「すまないなトレーナー君。今日も台所を使わせてもらって」
私はリビングのソファーに座りながら、ノートパソコンで資料を読んでいる彼に声をかけた。
おそらくウマ娘のレース関係のものだろう。
彼の調査能力、データ把握能力は私も舌を巻くものだ。
この能力と私の論理的思考力が組み合わさったおかげで、私達は最初の3年で栄光を掴めたのだと思う。
この後カレーが出来上がれば、彼と試食をして退散する。
時刻は17時。18時半完成。45分で食べて、19時30分には寮に帰る。完璧なスケジュールだった。
「いや、問題ないよ。俺も料理を作ってくれると食べに出かけなくて済むし。助かるよ」
トレーナー君はパソコンから顔を上げずに答えた。少しに気になって、彼の肩口からモニターを覗き込む。
……次の選抜レースの出走者リストだった。

私もそろそろトゥインクル・シリーズを抜けて、次のドリームトリフィーリーグに移る予定だった。
それに合わせて、トレーナー君はもうひとりトゥインクル・シリーズに挑戦するウマ娘をスカウトする予定のようだった。
私と、スカウトされる新しいウマ娘。チームの結成だ。
確かにそのほうが今後は効率的だろう。
新しい戦術、戦略、トレーニング手法などはリーグよりも入れ替わりの激しいトゥインクル・シリーズのほうが流行り廃りが激しい。
新人ウマ娘の育成でそれら情報にキャッチアップしつつ、私は今までの、そしてこれから挑む強豪ひしめくリーグでの経験と理論を伝える。
２つが上手く融合できれば、さらなる飛躍が期待できそうだった。
……ただ、期待とは別に、胸がざわつくのは押さえられなかった。

「今回はどんなカレーなんだい？」
モニターから顔を上げて、トレーナー君が私の顔を覗き込んだ。
「っ……あ、ああ、そろそろ梅雨も開けそうだからな。夏を意識した夏野菜カレーを考えてみたんだ」
慌てて思考を切り替えて、返事をした。
「そうか。楽しみだな。ハヤヒデのカレーを食べると、今週が終わったって気になるよ」
URAファイナルズを終えて、妹のブライアンにカレーを作り。ここで彼と妹と食卓を囲んでしばらくしてから。
私は週末にトレーナー君のキッチンを借りて新しいカレー作りに挑むようになった。
あれの食卓以来、何度かブライアンにカレーを作ってあげたのだが……。

「……姉貴のカレーはいつも同じ味だな。懐かしくて美味しいけど、たまには新しい味に挑戦してみてもいいんじゃないか？」
と、ポツリと妹に言われたのがショックだった。
それ以来、新しい味に挑み続けている。
料理もレース同様に、才能とセンスが支配する場所であることはわかっている。しかし、理論が幅を利かせる場所も多い。
このバランスを探す経験がレースに活かせることもあるだろう。たぶん。

「ブライアン。今週末、またトレーナー君の家で夕食はどうだ？」
生徒会室を出てきたところの妹を捕まえて、声をかけた。
まだ若干自分の中で躊躇はあるものの、こうやって普通に声をかけられるようになっただけでも、進歩だと思う。
「……ああ、いいぞ。姉貴の今度のカレーが何なのか、楽しみだ」
レースを楽しみするような表情で応える妹を見ると、心が温まった。

「しかし……毎週トレーナーの家で料理をしているんだな。聞いたときは驚いたぞ」
「寮のキッチンを借りることもできるが、騒がしくてな。料理の材料を保管するために冷蔵庫を間借りするのも忍びなくなってきた。それに、トレーナー君の食生活はあまり良くないようだから、私が目を配ってやるのも悪くないと思っている」
実際それほど悪くないようだったが、時折ジャンクフードばかり食べているのは彼の匂いでわかった。
親しい相手なら、ウマ娘の敏感な嗅覚でそれくらいはわかる。
「ふん……まるで通い妻のようだな。今まで以上に仲が良くて私も安心するよ。その仲良さで研鑽を深めれば、リーグに行っても挑みがいがありそうだ」
「なっ！！……か、通い妻、だと！？」
ブライアンの言葉に頭が真っ白になる。反対に、顔は真っ赤になっているだろう。
通い妻……そんな風に見られてしまうのか……？
「ああ、そういや、姉貴のトレーナーは新しいウマ娘のスカウトを始めるらしいな。生徒会の方で申請があったのを見た。チームメイトを得た姉貴がどうなるのか、そっちも楽しみにしてるよ」
妹はそっけなく手を振りながら去っていった。
通い妻……。

