「いや、気分では、あるんだが……そうだな、これはちゃんと言うべきだろう」
神妙に居ずまいを正しながら、ルドルフは真剣な眼差しで俺を見た。美しい。
「恥を忍んで言う。体重が増えた」
変わらない、と言ってはいけない。多少の増減は日々あるが、敢えてあのシンボリルドルフが「増えた」と言うのだ。許容範囲を超えたという事だろう。
「なるほど」
「つまり、こんな体で君に抱かれるのは……嫌だ」
気にしない、とも言ってはいけない。気にしているから彼女はこう言うのだ。むしろ「まあ気にしないならいいか」と体を開くシンボリルドルフなど見たくもない。
ならばトレーナーたる俺に打ち明けた彼女の心をこそ汲むべきである。
「明日からのメニューを少し有酸素運動に傾けよう。それと筋力トレーニング」
「すまない……兆候はあったんだ。食堂の味見がここ最近増えていてね」
「あれか。頼りにされてたもんな」
心底申し訳無さそうな顔を撫でて、ノートパソコンを開いた。メニューの入れ替えだ。
「先にシャワー使ってくれ。大した作業量じゃないから」
「うん。ありがとう」
頬にキスをして浴室に向かう愛バのために、脳をフル稼働させた。

翌日、午前中は筋力トレーニングを、午後からは長時間長距離のジョギングを共に行う。
何より日々の鬼気迫るかのような走り込みではない皇帝の姿は、見る者により身近に感じさせるものらしく、道中幾人もの生徒が挨拶を投げかけてくる。
中継地点の公園で一休み。嬉しそうに額の汗を拭い、ジャージの胸元から風を入れるルドルフは、昨夜の神妙さが嘘のように楽しげだ。
「うん。やはりただ走るというのは楽しいね」
「久しぶりに個人的な理由で走ってるしな」
「意地の悪い。君との併走がどれほど楽しいか解るか？」
わざとらしく唇を尖らせて抗議する彼女の姿は、どこにでも居るダイエットに勤しむ女学生だった。そういう一面が、たまらなく愛しい。
「俺も楽しかったよ」
「君はすぐお追従をするからな。ついしょうがない、と許してしまうが」
地球の裏まで伝えたい至高のギャグも飛び出した。それだけ、彼女は今を楽しんでくれたのだろう。
「本当はもっと君との併走を楽しみたいけどね」
「俺は頭を使うのが仕事だから」
「仕事じゃなければ？」
「手と口も使う」
やれやれ、と苦笑いをするルドルフと、復路に立った。

ルドルフのダイエットもとい体調勘案メニュー開始から２週間。
大成功である。折角だからとパソコンに向かい、今回のメニューと体重変化をまとめ、成長のヒントにしようとまとめておく。
「流石だな」
「メニューのお陰だよ。今後はより戒めていこう」
「多少油断していても俺は好きだけどな」
これはダイエットが終わったから言えるセリフである。間違っても開始前に口にしてはならないのだ。
だがルドルフにとってはやっぱりお気に召さないらしく、大股に近寄って椅子に座る俺を背中から抱きしめる。これは。
「下着には金属が使われている。計測時は外すべきだろう」
「インチキとは言わんが」
「２週間、何も糖質だけを我慢したわけじゃない」
ポロシャツの襟からルドルフの手が入ってくる。もうすっかりその気のようで、俺もギアを入れるべくパソコンを落とした。
「俺なんか１度躱されたんだぞ」
「その挽回もさせて欲しいな」
癖のように俺の耳たぶに舌をつけて、ねだり声の彼女と、ベッドへ向かった。
翌日、更に体重が落ちていたが、特にお互いノーコメントだった。これを最善手と考えるのは流石に退廃が過ぎる。

会長とダイエットなどをしたいだけの人生だった

相変わらずここの皇帝は大人だ…
そして知的でエロい

今日は珍しくちょっとルナってる

>「セクシーなのに」
>「バカ」
これ好き

ノーブラ攻撃はずるい

エロい…

安直な解決をしない大人はえらいな…

いいものを読ませてもらった

この軽妙なやり取りが癖になる

所々にお互いの気遣いと惚気と好意が入り混じるのがあまりにも完成されてて好き

一緒にいるだけで場のカッコよさが上がる二人

>翌日、更に体重が落ちていたが、特にお互いノーコメントだった。これを最善手と考えるのは流石に退廃が過ぎる。
うまぴょいダイエットが流行ってしまうからな…

トレーナーがデキる男すぎる...

カッコよくてえっちで可愛くもある皇帝をいつもありがとうございます

いつもかっこいい会長の乙女な部分いいよね…

1ターンで太り気味解消とはやるな

ちゃんと話の流れに沿ったダジャレが出せるとは絶好調だな

夜更かししてたらカッコいいもん見れた…

会長のちょっと低めの声で
>「その挽回もさせて欲しいな」
って耳元で囁かれたいだけの人生だった

多分見た目ほとんど変わらないだろうに抱かれることに抵抗持ちそうというの凄くわかる

ちょっとこの二人夫婦というかそれを越えた何か過ぎる歩調の合わせっぷりがすごい

>ちょっとこの二人夫婦というかそれを越えた何か過ぎる歩調の合わせっぷりがすごい
お互いに手放す気ゼロだからな…

>「つまり、こんな体で君に抱かれるのは……嫌だ」
ここ最高に可愛い…惚れ直しちゃう…

洋画とかでありそうな雰囲気でいいよね…

のど越し爽やかなイチャイチャだ
有り難う…