いやだって、商店街のみなさま方がそりゃあもう総出で応援しにきてたし、それでキャラじゃなくアタシもうっしやったるかと少し思っちゃったり、観客席に兄貴たちが来てたりしてとか探しちゃったりして…まぁー例にも漏れず踏ん張ってみたけど三位というオチなわけでしたけど、ハイ。兄貴たちも来てなかったし。

「はぁっ…はぁっ…！」

滴り落ちる汗を芝に吸わせながら肩で息をすると、少し向こうではぶっちぎりでキラッキラの主人公トウカイテイオーがスカウトしようと囲んでくるトレーナーに列を作らせていた。さすがだとしか言えない、満々の自信に実力が伴っていてカリスマもあるし、アタシなんかとは全く違う。今日の選抜レースの注目はぜーんぶテイオーに向けられていた。二位の子にもトレーナーが話に来ているようだけど、さすがにじみーなアタシには無理だろうな。とそう考えていると。

「いやぁーいい走りだったね、兄さん」

「そうかねぇ。まぁ、顔は走る前と比べて必死だった」

「兄さん！」

ふと二つの影がアタシを包んだと思うとひじょーに、ひじょーに聞き覚えのある声が聞こえてきて思わず振り返ると、やっぱり見覚えのある二人が笑顔で立っていた。そっくりの笑顔、そっくりの佇まい、スーツまで同じだからぱっと見どっちかどっちかがわからない。

「げ…」

「げ、とはご挨拶ですなぁネイチャさん。おやおや、汗びっしょりで立ち尽くしてどうされました？」

そう言ったのは上兄貴の方だった。同じ顔でも憎たらしい口ぶりと顔で分かる。アタシをからかうことを何よりの娯楽だと思ってそうなヤツだ。

「やめなよ、兄さん。ネイチャお疲れ様、いい走りだった」

対してもう一人の下兄貴は真面目で、優しく品行方正、なぜここまで同じ顔なのに性格が違うのか不思議でたまらない。

「あー…来てたんですねぇお二人さん。いやはや、恥ずかしいところをお見せしてしまいまして」

「そんなことない！ いい走りだった、昔から思ってたけどネイチャには光るものが確かにある！ 勉強してからそれはハッキリと分かった！」

「三位から好かれてるのも昔からみたいだしな」

「兄さん！」

下兄貴に笑いながら謝る上の兄貴を見ながら、アタシはぽけーっとしていた。なんだか雰囲気が妙だ、こう商店街のみんなのようにただ応援に来ていたというわけじゃないらしい、というか部外者なのに普通にトレーナーみたいにこっちに来てるのは何で…。

「えっと、そのー…それでお二人さんは何でここに？」

「そうだネイチャ、言うことがあるんだった！」下の兄貴はごほんと咳をしてアタシに向き直った「君をスカウトしにきた！」

「はぁ……そう……」

そうですかスカウトですか、まぁ久しぶりに三人でご飯食べに行ってもいいかも、スカウトって店何処に……スカウト！？

「はぁー！？」

思わず大声で叫んじゃって、周りの全員の視線がこっちを向いちゃったので慌てて全方位になんでもありませんよーと手を振る羽目になった。

「な、な、な、なんで！？」

「ネイチャさん、襟みてみ襟」

言われたままに二人の襟を見て見るとトレーナーを示すバッジがきらりと光っている。マジか、マジだ。

「中央ライセンス取ったばかり、本格的に雇われたばかりの新人見習いだけど…ずっとこの日の為に勉強してきたんだ。ネイチャのトレーナーになりたくて、だからその…頼りないかもしれないが専属になってください！」

「えぇー！？」

私に頭を下げて手だけを伸ばす下兄貴にアタシはまた叫んでしまった。そしてまた全方位に手を振る、が今度はみんな目を逸らしてくれない。ちょっ、コレ遠くから見たらまるで告っ…。