「ハヤヒデ。週末に残していってくれたカレー、美味しかったよ。あれならナリタブライアンも満足すること間違いなしだ」
「あ、ああ、ありがとう」
次の日のトレーニング時間。彼を顔を見るのが気まずかった。
通い妻……通い妻？そんな風に見られる可能性があるとは。
トレーナー君は独身だし、私は成人間近の女性だ。そして女性が毎週手料理を彼の家に作りに行く。そのような関係に見られてもおかしくない……のか？
「サラダの方も美味しかったよ。あのドレッシングは手作りだろう？カレー以外も料理が上手なのはわかってたけど……ハヤヒデは良いお嫁さんになりそうだな」
っと、こういうことは今時じゃセクハラ発言かな。そんな言葉を続けながら、トレーナー君がはにかみながら言う。
彼のその言葉と表情で、先刻までの戸惑いなどはあっさりとかき消された。
トレーナー君が喜んでくれているのなら、いいんじゃないか？

「話を変えるけれど、前から検討していたチーム発足を本格的に始めることにしたよ。新しいウマ娘をスカウトする。申し訳ないけれど、その影響でハヤヒデのトレーニングに付き合う時間が少し減ると思う」
話題転換をした彼の言葉を聞いて、気持ちがスッと冷めた。
「わかっている。私もチームの先輩として、後進の面倒を見ないとな」
「ありがとう。でもハヤヒデは俺のトレーナーの最初のキャリアを支えてくれた大事なパートナーだから。これからも一番にサポートするよ」
そんな依怙贔屓はいらない。平等に扱ってくれ。
そう言うはずだったのに。
「た、頼む」
そんな情けない言葉しか、返せなかった。

「なるほど、夏野菜カレーか。野菜に合わせて加熱具合を変えているのか？手が込んでいるな」
走る才能のある妹は、料理に対しても才能があるのか。私の工夫をあっさりと見抜いた。
さすがナリタブライアンというところだろう。今となっては、彼女の姉であることが誇らしい。
彼女とトレーナー君、そして私。三人でトレーナー君の部屋で夕食を採るのも何度目だろうか。

「さっき洗面所を借りたら、歯ブラシが2本あったが。あれは姉貴のか？」
「ああ。ここで料理をして食べた後、歯磨きをして帰ってるんだ」
「……このコップも、姉貴専用なのか？」
「まあ、私は必要なかったのだが。せっかくだからというとでトレーナー君が揃えてくれたんだ」
彼は少し恥ずかしそうに微笑んだ。
そしてスプーンを口に運んでは美味い。前よりも美味しくなっている、と言う。褒め過ぎじゃないか？
「……もう、一緒に暮らしたら良いんじゃないか？」
ブライアンがポツリとつぶやいた。

「なっ……！何を馬鹿なっ！」
担当ウマ娘とトレーナーがそういう間柄になるのは特段不自然なことではないが、いささか早すぎるっ……ではなくて、まだ、私達はっ……！
「そうなってくれると、すごく嬉しいけどね。……でも、これからチームを持つから。新しく入ってくれる子に最初からいるウマ娘との扱いを見せるのは負担になるだろうと思って。だから、そういうのは、もっと先の話だね」
トレーナー君はほんの少し顔を赤らめながらも、平然と未来について語った。
……えっ？えっ？
「ふっ……なるほど。さすが姉貴のトレーナーだ。これなら姉貴も安心だな」
二人の間で妙な意識の疎通ができているようだった。

