなショートケーキで、ふわふわのスポンジと甘さが絶妙でした。レース前に食べれば絶好調間違いなしって感じです。 それにしても、もしかしてトレーナーさん、私の誕生日を祝うために泊めたんですか? 「ああ」 トレーナーさんが少し目を逸らして頬をかきながら肯定しました。おや?なんだか少し顔が赤いような? 「一番最初にキミの誕生日を祝いたかったんだ」 一番最初に、あうぅ…今日のトレーナーさんはキメキメモードですね…心なしかケーキがさらに甘いです。 「明日はあんまり祝えないかもしれないからな」 エッ!?明日はお休みのはずですが、トレーナーさん何かご予定が? 「俺じゃなくて、フクが」 私ですか?明日は特に予定という予定は… 「皆がお前のこと祝うだろ?」 祝って、いただけるのでしょうか? 「祝うよ。スズカにタイキやドーベルやエアグルーヴ、スペにドトウ、他にもたくさん。お前は自分が思ってる以上に色んな人に愛されてる」 愛されて…えへへ、そうなんですかね、素晴らしい方々と出会えて、私は本当に幸せ者です。 「だから、独り占めできるうちに祝っておきたかったんだ」 …今日のトレーナーさんは本当にずるいです。私をどうしようとしているのでしょうか。ここはいっちょ仕返しをしちゃります! トレーナーさんは、その、トレーナーさんも私のことを、愛してくれているんですか? 「何言ってんだ」 ふぎゅう…スミマセンチョウシニノリマシタ 「愛してるに決まってる」 …っ!あうぅ…これは勝てそうにありません。 「これ、受け取ってくれるか?」 そう言ってトレーナーさんが取り出したのはケーキのそれよりも小さな箱。 その中には双子座を模した指輪が…これは、ペアリングというやつでしょうか!? 「将来はもっとちゃんとしたのを贈る」 ふわぁ…!これはダメですトレーナーさん!私本当にどうにかなってしまいそうです!どの指に付けますか!ああ、トレーナーさん迷わず私の左手の薬指に… 「誕生日おめでとうフクキタル」 ああ…トレーナーさん、私、今最高に幸せです。大大大大大大大吉です! 「トレセン学園に来てキミに会えて良かった」 私の方こそ、あなたと出会えて… 「生まれてきてくれて、ありがとう」 トレーナーさん…っ! 「うおっ!?」 思わずトレーナーさんに飛び付きそのままベッドへダイブしました。やや勢い任せな口付けは甘いケーキの味がします。 ああ…この大好きな運命の人と、10年後も50年後も、100年でも200年先でもずっとこうして一緒に祝えたらいいな。 その後はトレーナーさんに『独り占め』されて幸せな気持ちのまま眠りにつき、翌日タイキさん主催で私の誕生パーティを開いてくださいました。 それもとても多くの方がお祝いしてくださり、私本当に幸せです! その日は、スズカさんをはじめ鼻の効く子たちにトレーナーさんとあれそれしたことがバレてしまったり、私とトレーナーさんの指に光るものが見つかり大騒ぎになったりと、とても楽しい日になりました。