サトちゃん視点 「私が大きくなったら私のトレーナーさんになってくれますか?お兄さん」 ………………とても懐かしい夢を見た、あの時お兄さんと約束した夢 マックイーンさんが走ってる姿に私もあんな風に走りたいと憧れていた 『ダイヤちゃんなら必ず出来るよ、俺が保証する』 お兄さんはそんな事言って私の夢を笑わずに応援してくれた 私の夢を応援してくれたのはお父さんお母さん、親友のキタちゃん、それとお兄さん 今思えばあれが初恋だったのかな……と言ってもその初恋はまだ続いてるんですけどね そんな私も今日からトレセン学園に入学することが決まりました!キタちゃんとも一緒です! そして幸運なことにお兄さんはトレセン学園でトレーナーをやるそうです!お兄さんから聞きました! 更にキタちゃんとも一緒に入ることになりました!今日はとっても良い日になりそうです! 私はあの時の約束通りお兄さんにトレーナーさんをやってもらいます!これは決定事項です! キタちゃんも昔約束した人にトレーナーになってもらうらしいです、私と似てますね お兄さんにトレーナーさんやってもらって、3年間ずっと一緒に居て、最後は……♪ にやけそうな顔をどうにか抑えながらキタちゃんと一緒に登校する 登校中にキタちゃんの約束した人のお話を聞きました、どうやら昔助けて貰ったことがあるらしいです その縁から仲良くなってキタちゃんと約束を交わしたって……ますます私と似てますね かく言う私も昔困ってたところをお兄さんに助けて貰って以来仲良くなりましたから…… その事をキタちゃんに話したらお互い良い人に出会えて良かったねと笑顔で言いました そうだねキタちゃん、でもその時の話してる時のキタちゃんの顔、真っ赤だったよ キタちゃんは平然と話してると思ってるだろうけどすっごく真っ赤、リンゴみたい ……え?私も顔が真っ赤だった?……こういう所も似てるんですね私とキタちゃん それでもお互いのことを知れたので良かったと思います だってキタちゃんとはずっと親友でいたいから、応援したいから、レースも、恋も その時になったらまた一緒にお話しようねキタちゃん そんな事を話していたらトレセン学園に着きました!ここがウマ娘の憧れの地……! 何度か見に来たことがありますがやはり大きいです!ここで私たちの学園生活が始まるんですね! えーっとさっきの連絡ですとお兄さんは正門前で待っていると言ってましたが……!いました! 門の前にで手を振ってるお兄さんに早歩きで向かう、逸る気持ちが抑えきれない やっと、やっとお兄さんとずっと一緒に歩める、そう思うと居ても立っても居られなくなりました 「お兄さん(ちゃん)!約束、覚えてますか(る)!?」…………え? 目の前にはお兄さん、そして私と……何故かキタちゃんがいます、驚いているのか目が丸くなってます あれ?キタちゃん、昔約束していた人は?会いに行かなくていいの? この人は私のお兄さんだよ?キタちゃんのお兄さんじゃないよ?私のだよ? え?キタちゃんの約束の人は私のお兄さんなの?聞いてない、聞いてないよキタちゃん だってお兄さんは私のトレーナーさんになってもらうんだよ?横取りしちゃダメだよ? ……そっかぁキタちゃんは"私の"お兄さんに昔助けて貰ったんだね、そっかぁ ――――そっかぁ キタちゃん視点 いや、あれは遊んでもらったって言った方がいいな、お兄ちゃんに我儘ばっか言ってたし それでもお兄ちゃんは嫌な顔せず笑顔で私と遊んでくれた、あの時の笑顔が今でも忘れられない だからお兄ちゃんと約束したんだ、お兄ちゃんは、私のトレーナーになるんだって その話をサトちゃんにも話した、あっダイヤちゃんって私の昔からの親友なんだ! 一緒にレース見に行ったり遊びに行ったりする大、大大大の仲良しなんだっ! 小さいころにテイオーさんの走りを見て私もああやって走りたいってお兄ちゃんに話したんだ 『キタちゃんならなれるよ、絶対なれるよ』 真っ直ぐな目でそう言ってくれたから私頑張ってトレセン学園に入れるようになれたんだ それにダイヤちゃんも合格したって言うから文句なしだよねっ!楽しみだなぁ~ 登校途中私とダイヤちゃんの約束の人の話になったんだけどサトちゃんも似たような経験があったみたい ダイヤちゃんも私と同じように助けられてそれから仲良くなったんだって!私と似てるね! でも私のお兄ちゃんもそういう事しそうだな~いやするなあの人は、放っておけなさそうだもん ま、そういう所がカッコいいし私が好きになった……やめようかこの話!なんか恥ずかしい! え?私がお兄ちゃんの話してるとなんだか楽しそう?それに顔が赤い?……カンチガイジャナイカナー それにダイヤちゃんだって約束の人の事話してる時だって顔真っ赤だったよ!本当だって! うー……こういう所まで似てなくても良いじゃん私たち……でもお互い良い人に出会えて良かったね! それにしてもサトちゃんがここまで夢中になる人なんてどんな人なんだろうーなー 私だって夢中になってる?……そうかもしれないかなー?うん、会うの楽しみだもん だってやっとお兄ちゃんと会えるんだよ?いやまあその前にも何度か会ってるけどさ、それでもだよ それにこれから3年間はずっと一緒に居るんだから期待は……ちょっとだけあるけど? ま、まあまあそれは会ってからね!