もっともその後彼女に好意を示されるとは思わなかった
唇を奪われると雨で随分冷えたはずなのに
だんだんと熱くなる自分がいた
こういうのをチョロいというのだろうか
それからエアグルーヴはどんどん俺の中に入ってきた
彼女との思い出の品を捨て一緒の時間を過ごし
時にレースの勝利を喜び合い事あるごとに彼女に唇を奪われ…
俺の中の心がエアグルーヴでどんどん占められていく中
エアグルーヴに見捨てられる夢を見た
そして俺は完全に彼女に心を奪われたことを自覚した
好意を伝え本当の意味で俺たちは気持ちを一つに出来た
メジロ風に言えば一心同体だ

俺を再生してくれたウマ娘
俺の理想の女帝
俺の最愛の女性
そんなエアグルーヴが今涙目で怯えている
おおよその検討がついた彼女のこれまでの動向
俺を…手に入れるために彼女がしたこと
それが俺にバレたことに彼女は絶望している
エアグルーヴ
「いや・・・いや・・・っ！」
エアグルーヴ

「俺は気にしてない、そういうのはどうだっていいんだ」

「・・・え？」
俺の次の言葉が予想外だったのは目に見えている
目を丸くして俺を見る
「その反応から察するに隠し事は確かにあった」
だけどそれは俺への悪意からくるものではない
「エアグルーヴがしてくれたことは全部俺への真心故の行為だった…そうだろ？」
そう信じれる自分がいた
「俺は鈍いからどういうことをしてきたのか想像しきれないけど」
それでも
俺は清廉潔白を求める聖人じゃないから
「俺はそれにケチつけるつもりなんてない」
エアグルーヴはどん底にいた俺を掬い取ってくれた
「エアグルーヴは俺のために俺の理想でいてくれた
　俺はその気持ちに心底救われたんだ」
震える彼女の手を握る

「俺は愛するエアグルーヴの全てを受け入れるよ」
瞬間エアグルーヴの涙腺が崩壊する様を見た
かかり気味に俺に抱きつく
「ごめんなさい…ごめんなさい…ッ」
「良いんだよ」
俺を抱きしめる手はとても弱弱しい
「私、貴方が欲しくて…」
「あの時カッコ悪かった俺を？」
頭をコクコクッと頷く彼女
「ありがとう、あんな俺でも好きでいてくれて」
彼女が俺の胸の中ですすり泣いている
あの時とは逆だな
こういう時どうするべきか
エアグルーヴの理想のパートナーであるならば

「俺もエアグルーヴが好きだ」
いつか言った言葉をもう一度
エアグルーヴに伝えよう
「わ…私は醜いぞ！？貴方を手に入れたくて、貴方の弱った心を利用して…弄んでしまった！」
いいや、俺だってお前の優しさに甘えていたんだ
その時点で弄んだとは言わないし…成立させるものか
「何度も言わせないでくれ」
自己否定気味に走りつつある彼女を
戒めるために彼女の口を己の唇で塞いだ
唇から涙のしょっぱい味がしてくる
それも受け入れよう
この前俺が吐き戻した時だって彼女は受け入れてくれた
「大丈夫だ」
もう二度と
誰かを好きになった気持ちを揺るがすものか

ようやく落ち着いたころにはもう既に夜になっていた
「そっか、あの時ストーカーだと思ってたの、アイツだったのか」
エアグルーヴは客観的に見たもの感じたもの全てを語ってくれた
エアグルーヴの方は彼女の行動力から当然のように出来るイメージはあるが
元の彼女の方も想像以上に行動力があることに驚かされた
それに全く気づかなかったということに少々罪悪感を覚えるのだが
「しかし友達通じて連絡を試みるってことは」
「まだ諦めきれていないってことだな」
彼女の中ではあの記者会見のアピールで
ケリをつけたつもりだったらしい
「…貴様はそれほど愛されていたんだぞ」
「だね、嬉しいことに…でも今の俺の心はお前だけに向いてるよ」

彼女の頬を撫でる
「でも…そうか、俺は彼女との縁がまだ断ち切れてないんだな」
あの頃の俺ならきっとヨリを戻せるとはしゃいでただろう
だがもう俺の中では終わったんだ
俺自身このままだと心のどこかに迷いを生み出す
エアグルーヴを安心させたい
俺もエアグルーヴとのこれからを大切にしたい
それに…もう好きじゃないとはいえ
今でも俺を諦めきれない"あの人"に
これ以上俺にこだわってほしくないから
「エアグルーヴ」
「・・・なに？」

「最後は…俺にも協力させてくれ」

次回最終回予定
筆が乗って長くなれば前編後編のノリで2本分描くかも
今までのはこちら　fu61941.txt

トレーナー…男やな

続き物だったの初めて知ったわ
ありがたい…

途中までメジロシティかと思ってた

いいねえ
いやいいねえ

まぁこんな娘にこれほど愛されて今更騙したのか！なんて言う奴はいねえよな…

良かった…幸せに終わりそう…
卑しい女帝に幸あれ

6と7見逃してたからなんだか久々に読んだ気がする

>次回最終回予定
>筆が乗って長くなれば前編後編のノリで2本分描くかも
はじめっから全部読んでるよ
期待してるぜ！

人は優しい嘘に弱い

ああよかった

>まぁこんな娘にこれほど愛されて今更騙したのか！なんて言う奴はいねえよな…
🎲＜そうだね

こういう系で破滅しないのすごい珍しい気がする

>こういう系で破滅しないのすごい珍しい気がする
次が刃傷沙汰でない事を祈るよ

>🎲＜そうだね
去れ！

ダイスの神様はダイススレに帰って…そしてできればもっと優しい話を増やして…

怪文書に出てくんじゃねぇ！

こういう人刺したりしないタイプのヤンデレ大好き
厳密にはヤンデレじゃないのかもしれんが

>こういう系で破滅しないのすごい珍しい気がする
まあ元カノが最悪の一手打ったのが原因だし…

>🎲＜そうだね
お前タキオンの男性観どころじゃないもの破壊したの今でも許してないからな

この女帝ずっと追ってたからハッピーエンドっぽくて良かった…
ずっと言われてたけどトレーナー相手に一回距離置いてみるのは悪手だよね…

互いの弱さ醜さすらも受け入れる
これこそ一心同体ですわ！！

>この女帝ずっと追ってたからハッピーエンドっぽくて良かった…
>ずっと言われてたけどトレーナー相手に一回距離置いてみるのは悪手だよね…
そもそも女帝は真っ当にトレーナーを愛してくれてるなら想いを秘めたままだったからな…