二次元裏@ふたば

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7104 B21/05/21(金)03:26:44No.804850034+ 08:23頃消えます
「――というわけで、私にはそろそろご褒美が必要な時期なんだよ」
自信満々にそう告げると、トレーナー君は言っている意味がわからないというように眉を顰めた
「一言でいえば報酬刺激が足りないんだ。3年目の有馬記念以来、常勝こそ続けているが走りが限界を超えるような手応えがない。カフェに追われているレースでは感じるものがあるが、それもそろそろマンネリになってきた。このままでは類稀なる私の才が腐ってしまうかもしれないんだよねえ」
その後も私はあれやこれやと、如何に最近の自分の走りが熱を失っているかの根拠を並び立ててやったが、当のトレーナー君はといえばそれらの言葉を半ば聞き流しながら暢気に首をひねっている
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/21(金)03:27:05No.804850061+
「今さらご褒美って言っても、実験には十分付き合ってると思うし、ご飯もちゃん作ってるし……何が欲しいの?」
そう問われると、私は思わず笑みがこぼれてしまうのを我慢できなかった
「クックック……わざわざ言わせようってのかい? 私が欲しいのは――他ならぬ、君だよ」
すい、と潜り込むようにトレーナー君との距離を詰め、その胸元にトンと人差し指を突き立ててやる
するとトレーナー君は呆気に取られたように目を丸くして――
221/05/21(金)03:27:18No.804850082+
「……また実験?」
「察しが悪いな君は!」
つい声を荒げながら胸を突き飛ばしてしまった……いい大人なんだから「君が欲しい」と言われたらどういう意味がわかろうものを!
「まったく、私の想像以上にモルモット根性が染み付いてしまってるみたいだね……あー、うまぴょいとでも言えば伝わるかな?」
「ライブがしたいの?」
「純粋培養だね君! その様子じゃあこの学園の色恋沙汰は何も知らないな!?」
「色恋沙汰……」
その言葉を反芻するように、トレーナー君は口元に手を添えて視線を落とした
ようやくどういう意味か理解したらしい……その視線はやがて、恐る恐るといった様子で私の姿を捉えた
321/05/21(金)03:27:39No.804850123+
「……またデートの実験?」
「だから実験から離れたまえよ! 違うと言っているだろう!?」
「あれ、そもそも実験じゃないの?」
どうも私の口から出てくる言葉は万事研究に繋がっていると思い込んでいるようだ
誰がトレーナー君をこんなふうにしてしまったんだ! 私か!
「あーあ……あんまり察しが悪いようだと、さすがの私も傷つくなぁ……」
「え、そんな……なんで?」
ちょいと拗ねた素振りを見せると、トレーナー君はにわかに慌てだした……歳に見合わず、こういうところはカワイイ
「ククッ……どうやら君に回りくどい言葉を使っても意味はないみたいだね」
トレーナー君を逃さないよう、そっと近づいて腰に両腕を回す
力は入れない……だが、逃げられまい
「次のG1レース。もし、私が1着を獲ったら――」
421/05/21(金)03:27:56No.804850148+
「――どうしたんですか、タキオンさん」
聞き覚えのある声に、私は我に返った
「あ、ああ……カフェか」
私が反応を返すと、彼女は長い前髪を揺らして屈めていた身を伸ばした
気がつくと私は学園のベンチに座ったまま、日が沈みかけるまで放心していたらしい
「珍しいですね……アナタがそんなふうに、ぼーっとしているなんて」
「そうかい? 私はちょっと……考え事をしていただけさ」
「……そんなふうには、見えませんでしたけど。なんというか……」
彼女は訝しむように私の姿を、頭からつま先まで検めるように見回した
「……フラれた女の子みたい……でしたけど」
――思わず声が漏れそうになり、目を逸らしてしまった
この反応では自白と変わらない……事実、彼女は図星を突いたという手応えを感じた表情をしていた
521/05/21(金)03:28:18No.804850186+
「もしかして……告白でもしたんですか」
「ああ、まあ……そんなところさ」
私が少々言葉を濁すと、カフェの目は私の中の何かを捉えたように微かに揺れ――しかし、それ以上の追求はなかった
どうして彼女には、いつもバレてしまうんだろうな……
「……意外ですね。アナタもそんなふうに、女の子として傷つくなんて」
「言うと思ったよ。……自分でもそういう自覚はある。私もこんな反応を示す人格を有していたんだなって」
自分の姿を確かめるように、私は手のひらを夕日に翳しながら眺める
脚の件の方が比べ物にならないほど深刻だったはずなのに……それよりも今のほうが強いショックを受けている事実に、正直戸惑っている
「別段欲しいと思ったこともないが……私には女の魅力がなかったってことかな」
「……いえ」
私の呟きに否定の声が聞こえ、自然とカフェの顔に目が行く
「あると思いますよ……魅力」
「……ハハッ! まさか君に気遣いの言葉をもらう日が来るとは思わなかったな」
「いえ……気遣いなんかではないですよ」
「ククク……いいよ、別に。他ならぬ君に気を遣われるというのも実に貴重だし、体験として愉快ではあるが――」
621/05/21(金)03:28:37No.804850219+
――不意に、さっきまで伸ばしていた手を彼女に取られた

「……気遣いなんかじゃ、ない」
「か、カフェ……?」
私の手首を掴む彼女の手には力など入っていない……なのに、何故だか振り払えない
「アナタはこんなにも……魅力的で……」
宵闇に浮かぶ満月のような瞳が、すぐそこまで迫ってきている
戸惑う私の脈拍は、手首を通して彼女に筒抜けだった
「トレーナーさんがいらないって言うなら……私が……」
「だ、駄目だ……カフェ……」
何故だ……さっさと突き飛ばしてしまえばいいものを、体が言うことを聞かない
私が同じようにトレーナー君に迫っても、やんわりと身を離されたというのに
私とカフェの、何が違う? カフェ、君は何を知っている? 私の知らない、何かを……
私の問いかけは、迫りくる彼女の唇に遮られ――
721/05/21(金)03:28:48No.804850234+
「――まだまだ子供ですね」
気がつくと、カフェは私の手をとっくに離していた
821/05/21(金)03:30:09No.804850361+
デートがヘタクソなタキオンを子供扱いしただけだったんだ…許してくれ
921/05/21(金)03:31:23No.804850475+
タキオンハーレム…
1021/05/21(金)03:39:34No.804851103+
このスレでしか得られない栄養素があった
寿命が伸びた
1121/05/21(金)03:58:20No.804852419+
これモルモット君は急に来たから拒絶してしまっただけとかだと更に健康になる
1221/05/21(金)06:30:24No.804859010+
いい...


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