「夏祭りのあと大事な話があるんだ、時間空けてくれるか？」
彼はドア越しに私に告げると「玄関で待ってる」、とこちらの返事も聞かずに立ち去って行った。
昔ドーベルさんから借りた少女漫画にこんなセリフがあった気がして、もしかしてもしかしてと顔が熱くなる。
「うへー、こりゃまたお熱いですねぇ」
にやにやしたネイチャが冷やかしてくる。

「えへへ、なんだろうね」
胸のドキドキが収まらないまま、急いで準備を済ませると待ち人のもとへ駆けて行った。
「お待たせ！トレーナーさん！」

夏祭り会場と続く道は、満天の星空のもと多くのウマ娘とトレーナーでにぎわっていた。
ひっついて歩くペアも多かったが、私とトレーナーはいつもの距離で、いつもの歩調で歩いている。
デビューから2年半、どんなにつらい時も苦しい時も、2人は歩調を合わせて常に最善の努力をしてきた。
トゥインクルシリーズはまだ終わっていないけれど、トレーナーさんはすでに私にとってかけがえのない存在だった。

会場につくと、私とトレーナーさんは恋人のように夏祭りを楽しんだ。
いろんな味を楽しもうと二人でかき氷をシェアしたり。
金魚すくいに夢中になって袖を濡らす私のことをトレーナーさんが笑ったり。
突然変なお面を買ってきて私にかぶせたり。
楽しくて嬉しくて幸せな時間だった。

その幸せの中、トレーナーさんは「タンホイザ」と何度も私の名前を呼んだ。
そのたびに先ほど聞かされた「大事な話」が頭の中でちらついて、「ひゃい！」と情けない声をあげてしまう。
幸せでニヤつく私の顔を見るとトレーナーさんは、「やっぱりなんでもない、それより」と話題を変えてしまった。
焦らされてるんだろうか、胸のドキドキは収まりそうになかった。
やがて満天の星空に一輪の花が咲き誇る。
トレーナーさんは「静かなところでみよう」と、人気のない神社の裏手へ私の手を引いた。

しばらく2人で空を見上げていると、
「タンホイザ、大事な話があるんだ」とトレーナーが静寂を破る。
ついにきた、私はぐっと身がまえて緊張しながらトレーナーさんのほうに向きなおる。
　
　

2人の間に再び静寂が訪れる。
トレーナーさんは私と目を合わせたきり、何も言わなかった。
最初のほうこそ緊張していたが、ずっとトレーナーさんが私のことを見つめているのが恥ずかしく、
また予想する幸せの言葉を思い浮かべて、
「にへぇ」と笑みが浮かんでしまう。

トレーナーさんはそれを見ると笑いだして、
「タンホイザ、一緒に写真をとってほしいんだ」と切り出す。

「えっ、写真？」
予期していた言葉と違ってすこし拍子抜けしてしまった。
「ああ、俺たちの大事な想い出を形に残したくて」
確かに思い返してみると、トレーナーさんとの思い出をきちんと写真に残したことはなかったかもしれない。

「もちろん！これからもよろしくね！」
「……ああ」
そうして私たちはこの夏の思い出を写真に残し、またいつもの歩調で寮へと戻っていった。

トレーナーさんは私を部屋まで送ってくれる
「えへへ、また明日ね」
望む言葉はもらえなかったけど、まだ半年ある。
今度は私から大切な話を切り出してみよう。
がんばるぞと決意して、布団に潜り込んだ。

　
「……めん、タンホイザ」
　

__________________________________________________________
合宿が終わるとすぐに学校が始まる。
授業が終わってトレーニングに向かおうとしていると、「タンホイザさん」と担任の先生に声をかけられた。
「これ書類よ、大変でしょうけど一緒に頑張っていきましょうね」と励まされる。
「えっと、はい？」
なんのことだろう、と封筒を開ける。

　
　
トレーナー契約解除通達
以下のウマ娘とトレーナーは夏季合宿をもって契約を解除とする。
　
　

紙に書いてある文字の意味が理解できない、頭が真っ白になった。
私の顔を見て、担任が「もしかして何も聞かされていなかったの？」と驚く。
私は真っ青になった顔を縦に振る。
「トレセン学園の意向で海外のチームへ代表として転勤することになったのよ、今日の16時の便で日本を発つって聞いてるけど、タンホイザさん？！」
その言葉を聞き終える前に、私の体は勝手に駆け出していた。