私は二人が朗らかに会話を、そして未来の私達について話を進めていくの、呆然と見守っていた。

クソボケじゃない！

クソボケじゃないだと…っ！？？

おかしいのは私だけなのか！

このトレーナーはデキルやつだ…

夏野菜カレーか
夏野菜といえばナスやトマトだが個人的にはズッキーニがおすすめだ

夏野菜って三文字に対して若干警戒する気持ちを分かって欲しい

ズッキーニ美味しいよねナスと近いけどまた違った感じのが

クソボケじゃないハヤヒデのTも良いな…

クソボケじゃないからブライアンも気ぶらない！

ああ…義兄貴と呼ばせてもらう日も遠くなさそうだ

抱けー！抱けーっ！

新入りのウマ娘もすぐに察するんだろうな…

たまにはクソボケじゃないトレーナーもありかなと思った
ハヤヒデはたぶん奥手のまま

むしろ新入りもビワハヤヒデとトレーナーの仲を応援する側に

トレーナーは最初からハヤヒデにゾッコンだからな…

ハヤヒデは覚悟決めたトレーナーにふわっと押し倒されて初体験して欲しい

ルーを入れる前に火を止めてそのまま予熱で溶かしてから再加熱するように説明書きがある
入れてからじゃとろみがつき始めてしまってアクはろくに取れないんだ

絶対新入りにハヤヒデさんとトレーナーさんってお付き合いされてるんですよね！？って聞かれるやつ

トレーナーにリードして貰うハヤヒデ良い…

ハヤヒデ包囲網を敷けっ！

>絶対新入りにハヤヒデさんとトレーナーさんってお付き合いされてるんですよね！？って聞かれるやつ
思いっきり慌てふためいて否定してしまって新入りの子にへぇ…じゃあ私もまだチャンスあるんですね…とか言われて欲しい…
チャンスはない

揚げ茄子を後からのせるのもいいぞ
カレーは無限大だ
それはそれとして気ブライアンじゃなくていいのは楽で良かったな

>思いっきり慌てふためいて否定してしまって新入りの子にへぇ…じゃあ私もまだチャンスあるんですね…とか言われて欲しい…
>チャンスはない
同じことトレーナーさんにも聞いてて姉貴のケツ蹴っ飛ばすやつだ

ナリブもプレイアブルになってどんなトレーナーとの絡みが見れるか楽しみですよ私は

ハヤヒデは総受けだよね…

シェフハヤヒデ
夏野菜スペシャル

甥と姪の顔も近々見れるな
これで三冠も有馬も全て無敗で完勝してついでにマヤノも蹴散らせられる

ハヤヒデとタイシンはカレー作れそうだ（タイシンは作ってた）けどチケゾーはどうなんだろう全然想像できない

>チャンスはない
その気も無い
気ぶり二号

マヤ明日になったらブライアンさんの育成失敗させる予定だからいいもん…

>ハヤヒデとタイシンはカレー作れそうだ（タイシンは作ってた）けどチケゾーはどうなんだろう全然想像できない
姉貴はヒシアマ姉さんと一緒にカレーかハンバーグを作ってた
タイシンは福引で当てたハンバーグを崩してボロネーゼ作ってた

チケゾーは味が平気でも見た目がだいぶボロい感じの料理作りそう
BとNが超マトモな分大失敗が出てくる気はあんまりしない

>夏野菜って三文字に対して若干警戒する気持ちを分かって欲しい
なんで…？

>なんで…？
夏野菜は傷みやすいからカレーも日持ちできないのだ
年がら年中だけどじゃがいもも入れると傷みやすくなるから注意するのだ

>>なんで…？
>夏野菜は傷みやすいからカレーも日持ちできないのだ
>年がら年中だけどじゃがいもも入れると傷みやすくなるから注意するのだ
「」の事だから変なミーム抱えてるんじゃないかと思った俺を殴ってくれ

ナリブが安心できるハヤヒデトレは健康に良いとされている

じゃがいもは入れないほうが美味しいし長持ちするカレーになるのに何故か皆入れる不思議な食物
牛乳とかバターは痛みやすさの代わりにカレーを美味しくするスーパーアイテム
両方合わせるとカレーは数日放置で死ぬ