「ちょっ、ちょっ、いろいろ不味いから！ なんかこう、いろいろ危ないから！ 顔上げて兄貴！」

「その前に返事をくれっ！ 俺は真面目なんだ！」

「いーいーかーたー！？ わかった、わかったから！ なるからとりあえず顔上げて！ アホの方の兄貴は爆笑すんな！」

思わず手を取ると、下の兄貴はぱあっと誕生日プレゼント貰ったような子供の顔をして、両手で握り返してきた。

「ありがとう！ 俺、本当に頑張るから！ 一緒にてっぺんを目指そう！ ネイチャならダービーだってアリマだって行けるよ！」

「一位になれるかは別として」

「兄さん！」

「冗談。ちなみに俺はサブトレーナーです、よろしく」

「アホ兄貴も！？」

「優秀な弟についていけばあんまり苦労せずに結果だけ貰えるかなーって。俺はそんなにキラキラできませんよ、給料だけもらえればそれでよし」

「最低なこと言ってるわこの人…」

そういって、なんだかこの状況が可笑しくてなんだか笑えてきて、くすりと笑うと二人の兄貴もそれに釣られた。そうして三人で笑いだす、久しぶりにこうやって笑った気がする。
まぁそういう事なら仕方ないか、アタシのトレーナーになりたくて本当にトレーナーになるくらい一途なら、受けてあげないと可哀そうだし。…なんかこれも恥ずかしいこと言ってる気がする、ヤバイ、顔赤くないかな。
これがアタシ達の始まりで、いろんなことの始まりだった。青春の始まり、挑戦の始まり、甘酸っぱい感情の始まり、友情の始まり、そして…
別れの始まりだった。

我慢ができませんでした
でも全部スリーゴッデスがやれと言ったんです自分は悪くありません

むっいいねえ…
最後の一行は見なかったことにする

お前の文章を待っていたんだよ！

なんでそういうことするの…

やはりスリーゴッデスか

兄弟はやばいって…

信じるからなスリーゴッデス？

これは…まさかタッチを閃きにしたネイチャ…

>兄貴二人は私より六歳ぐらい上で、同じ日に生まれた所謂一卵性双生児。親はくじ引きでどっちが上の子か決めたと言っていた。それでいいのか。
ここでアンタだって気がついたぜ
無理せずゆっくり書いてくれ

また曇らせがいのありそうな子選んだな…

やめろよ…スリーゴッデスが来るとろくなことにならないんだよ…

大丈夫？悲しみの花だけ束ねたブーケをネイチャが抱えない？

愛さなければ 淋しさなんて知らずに過ぎていくのに
そっと悲しみにこんにちは
(「タッチ」OPより)

タッチか…タッチかぁ…

この時間でまさかと思ったらネイチャきたのか…また生活リズムを崩されるのか…

嘘でしょ新シリーズ早くない？

もう新作！？

ネイチャでタッチするんか…
というか大丈夫かフクロス終わったばっかりだぞ

友情の始まりにも期待
現時点ではテイオーと名無しの二位の子かな

ネイチャがパンチみたいな犬と一緒にいるコマが容易に想像できすぎる…

もう新連載ですか先生
読者的には嬉しいですが休んでもいいんですよ！？

我慢ができなかったか…

シラオキ様居ないし邪神スリーゴッデスが居るだけなのか...
弟の方と死別とかやめてくれよ...

1レス目ラスト
>ウチのバーでおやっさんがやけ酒していたのを覚えている。
2レス目最初
>いやだって、商店街のみなさま方がそりゃあもう総出で応援しにきてたし、
の間にもしかして抜けがあったりするかな
選抜レースに出たということは文脈からわかるのでこちらの勘違いだったら無視してください 申し訳ない

フクロスロスでつらかったので新連載が嬉しい

ウワーッ！死別の予感！

>ヤバイ、顔赤くないかな。
ネイチャさんはどっちの兄貴がトレーナー一途だから照れてしまったんですかね？って俺の心の3女神がつぶやく
両方？うんそうだね

兄貴二人の性格とキャラ配置からして嫌な予感しかしねえよお

タッチは片方しか死ななかったけど折角だしどっちの兄貴も殺したりするの……？

>の間にもしかして抜けがあったりするかな
>選抜レースに出たということは文脈からわかるのでこちらの勘違いだったら無視してください 申し訳ない
ごめんなさいぬけがありました…