学園と空港はそう近くない。
普通ならば足に自慢のあるウマ娘であっても電車や車を使うのが一般的だ。
けれど私は全速力で空港へと走る。
過ぎ去る景色に、これまで一緒にかけてきたトレーナーとの思い出が重なる。
　
どうして
　
どうして、教えてくれなかったの
　

空港にたどり着いたとき私は、身も心もボロボロだった。
自動ドアをくぐり、飛行機の発着時間が書かれた掲示板を見上げる。
掲示板の一番上の文字がパタリとひっくり返り消え、4時発の飛行機の出発を告げた。

私はその場に立ち尽くした。
全速力で走っても、間に合わなかった。

「あの、マチカネタンホイザさんですか」
空港の制服をきた女性に話しかけられる。
「……はい」
「男性の方から、帽子を被った可愛いウマ娘に渡してくれと手紙を預かっています」
私はそれを受け取るとすぐに封を開けた、見慣れた彼の筆跡だった。

タンホイザへ
急な別れになってしまったこと、本当にすまない。
夏祭りの日に何度も伝えようと思ったのだが、君の楽しそうな笑顔を見て言えなくなってしまった。
君の笑顔には沢山の人を幸せにする特別な力がある、どうかこれからも人々に夢を与える走りをしてほしい。
沢山の素敵な思い出をありがとう、君のトレーナーで幸せだった。
　
お元気で

