母の赤子になって2ヶ月が過ぎた。  母の膝枕で見るテレビが、ちょうど夜10時の番組を始めた頃。  膝元にいる自分に、トレーナーさん、と聞き慣れた声掛けが降りてくる。  お風呂入りまちょうね~、と声が続き、ぽんぽんと肩を叩き、上体を起こすよう促される。正直、ゴールデンタイムのテレビ番組を見ていたいという気持ちもあったが、これから起きることに対する愉しみの方が上回っていた。  見慣れた脱衣室。自分の家なのだから当然だが、母は勝手知ったるが如く入浴支度を整える。  はい、ばんざーい、と指示に従うと、手際よくシャツから下着まで剥ぎ取られていく。あっという間に裸にすると、母もいつの間にか産まれたままの姿になって、長い三編みをヘアゴムでまとめていた。  リードされるままバスチェアに腰掛ける。  頭洗いまちゅよ~、と母がシャワーを構えると、顔にかからないよう丁寧にお湯がかけられていく。ヒトの耳にもかからないよう手を添えているのでもはや慣れたものなのだと思う。  男物のシャンプーを手で泡立て、目を閉じて~?と促される。母の細い指が髪の間を通っていく。髪全体を泡立てた後、頭皮をマッサージされていく。  なんか申し訳ないな、とつぶやくと、私がやりたくてやってるんですから、やらせて下さい。と返された。彼女の楽しみに水を差してしまったかと思い、大人しく目をつぶると、時折背中や腰に当たる母の胸や腿の柔らかさが気になってしまった。  先ほどと同じように、目や耳に入らないよう丁寧にシャンプーを流されていく。前髪にシャワーが当たると、圧倒されるような柔らかさが背中に広がっていた。  身体を洗いまちゅよ~、と次はボディソープを手で泡立てる。ボディタオルはあるのだからそれを使えば良いのだろうが、彼女はそれを使おうとしない。  そして本人にその気は全くなく、ただ自分の楽しみに対する几帳面さの現れなのだろうが、彼女の手は自分のあらゆる所に届いていった。鼠径部、陰茎、腰を上げてと促されれば睾丸の裏、尻たぶの奥、肛門まで。  そのうち自ずと生理現象を主張する陰茎に手が当たる。今更ここを見られるのは初めてではないが、少し恥ずかしい。トレーナーさんは赤ちゃんなのに、不思議ですね~。と困ったように言われ、その後に続く言葉にさらに怒張を増した。  おちんちん、かっこいいでちゅよ。と耳元で囁かれ。  大丈夫? おっきできまちゅか? と心配する母。もちろん、男性器の作りとして、このままでも立ち上がれないことは無いが、ここまで来たら最後まで甘えてしまうしかなかった。  察した母は、クールダウンに使うマッサージ用のローションを脱衣所の棚から取り出すと、ひんやりしたらごめんね?と細い指にまぶし、陰茎に絡みつかせた。  ぐちゅぐちゅっ、ぐちゅぐちゅっ。  母親の手で陰茎がテンポ良く絞られる。後ろから凭れかかる姿勢で、背中に凄まじい柔らかさを感じる。指先から与えられる快感に身体が動くたび、背中で2つの小さな突起が触り、母の熱っぽい声が届いてくる。  親子の関係にあるまじき分泌物が、リズムを打つようにせり上がってくる。  耐え難い快感だが、永遠に耐えなければと思った。母親に陰茎を絞らせているという罪悪感からではなく、全く同じ理由から生まれる背徳感と、さらにそれを上回る全能感が麻薬のように頭を狂わせていたから。   もう辛いでちゅか? いいでちゅよ?と耳元で声がする。耳元だったかもしれないし、どこか遠くから響いてくるような気さえした。それでもヒト耳に母の柔らかい接吻が与えられると同時に、限界はあっさりと訪れた。  この数分で与えられた自己肯定感と多幸感が、陰茎から溢れ出る。ガクガクと動いてしまう腰は背後から母の膂力で巧みに押さえられている。お互い恥ずかしい格好になっていたかもしれないが、それもこれも全てがどうでもよかった。  そのままだと風邪、ひいちゃいますから。母はそう言って手元の水栓をひねる。温かいシャワーが下半身に当たる。この母を孕ませようと吐き出された精液が、ゆっくりと排水口に流されていく。それを眺めながら、母の抱擁を受ける。スッキリできて、いいこいいこ。と。