二次元裏@ふたば

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59105 B21/05/16(日)14:01:01No.803311945そうだねx1 15:04頃消えます
レース後の検討の時間は私達ウマ娘にとって大事なものです
それが勝利した時でも、負けてしまった時でも振り返る事で次への糧にかわります
それでも苦い経験の後にはどうしても躊躇いが出てしまう。そういうものです
「遅かったな、ダイヤ。まだ昨日の疲れが残っているか?」
「いえ。大丈夫ですおじ様」
私がトレーナー室のドアを開けるといつもの様子のおじ様が待っていました
おじ様
普通の専属トレーナーさんとウマ娘とは私は少しだけ違っています
それは私と彼が正真正銘の血縁関係にあり、叔父にあたる方なのです
小さいころはお兄さんと呼んでいましたがトレセン学園で再開してからは
こうしておじ様、と呼ぶようになりました
おじ様はまだおじさんて呼ばれる歳じゃないんだが…と愚痴っていましたが
最近ではもう慣れてしまったようです
「まずは皐月賞お疲れ様。じゃ、早速だが昨日のVTRを見る所から始めるか」
「…はい」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/16(日)14:01:11No.803311999+
机に置かれたノートパソコンには既に昨日のレース中継が映し出されていました
そしてホワイトボードには昨日のレース場と、番号のついたマグネットがついています
「ところでダイヤ。君のライバルは誰だ?」
「キタちゃんです」
「うん。それは知ってる。キタちゃんとは俺も付き合いが長いしな
…俺は昨日、レースが始まる前にも同じ事を聞いたな。そしてダイヤは同じ答えだった」
「はい」
「じゃあ、レースを見るか。客観的な視点から自分の位置取りと視線の先を見るといい」
結果は分かっていても、胸が嫌な鼓動を始めます
レース序盤。ここは私もキタちゃんも順調でした
キタちゃんの背中を見ながら走る私が第一カーブに差し掛かります
「ここでキタちゃんがアイネスフウジンとセイウンスカイとの先頭争いを始める
最速を目指す優秀な逃げウマが3人も揃ったんだ。当然の事だな
激しい競り合い、そしてやや後ろには他の逃げウマの姿も見える」
221/05/16(日)14:01:26No.803312077+
思わず下唇を噛む。ここで私にもキタちゃんが汗を拭うのが見えた
「レース前から彼女の育成状況は俺も把握していた。スピードは充分足りている
皐月賞に出た逃げウマだと彼女が最速だ。ただ、スタミナは不安が残る状態だった
加えて天候は雨。九州地方は最速で梅雨入りしたってな
…そしてここだ。ダイヤが先行集団の後ろの方に掛かって上がってしまった」
「…そうです」
「何を見ていた?」
「キタちゃんを、見ていました」
キタちゃんの競り合う様子に夢中になっていた私はいつしかおじ様と打ち合わせをしていたペースを無視し
気づけば徐々にペースを上げてしまっていました
その事に暫くして気づいた私は混乱します
このままキタちゃんを追うのか
ややペースを落して位置を下げるのか…
321/05/16(日)14:01:36No.803312137+
「ダイヤの混乱はこの中継からも良く分かる。だが体勢を整えるよりも先にレースは動いていた
アグネスタキオンは流石だな。逃げウマがまごついている内に差を詰め、そしてスパートをかけている
これに呼応するかのようにダイヤの後ろにいた差しウマ達も一斉に位置を上げ始めた」
「はい。結果私はそこに巻き込まれるかのように加速するしかありませんでした
…それに、ここでペースを落したら差し切れなくなるとそう思いました」
「そうだな。もっとも、バ群を抜け出すのであればそれも余地があったぞ」
「…あ…」
言われて初めて気づく。中距離、それに皐月賞は2000m
余裕を持っておこうとつけておいたスタミナであれば対象の無理がきいたはずだ
逆にいつもの状態に戻す事ばかり考えていて私はそこまで頭が回らなかった
「…そして最終直線だ。後ろから鬼が来た」
「ナリタタイシンさんですか」
「見事だと思うよ。自分の前が混乱状態にも関わらずこの子は淡々と試合を運んでいた