カレーを数日放置することないから知らなかった…
翌日には食べ終わるし…

作り置きできないので毎日作ってあげる…これだな

>じゃがいもは入れないほうが美味しいし長持ちするカレーになるのに何故か皆入れる不思議な食物
長持ちするのはともかく美味しいかどうかは好みにもよるし一緒に煮込むのは手間の省略の面もある

>カレーを数日放置することないから知らなかった…
>翌日には食べ終わるし…
たくさん作って保存しておくだけで数日は料理しなくていいという心の余裕を買うんだ
ひと手間かけて出汁と水で伸ばしてカレーうどんとかにしてもいいしバターライスを敷いた耐熱皿にかけてドリアっぽくしてもいい

もう結婚まで秒読みじゃないか！
良かったなブライアン！

じゃがいもは入れるととろみが増すのでものによってはあった方が良いかなと思う
日持ちはしなくなる

俺はひと鍋作ってこれで3日分の夕食にはなるかな…とか思ってたのにその次の朝にはなくなってるから…

じゃがいもいっぱい入ったカレー好きだけど確かに保存聞かないよね…

>俺はひと鍋作ってこれで3日分の夕食にはなるかな…とか思ってたのにその次の朝にはなくなってるから…
沢山作ってももって翌日の夜までだよね…

>私はひと鍋作ってこれで３日分の夕食にはなるかな…とか思ってたのにその場で無くなってるんだが？

同じ材料を同じ方法でカレー作っても母ちゃんの作ったカレーの方が全然うまいのなんでだろ

3大大量に作ったのに余らない料理
カレー　角煮　おでん

突っ立っているハヤヒデがえ？とか言うたびに背景がトレーナー室から教会を経て
最後はマンションに切り替わって子供抱えて数年吹っ飛んでそう

>同じ材料を同じ方法でカレー作っても母ちゃんの作ったカレーの方が全然うまいのなんでだろ
自分で作るのではなくて他の人に作ってもらったっていう工程が感じ方を1段階プラスするんだ
1日働いて1万円貰ってもなんとも思わないけど道端で1万円拾うと嬉しいのと大体一緒だ

実家と使ってる鍋が違うせいで味がちょっと違ったことがあった
なんか結構些細な事で変わるもんだなと思う

クソボケじゃないのいいな…
このトレーナー君は完璧に反論の余地無い雰囲気作りをしてハヤヒデに迫るよね

>ハヤヒデはたぶん奥手のまま
私
性
合

>実家と使ってる鍋が違うせいで味がちょっと違ったことがあった
>なんか結構些細な事で変わるもんだなと思う
鍋は火の通り方とかで割と影響あると思う
なんならちょっと前の調査でひじきの栄養価から鉄が大きく下がったのは鉄鍋使わなくなったり鉄釘入れなくなったせいだって話だし

ほとんどのトレーナーが学生をその気にさせないようにクソボケを演じているって信じたい

トレーナーから直球の好意ぶつけられてハヤヒデの目がぐるぐるになるのいいよね

トレーナー君に「いいよなハヤヒデ？」とか情熱的に迫られて
色々言い訳考えてみるも全部的外れなことばっかりで
最終的に「はい…」って敬語で受け入れるハヤヒデが見たい見たい

>トレーナー君に「いいよなハヤヒデ？」とか情熱的に迫られて
>色々言い訳考えてみるも全部的外れなことばっかりで
>最終的に「はい…」って敬語で受け入れるハヤヒデが見たい見たい
おめえが書くんだよ！

>トレーナー君に「いいよなハヤヒデ？」とか情熱的に迫られて
>色々言い訳考えてみるも全部的外れなことばっかりで
>最終的に「はい…」って敬語で受け入れるハヤヒデが見たい見たい
言ったな？
書け

クソボケでは無いけど正式な告白兼プロポーズは間違いなく姉貴が引退を決めてからの義兄貴

ハヤヒデには気兼ねなく走ってほしい
その後の面倒は全部俺が責任取るから
って笑顔で言いきるよここの義兄は

話題の半分がカレーなせいでお腹が空いてきたんだが？