ちゃんとお兄ちゃんと話さないとね!そういうのはね! でも……やっぱりそういう事になっちゃうのかなー……って何考えてるんだ私! そんな事考えてるうちにトレセン学園に着いちゃった!あれ!?思ったより時間が短く感じた! うわー……やっぱり大きいなこの学園、何度か見たことあったけどそれでも広いし大きいなー ってそうだそうだここでボーっとしてて待ち合わせに遅れてちゃいけないんだった! たしか……正門前で待ってるって言ってたけど……あっいたいた! 門の前で手を振ってるお兄ちゃんが見えた、見つけた途端胸が高鳴るのを感じた やっとお兄ちゃんとずっとに一緒に居られる、そう思うともっとドキドキしてきた、やっと―――― 「お兄ちゃん(さん)!約束、覚えてる(ますか)!?」――――え? あれ?ダイヤちゃん、ここで何してるの?ダイヤちゃんも待ち合わせしてるんじゃなかったの? この人は私のお兄ちゃんだよ?ダイヤちゃん見間違いしてるよ?私のお兄ちゃんだよ? ――――邪魔だなぁ って何考えてるのさ私!じゃなくて!ダイヤちゃんの約束の人は私のお兄ちゃんじゃないでしょ? え?見間違いなんかじゃないって?この人がダイヤちゃんのお兄さんなの? ……違うでしょ、ダイヤちゃんの勘違いだって、だってそうじゃない? だってお兄ちゃんは私のトレーナーになってもらうんだよ?急に横から来ないでよ ――――あぁ …………そうなんだ、昔ダイヤちゃんが困ってるところを助けてくれたの、お兄ちゃんだったんだ でもさ、ごめんね、私お兄ちゃんと約束してるんだ ――――邪魔だなぁ カフェでの会話 「ねえキタちゃん、話したいことあるんだけど良い?」 「なにかなサトちゃん?私もダイヤちゃんに話したいことあるんだけど」 学園内にあるカフェテラスでお茶を飲む二人、様になっているのが分かる それもそうだろう、二人は入学後の模擬レースで注目を集めた二人だ キタサンブラック、彼女はスタート直後から最後まで逃げに徹し他を突き放した サトノダイヤモンド、彼女は直線で驚異的な末脚でごぼう抜きをしてみせた そんな勝ち方をした二人がいるのだ、注目を浴びないわけがない その走りを見てたトレーナー達も是非とも彼女たちを導きたいと誘ったのだが…… 『先に約束をしてる人がいますので』『先約があるんだ!ごめんねー!』と断られた そんな二人だがなにか会話をしているようだが……一体何を話しているのだろうか 周りはきっとこれからについて話してるんだよと考えているが現実はそうでもない 「あの時はお兄さんがいたから言うのやめてたけど……」 「うん、お兄ちゃんの前で言い争いは見せたくないからね」 「「私のお兄さん(ちゃん)となんであんなに馴れ馴れしくしてるの(かな)?」」 現実は、思った以上に過激だってことは良くある話だ 「……やっぱり思ってたことは一緒なんだね、こういう所まで似なくても良かったのに」 「本当だよねー……念のためにもう一度聞きたいんだけどさ、見間違いじゃないの?」 「お兄さんを見間違えることなんかあるわけないじゃない、それを言えばキタちゃんが間違ってるんでしょ」 「何言ってるの?私がお兄ちゃんを間違えるわけないじゃん、いくらダイヤちゃんでも許さないよ」 「許さないのはこっちの台詞だよキタちゃん、"私の"お兄さんなのに……まったく」 「そこも訂正して、"私の"お兄ちゃんだから、ダイヤちゃんのじゃないよ」 「いつお兄さんがキタちゃんのだって私言いました?いい加減にしないと怒るよ?」 「怒りたいのはこっちなんだけど?」 この会話が周りに聞こえなかったことは運が良いと言う他ない、聞こえてたら震えるしかないのだから 少女の淡い恋というのは毒だ、徐々に心に蝕んてくる治す薬の無い毒だ だが治すやり方はいくつかある、一つ目は失恋する事、これが最もポピュラーな治し方だ 二つ目はその恋を成就させる事、一つ目より厳しいがこれも立派な治し方だ その他にもあるが主流になっているのはこの二つだ、どちらも心の成長に繋がる治し方なのは間違いない だがその恋が何年も続いていたら?難しくなるが治せるには治せるだろう それではその毒が何年も続いてかつ治療出来そうだ、しかし同じ毒を服用してる者がもう一人いたら? 本来この毒は一人が一人に対して起こり得る症状だ、その中で完結して治療出来るものだ だがそれが一人に対して二人以上になった場合の治療方法は困難を極める、何故なら歪む可能性が高いからだ その毒を一人が克服してもう一人がまだ克服できていないとしよう、そうしたら更に歪む恐れがあるのだ それではどうすれば治るのか……当事者達にもよるが今回の彼女たちが選んだ治療法は―――― 「サトちゃん、私たち友達だよね?昔から仲の良い親友だよね?」 「そうだねキタちゃん、私も昔から変わることのない親友だと思ってるよ」 「だよね!じゃあさ、一つ私から提案があるんだけど良いかな?」「聞くだけ聞いてあげる」 「うん!それじゃあ――――ダイヤちゃん、お兄ちゃんのこと諦めてくれない?」 「……………………は?」 ――――同じ毒を服用している者を排除する事