タキオンのスパートすらどこ吹く風で悠々と後方から溜めていた末脚を爆発させ、1着を決めた」
「……」
421/05/16(日)14:01:47No.803312206+
そしてキタちゃんは4着、私は6着という惨敗に終わったのだ
「改めて聞こうか。ダイヤ、君のライバルは誰だ?」
「キタちゃんと、レースに出ている皆さん全員です」
「…そうだな。事実レース前のインタビューでも二人はそう答えていたし
期待の大型新人という事で君達のレースには皆期待していた
それは、俺もキタちゃんのトレーナーも、ファンも同じだよ」
「……っ」
息が詰まる。溢れる涙を堪えながら、お腹に力を入れる
「…はい」
「だが、レース場では皆が平等にライバルで、競争相手だ
俺自身、ダイヤは聡い子だから一言だけかければ分かってくれるという油断があった
結果持前の金剛石の様な忍耐強い走りはライバルとの公式試合での初勝負という熱に負け
崩れてしまったな」
画面の中では普段不愛想な顔をしているナリタタイシンさんが笑顔で観客に手を振っている
背後を走る私とキタちゃんは…今と同じ顔をしているだろう
521/05/16(日)14:01:58No.803312265+
「さて、今日のトレーニングだが」
「何でも言ってください、おじさま!」
「…今日はもう帰れ」
「えっ…?」
「見たところ、やはり体調も精神的にもそれが必要だ。ゆっくり休むといい」
「いえ、出来ます!私走りたいんです!だから…!」
「最初に俺は言ったよな?姉貴…君のお母さんに頭を下げてどうしてもとお願いされた時
叔父と姪としてではなく、れっきとしたトレーナーとして君を指導すると
そして君も姉貴も、それで構わないと承諾した
だからこれは叔父としての言葉でなくトレーナーとしての指示だ。休め、サトノダイヤモンド」
「…分かりました。失礼します」
「ああ、気をつけてな」
そう言うと素っ気なくおじ様は私に背を向け仕事に移ってしまった
思わず何か私も言おうと口を開いたが、皐月賞までのおじ様の熱心な指導と
事前にあれだけ行ったはずのキタちゃん意外のマーク選手の事が今更頭に蘇ってきた
621/05/16(日)14:02:09No.803312321+
(来おった…)
721/05/16(日)14:02:10No.803312324+
出てきた色々な言葉
謝罪であったり、子供っぽい癇癪であったり、それらが全て引っ込んでしまう
また混乱してきた私はそのまま、逃げるようにしてトレーナー室を後にした
821/05/16(日)14:02:30No.803312443+
「…いつまでこんなところで座ってるんだ?ダイヤ」
「おじ様…」
体育座りで自らの膝から顔を上げると河川敷はいつの間にか夕暮れになっていた
涙でぐしゃぐしゃになっていたのを思い出し、慌てて目元をジャージの袖で拭い取る
「門限過ぎて叱られても知らんぞ」
「いいじゃないですか別に…そんな事よりおじ様はどうしてここが分かったんですか?」
「どうしてもクソもお前…昔っから凹むとここに来てたろうが
キタちゃんと喧嘩した時とか、姉貴に叱られた時とか」
「うー…こういう時ばっかりおじさんぶるんですね」
ジト目をしてやると苦笑したおじ様が私の隣へと座り込む
「…本当はな。断るつもりだったんだ。トレーナーの話」
「え…?」
「だって可愛い姪っ子だぞ?トレーナーは時に今日みたいに厳しく現実を突きつける事が必要だ
嫌われるのも覚悟で、指導はしなくちゃいけない。それが嫌だった」
「おじ様…」
921/05/16(日)14:02:42No.803312522+
「けどな、考え直した。その姪が俺以外の誰かに叱られるのも嫌だった
結局は道は一つしかなかったわけだな…。ごめんな、キツイ事言って」
「…いいえ…いいえ」
改めて思い出す。小さいころから、おじ様の夢もまたトレーナーだった
それをキラキラした目で話してくれるおじ様が好きだったから
私も走りたかったし、キタちゃんというライバルと同じ舞台に立ちたかった
「おじ様」
立ち上がる
立ち上がる。色んな悔しさと、後悔を振り切って私は改め立ち上がる
「やりましょう。二人で。明日からまた!」
「言われるまでもない。ダイヤ。約束したろ、君を一人前のウマ娘にするって」
