左前方、外側にいる前の娘に圧を「かける」ようにアプローチ
スペースに余裕があり、最終コーナーに向けて楽に走りたいその子は当然圧力に押し流されるように外側に一歩だけ膨れる
するとどうだろう？ラチ側、私から見て右前方で固められている娘はやや左後方、私が左前に寄った分出来上がったスペースに向けてラチから逃げるように流されてくる
そう、それでいい。此れで「敢えて」コーナーギリギリに私だけの道を作ることができた

「ここでフジキセキ一気に加速！！差しから先行にスイッチするようです！！」
「ラチのスレスレを擦りつけるような鮮やかなステップ！フジキセキ後方集団から抜け出しました！」
「いつ見てもまるで魔法のような足捌きですね、どうやってあのバ群を抜けているのか、皆目検討も付きません！」

ちょっと違うなあ。マジックはマジックでも、これは魔法じゃなくて奇術。ヒトが努力とテクニックを積み重ね、心理的な思い込みの隙を突いた結果なんだ
さあ、ここからもっともっと素敵なショーをお見せするよ！

確かにキセキ、君は特化したセンスと言う意味では逃げ、先行、差し、追込み、どれも８０点。絶好調の状態でも８５点と言ったところだろう。だが、それはあくまでもどれか一つに絞ればの話だよ」
「他のウマ娘は、それこそシンボリルドルフやナリタブライアンであろうと、手持ちのカードを切って切って極限までカードの数を減らして勝負しているに過ぎない。どれだけ強力だろうとそれは所詮スリーカード、良くてフラッシュだ」
 「だが君は違う。俯瞰的にレース全体を見る目と過酷なレース中でも思考の回転を落とさない頭脳、そして瞬時に走り方をスイッチできる脚。君のセンス全てを組み合わせれば、ロイヤルストレートフラッシュを生み出すことが出来る」
「そして観客を魅了してしまうんだ。君と言う存在がどれほど奇跡的なのかと言うことを、その名前の通りにね」
えっと…格好よく決めた後にごめんねトレーナー。私のキセキって、漢字だと奇石。変な形の石って書くんだ
「Oh...ニホンゴムヅカシイ……」
まあ奇跡って意味合いもあるんだけどね、とは普段の紳士キャラが崩れてうんうん唸っているトレーナーがかわいかったので言わないことにした

「最終コーナーも回っていよいよラストの直線です！」
「ここまでリードしていた逃げの娘がペースダウンしてきています。全体が縮まって差し切れる可能性も出てきましたね！」
「おおっとここで再びフジキセキ加速！先頭集団目がけて一気に突っ込んでいきます！しかし目指す先はバ群の中心！まさかまさかまたもや奇跡を魅せるのか！？」

先頭から垂れて来た逃げの子を警戒して先行集団の塊がばらけ出す。すれ違いざまに足を解き放って最大まで加速する瞬間を見計っているのだろう
そこに付け入る隙がある。ギアを一つ上げて加速する為の踏み込みは、大きく重く意識して踏み出さなければならない。コンマ数秒のラグがここで発生する
そのラグと集団の隙間。それが見切れれば後は覚悟を決めるだけ！
「こ！こ！だっ！！」

「フジキセキスピードを緩めない！このままでは先頭集団に突っ込んでしま……！？」
「す、すり抜けた！まるで幻影か蜃気楼！フジキセキ先頭集団の僅かな隙間を一気にすり抜けました！スピードは一切緩んでおりません！抜かれた娘たちも加速を始めましたが間に合わない！」
「加速する幻影に追いつけない！掴む事すら許さない陽炎はますます加速！これが奇跡だ！たった一人のウマ娘がレース場に奇跡を起こしたぞ！フジキセキ！一着でゴール！」

歓声に揺れるレース場。全身がカアっと熱をもって、早くなった鼓動と重たい体が私に勝利を実感させる。ウイニングサークルに向かえば、そこにはいつも通り柔らかい笑みを浮かべたトレーナーの姿
右手を差し出され、私はそれに応える。最初は照れ臭かった彼のエスコートも、今では多少は慣れたものだ
「見事だったよ、キセキ。まずはお疲れ様、そしてありがとう」
「また？勝てたのはトレーナーの鍛錬のお陰なんだし、お礼を言いたいのは私の方だよ？」
「そんな事はない。君の勝利する姿を見る、僕の夢がまた一つ叶ったんだ。お礼を言わないでどうするって言うんだい？これからも何度だっていうさ、本当にありがとう、キセキ」
そう言ってトレーナーは私の手の甲に口づけを落とす。うう、こればっかりは全然慣れないなあ……

キャラソン聞きながら書いた寮長のレース怪文書です
ミラージュのリズムで踊る様に駆け抜けるのかなーと妄想

寮長の怪文書初めてでは？

>寮長の怪文書初めてでは？
これ多分前に投下された奴の続きじゃぜ

レース怪文書初めて見たかもしれない

>寮長の怪文書初めてでは？
実はこの英国紳士ちょくちょく現れるんだ

原作の寮長マジでこれくらい変幻自在にやりたい放題なレースしてたからな・・・

この若いベネディクト・カンバーバッジ似のトレーナーさんはちょくちょく怪文書でてるね

書いてて隙間を縫うようなルート変更って進路妨害のペナルティ食らわないのかな？って思いましたけど
賢さ強いウマ娘は相手のルートに立ちふさがると聞いて気にしないことにしました

>原作の寮長マジでこれくらい変幻自在にやりたい放題なレースしてたからな・・・
スタート失敗してこりゃ駄目だ…と思ったら一気にブチ抜いたんだっけか

来たな英国紳士に骨抜きにされたフジキセキ怪文書
スマートなレース運びしそうだよね寮長は

寮長のキャラソンいいよね夢女子量産ソングすぎて

実際サポカのスキル見るにトリッキーキャラっぽいよね寮長

私こういう満遍なく８０点台の秀才が８０点を合計させていって１００点の天才に勝つ展開好き！！

大丈夫？手の甲にキスレースのスタッフさんめっちゃ見てない？

>大丈夫？手の甲にキスレースのスタッフさんめっちゃ見てない？
それくらいならまだ外人さんだしで通じるだろう
ハグして頬にキスとかし始めたら危うい

俺のドリームもジャックしてくれ

面白い！

ここは寮長の方がポニーちゃんだから毎晩トレーナーの夢見てるよ

魅せるいい文章だ
ミラージュいいね