そんな兄貴は中学校を卒業すると揃って、トレーナーになるための最短コースである高等専門学校へと進学して忙しくしていたみたいだ。どっちとも店を継がずにトレーナーになってしまったとウチのバーでおやっさんがやけ酒していたのを覚えている。
そしてなんの因果か私もトレセン学園へと入学して、周りのキラキラな子たちの大量のキラキラに晒されながらあっという間に一年過ぎ去ってB組へ、さーていよいよアタシもトレーナーを見つけるときを着ましたかと意気揚々と選抜レースに…いやすんません嘘です。ちょっと内心ガッチガチで挑みました。

ありがとうー！ガチガチなネイチャかわいい
そして大量のキラキラの中で3着のお前もキラキラなんだよなあ

むっ新作！
一卵性の双子、ヒロインが1人…
嫌な予感しかしないね

>タッチは片方しか死ななかったけど折角だしどっちの兄貴も殺したりするの……？
フクキタルの時からしてここで死んだ方が楽なので生かしましたってタイプだからな…俺は怖い

テイオーまで曇らされはしないだろうな…

また夜更かしが始まっちゃう…
次回も楽しみにしてる

フクの方は追いきれなかったからこっちはリアタイで全部読みたい

来てしまったか…

また夜更かしする理由ができてしまった（歓喜）

また寝不足の日々が始まるなぁ

片方が死ぬ感じなの？

逆フクロスゲームが始まるか…

>片方が死ぬ感じなの？
これがタッチなら多分真面目な方が死ぬんじゃ無いか？

この流れは多分出来のいい方がお亡くなりになるやつだ…

達也↔ネイチャ←和也

タッチはあれ結局最後までくっつかなかったんだっけ…？

>タッチはあれ結局最後までくっつかなかったんだっけ…？
原作もアニメもくっついたから安心してほしい
というか作中において恋愛の矢印はほぼ最初から最後まで揺らいでない

>達也↔ネイチャ←和也
これって最初はネイチャ↔︎和也だったんじゃなかったっけ

>片方が死ぬ感じなの？
交通事故で…

きれいな顔になるのってどっちだっけ

達也の方もネイチャ好きだったけど和也に遠慮してたり今までの関係崩したくなかったりで色々複雑

トレーナーからグレーゾーンな声がする！

>きれいな顔になるのってどっちだっけ
和也というかナチュラルにネイチャだけ朝倉じゃなくてネイチャでダメだった

毎回兄弟の片方を殺す性癖の三女神め…今度やったら二女神にしてやるぞ

また新作投下してくれてありがてええ！

それはともかく、絶対弟くん死ぬやん

>これって最初はネイチャ↔︎和也だったんじゃなかったっけ
和也が昔からみたいなこと言ってたのはなんとなく覚えてる

まだわからん
片方が記憶を失いもう片方がえいえいむんするかもしれない

タッチネイチャ…

>毎回兄弟の片方を殺す性癖の三女神め…今度やったら二女神にしてやるぞ
邪神あだち充きたな…

また完結に一月くらいかかるんです？

ねえ
どうしてすごく好きなことただ伝えたいだけなのに
すぐ死んでしまうのん…？

どっちと別れるのかはおおよそ見当がつくのが救いだな！
救いって？

タッチって巨人の星みたいな暑苦しさや破滅主義みたいなものはないけど
明るく軽薄な雰囲気の絵の裏側でクソデカ感情の塊が行き来してるって最近気づきました
昔は最期のアイドルのくだりいらねーだろと思ったけどあれ絶対いるわ…ないとダメだ…

タッチはアニメしか見たことないですがフランケンシュタインみたいないかつい顔の人が好きでした