「はい!ただ、一つお願いがあるんですがいいですか?」
「ん?」
1021/05/16(日)14:02:56No.803312587+
「おんぶ、して下さい」
「お前…」
「ね、いいでしょ?何だか無性に懐かしくなって…ねえお兄さん」
久々に出た「お兄さん」は私とおじ様二人だけの合図だ
どうしようもなく甘えたくなった時に出る、二人だけの秘密
「トレセン学園が見える前に下ろすからな」
「えぇ…」
「えーじゃねえよ!ほら!乗るのか、乗らんのか!」
「えへへ…乗ります」

やがて夕暮れの中叔父と姪はその影を一つにして再び戦場へと戻っていく
その先に末のが栄光か否かはまだ、分からない。
1121/05/16(日)14:04:19No.803313007そうだねx7
「お前な自分がおしめ変えた事もある奴に欲情できる訳無いだろ!」
といつかトレーナーが言う事になる展開を作りたくて書きました
1221/05/16(日)14:06:12 ID:5WsfYTikNo.803313590+
削除依頼によって隔離されました
ステータス足りなかっただけだろ
まぁ差しはどんだけあっても事故るが…
1321/05/16(日)14:07:24No.803313956そうだねx22
>ID:5WsfYTik
賢さが足りないようですね
1421/05/16(日)14:10:38No.803314953そうだねx3
健全ヨシ!
1521/05/16(日)14:15:29No.803316369+
トレーナーとおじさま二つの顔使い分けるのいいよね
1621/05/16(日)14:17:01No.803316846+
>トレーナーとおじさまとお兄さんの三つの顔使い分けるのいいよね
1721/05/16(日)14:21:20No.803318171+
>「お前な自分がおしめ変えた事もある奴に欲情できる訳無いだろ!」
>といつかトレーナーが言う事になる展開を作りたくて書きました
ウワーッぐうの音も出ねえ!
コメくいてー顔で目の幅涙をヨヨヨと流すダイヤちゃんが幻視出来た
1821/05/16(日)14:24:14No.803319045+
よかったおじ様と書かれた瞬間道着のあの人が浮かんでたから
1921/05/16(日)14:24:22No.803319082+
なら私の子供のおしめも変えたっていいじゃないですか!
掛かりすぎだ阿呆!
みたいな気安さでケンカしてほしい…
2021/05/16(日)14:24:49No.803319204+
俺もな…若い頃はヒーローだったことがある
ダイヤと舞台は違うがな
2121/05/16(日)14:38:32No.803323514+
インモラルな関係ほど輝きを増していくウマ娘だよ
2221/05/16(日)14:38:54No.803323624+
>なら私の子供のおしめも変えたっていいじゃないですか!
>掛かりすぎだ阿呆!
>みたいな気安さでケンカしてほしい…
「でもお母さんが言ってましたよ!「私のことスケベな目で見てたし、そんな若い頃の私そっくりなダイヤ見て掛からない筈がない」って!」
「あのクソ姉……」
くらいにダメな喧嘩をして欲しい
2321/05/16(日)14:44:19No.803325368+
お母さん…ってか姉貴はどんな性癖してんのぉ?!
いいの?!娘よ?!
2421/05/16(日)14:48:12No.803326611+
まぁ…トレーナー35、サトちゃん20くらいの年齢になれば…
いけ…いけ…やっぱ犯罪だこれ
2521/05/16(日)14:49:51No.803327136+
ロリコンの誹りは免れんな!
2621/05/16(日)14:51:46No.803327688+
幸せそうだから許すが…
2721/05/16(日)14:57:35No.803329603+
この娘…トレーナーも悪くは思ってないのをいいことに押して押して押しまくれば勝てると思ってやがる…!
2821/05/16(日)14:59:28No.803330230+
叔姪婚は日本じゃ認められないよ!


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