手紙の裏面には、あの日2人で撮った写真が張り付けられていた。
こんな別れ方ってないよ
まだ伝えたいこと、伝えられてないのに

全身の力が抜けて、膝から崩れ落ちる。
「うぇ……うぇええええん！」
涙があふれて止まらない。
大切な人と離れるということは、こんなにもつらいことなんだ。

明日からまたいつも通り普通の日々が始まるというのに、
何かが欠け落ちた私には、もう普通の走りができる気がしなかった。

おしまい
タンホイザには大切な人との別れが似合うなぁ

スレ画の時点で嫌な予感がしてたけどやっぱり脳が破壊された

トレーナーがクソボケな話かと思ったらおつらい話だった…

私の性癖にはあっていますね

昨日に引き続きどうしてマチタンの脳を破壊にし掛かるの？

うががががが

よかった他の女と結婚する話じゃなかった…

おつらい

かわいい子は曇らせたくなるからな…

えっおわり…

勝てなかったから…

自分を捨てたトレーナーに復讐しようとするほど悪くもなれなさそうな娘なのが悲しい

マチタン失恋させた邪悪かテメー！

俺の脳を破壊してどうしろと言うんだ

これから秋のG1始まるってときにトレーナーを強制解除する学園て育成組織としてクソすぎない？

>トレーナーがクソボケな話かと思ったらおつらい話だった…
クソボケどころか、向き合うことも拒否して逃げ出したクソ野郎じゃないですか…

私の性癖には合っていますよ
それはそれとして許さねぇかんな

次の日から全盛期には程遠い走りをしながら心配されても大丈夫なフリしてえいえいむんするのいいよね…

最後に一回くらい抱いてやれよ…

最後にするな

マチタンが幸せになっちゃいけないって言うんですか！多感なお年頃のウマ娘を何だと思ってるんだ！理事長の鬼！人でなし！石川啄木！

>石川啄木！
言ってもいいことと悪いことがあるだろ！？

やはり年頃の娘を精神的に依存させてパフォーマンスを引き出そうとするトレセンメソッドは弊害が大きすぎるのでは…？

キスすらまだしてない？

ウマ娘を担当中のトレーナーを海外送りにするとか設定に無理ない？

>ウマ娘を担当中のトレーナーを海外送りにするとか設定に無理ない？
勅命ッ！

>勅命ッ！
ウマ娘のことなんてどうなってもいいんですね理事長失望しました
この糞ノーザンテーストが

>勅命ッ！
シバくぞ

>>勅命ッ！
>ウマ娘のことなんてどうなってもいいんですね理事長失望しました
>この糞ノーザンテーストが
解雇っ！

>解雇っ！
いつか馬刺しにしてやるからな

まあトレーナーが凄腕だけど肝心の本人がパッとしない戦績で
トレーナーの拘束期間がもったいないから契約解除して海外研修送りで経験値積ませるというのはなくはない…

実際に理事長の勅命ならトレーナーがしっかり拒否すればあっさり取り下げそうではある

マチタンはなんかそんな感じが似合うウマ娘なのも良くない

ひよって手紙にしたためるまで黙ってたトレーナーが悪いよ！ちゃんと話しなよ！

辛い
朝になれば帰ってきた話が来ると願う

理事長、タンホイザとの仲を許してやっておくんなまし…

俺はこういう娘をドロドロに甘やかして幸せにしてあげて
一方で今の幸せを信じきれず不安に揺れていて欲しい男

パワポケのバッドエンドみたいでおつらい…

おかしい…置き手紙を残して空港へ向かった相手を追いかけたらギリギリで追いつけるのがトレンディ文法のはず…
マルゼンさんから習ったのに！

いや…割と間に合わずに飛び立った飛行機に空港の屋上からバカヤロー！！！って叫んでスッキリするみたいなエンドも見たことある…

寝る前に脳破壊は悪質すぎない？
困るんだが？

マチタンも連れて行ってあげなよ！？

二期OPからもう泣き顔晒す子だからか泣き顔すごい似合うんだよね…

今夜はすごくトレンディな夢を見れそうだ

なんでこの前のといいこんなひどいことするの……？

マチタン不幸のイメージを受け付ける奴は俺が出ていってやっつける

>マチタン不幸のイメージを受け付ける奴は俺が出ていってやっつける
やっつけなくていいから甘々怪文書を書いてくれ

しばらくして海外の名バと寄り添って笑う写真と共にトレーナーの活躍が特集されるんだよね……

マルゼンさんが喜びそうな展開だなとか思ってたのに！

>今夜はすごくトレンディな夢を見れそうだ
マチタンが間に合ってたら完全にトレンディドラマのラストシーンだったな…

マチタンのことをそういう対象として見てないのも少しおつらい

>しばらくして海外の名バと寄り添って笑う写真と共にトレーナーの活躍が特集されるんだよね……
「」！(ﾊﾞｼｯ)

これ将来海外での育成ウマ娘を連れてトレーナーが日本遠征に来る流れじゃない？大丈夫？

マチタンは表面上大丈夫そうでもふと海外のトレーナーの特集とか見たらじわわってなるタイプ
その度にネイチャに背中さすられて欲しい

>これ将来海外での育成ウマ娘を連れてトレーナーが日本遠征に来る流れじゃない？大丈夫？
来やがったな女の敵！よくもまあぬけぬけと戻ってこれたな！二度と日本の土を踏めると思うなよ！
ってタコ殴りにされたあとあっちの国に蹴り戻されるやつ！

嫁と新しい担当ウマ娘を連れて帰ってくるよ

>>これ将来海外での育成ウマ娘を連れてトレーナーが日本遠征に来る流れじゃない？大丈夫？
>来やがったな女の敵！よくもまあぬけぬけと戻ってこれたな！二度と日本の土を踏めると思うなよ！
>ってタコ殴りにされたあとあっちの国に蹴り戻されるやつ！
颯爽とトレーナーを守る現育成ウマ娘！

最近別のマチタンで甘々怪文書読んだから
脳の破壊と修復の落差がひどい

>嫁と新しい担当ウマ娘を連れて帰ってくるよ
新しい担当ウマ娘目から光消えてない？大丈夫？

許してやったらどうや

海外ウマ娘からしたら慕ってるトレーナーに危害を加える昔の女なんだからそりゃ敵意むき出しになるよね
マチタンが惚れるくらいにはいい男なんだし向こうでも2,3人引っ掛けてそうだ

>>>これ将来海外での育成ウマ娘を連れてトレーナーが日本遠征に来る流れじゃない？大丈夫？
>>来やがったな女の敵！よくもまあぬけぬけと戻ってこれたな！二度と日本の土を踏めると思うなよ！
>>ってタコ殴りにされたあとあっちの国に蹴り戻されるやつ！
>颯爽とトレーナーを守る現育成ウマ娘！
トレーナーを暴力から守ることも出来ず、出来ず現育成ウマ娘に助けられるのをさめざめと泣きながら見ることしか出来なかったタンホイザ

この後タンホイザがトレーナーを見返すために血のにじむような努力の末に凱旋門で再開するんだよね…

タンホイザは曇らせていいという共通意識

曇るマチタンは美しいから許すが…

現担当ウマ娘にあなたずっと泣いてるけどちゃんとトレーナーに告白はしたの？って言われるやつ！

破壊と再生を繰り返し脳がだんだん強くなってきた

死に別れでもなく海外っていう学生には絶妙に手の届かない距離感が脳を破壊する

最後に落とすために幸せな恋するマチタンを念入りな描写したとでもいうのかよ