二次元裏@ふたば

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295182 B21/05/12(水)12:38:50No.801928608そうだねx3 14:04頃消えます
目の前では遊び盛りの子猫みたいな忙しなさで小柄が部屋中を転げ回っていた。
「えーとえーと、磨いてある靴はどれだったっけ!?
 そ、そうだ!ベスト!シャツに合わせるベストが無いよぉ!ど、どの棚にしまったっけ…!?」
私は椅子に腰掛けたまま、机の上で組んだ手の上に顎を乗せて味わい深いその姿を鑑賞する。
彼女は欠点を挙げればキリがない人だった。
おっちょこちょいで慌てん坊。朝に弱くてうっかり屋。あがり症の上に感情過多ですぐ涙ぐむ。
矮躯で非力だし鈍臭い。何だか見ていると無闇に心配になってくるような、庇護欲を掻き立てる人物である。
新人とはいえそれなりの教育機関を経てここにいるわけだから二十歳を過ぎて既に数年という歳のはずなんだけれどね。
そんな彼女が会議に遅れると焦っている姿だって私にはもう見慣れたものだった。
トレーナーが眉を八の字にしてトレーナー室のロッカーをひっくり返しているのは心温まる光景だ。
悪戯を敢行する時のような、ほんの少しの嗜虐心が私の心を華やがせていた。
「フジ!お願いっ、手伝ってよフジ!このままじゃ遅刻しちゃう!」
「はいはい。しょうがない子猫ちゃんだね」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/12(水)12:39:03No.801928673そうだねx1
まるで明日世界が終わるとでも告げられたような弱りぶりの顔でせがまれて、私はようやく席を立った。
確かに潮時だろう。目をぐるぐる回しながら急ぎすぎるせいで逆に進まない身支度を見て楽しんでいるのは。
「ベストなら右上から三段目、引き出しの一番奥に仕舞ってあるはずだよ。
 靴は君が好きなものを選ぶといい。心配しなくても全部磨いてあるよ。こないだの君自身が丁寧にさ」
「そ、そうだったっけ?急いでいるとどうだったか分からなくなっちゃって」
「でもシャツは着替えたほうがいいかな。糊があんまり利いてないみたいだからね」
「う、うん。分かったよ」
私に促された通りにトレーナーがぷちぷちとシャツのボタンを外し始める。
不器用なもので、たったそれだけでも微妙に手間取っている。
その間に私はてきぱきと机の上の必要な書類や用具をピックアップして彼女の鞄に詰め込んだ。
全く、これではどちらが支える側なのやら。
寮長として多くのウマ娘たちの面倒を見ているが、トレーナーの世話まですることになるとは思わなかった。
幸い私は他人に気を回して便宜を図るのは好きだから、それほど気苦労とも感じないけれども。
221/05/12(水)12:39:13No.801928714そうだねx1
背後では姿見の前でトレーナーが一度解いたネクタイを結び直すのに悪戦苦闘していた。
違う違う、そこはそう結ぶんじゃなくて。ああ、もう見てられない。
「やれやれ。トレーナー、貸してみて。結んであげるから」
彼女の背中の前に立ち、首元に腕を回す。ネクタイを摘んでいた華奢な細い指と私の指が一瞬触れ合った。
私よりも彼女のほうが一回り小さいのでこうしているとすっぽりと体を覆ってしまっているかのようだ。
私がネクタイをループさせている間、私の腕の中でトレーナーがえへへと苦笑いした。
「ごめんねフジ。いつも頼っちゃって。あたし、あなたのトレーナーなのに。
 フジみたく、王子様みたいに頼りがいがあたしにもあったら良かったんだけどね」
「───そんなことはないさ。君はとても頼りになる素敵なトレーナーだよ。…本当に」
私としたことが彼女の言葉に動揺していた。回している腕が少しだけ力んだのがその証左だ。
そうとも。私にとって君ほど頼りがいのあるトレーナーはいない。本心だ。
君にその気持ちを全力で真っ直ぐ伝えようと100%は伝わりきらないだろうというのがどれだけ悔しいか、君には分からないだろうね。
321/05/12(水)12:39:25No.801928772そうだねx3
細心の注意を払わねば壊れてしまう、私の脆いガラスの脚。
レースの結果だけを見てスカウトに来たトレーナーたちは私の脚が抱えるその不安を知って皆離れていった。
あの頃の私は内心焦燥感で干乾びそうな思いだった。そんな私に君が手を差し伸べてくれたのが、どれほど嬉しかったか。
レース後は人の倍の時間がかかる脚のケアへ嫌な顔ひとつせず丹念に君が付き合ってくれたのが、どれほど嬉しかったか。
恩返ししなくてはとゴール板を1着で駆け抜けた時、君が泣いて笑って全力で喜んでくれたのが、どれほど嬉しかったか。
人は私を白馬の王子様のようだと言い、トレーナーもそっくりだと頷く。私にとっては違う。
君こそが私にとっての王子様だ。君は私のガラスの脚を丁寧に手入れして、履いても壊れないガラスの靴を履かせてくれた。
それがどれほど嬉しかったか───君には分からないだろう。
「…ほら、結べたよ。うん、ちゃんと格好いいじゃないか。王子様みたいにね♪」
「もう、フジにそんな褒め方されてもあんまり嬉しくないよぉ」
そう言いつつも照れ笑いするトレーナーへ私も微笑みながら、心の内で呟いた。
───本心なんだけどな。
421/05/12(水)12:45:41No.801930566そうだねx3
ア”°
521/05/12(水)12:46:52No.801930890そうだねx3
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ああああああああああああ
ア゜
621/05/12(水)12:48:03No.801931249+
デジタル…?
721/05/12(水)12:48:13No.801931300そうだねx3
フジ寮長の担当は男は英国紳士で女は小柄なおっちょこちょいか
それぞれ良さがあるね
821/05/12(水)12:49:05No.801931534+
デジタルが死んでる…!今日はいい日になるな!
921/05/12(水)12:52:58No.801932553+
後方お姫様顔のフジ寮長いいでs カ°
1021/05/12(水)12:53:35No.801932715+
ア゚ピッ゚
1121/05/12(水)12:53:46No.801932765+
今だけで3回死んだぞデジタル
1221/05/12(水)12:55:07No.801933140そうだねx1
そこら中にデジタルの屍が散らばる…
1321/05/12(水)12:55:11No.801933161+
あら素敵…
1421/05/12(水)12:58:06No.801933960+
妖精がなにかかよ
1521/05/12(水)12:59:14No.801934252+
この寮長は独占力持ってそうな寮長
1621/05/12(水)13:02:26No.801935079+
幻の三冠バ組はシナリオの想像が捗っていいよね
1721/05/12(水)13:05:06No.801935756+
身長差いいですよ
死にます
1821/05/12(水)13:09:16No.801936770+
気軽に死ぬデジタルが多すぎる
1921/05/12(水)13:12:43No.801937610+
背中側から抱きしめてネクタイ結ぶのいいよね…
2021/05/12(水)13:15:24No.801938290+
蹂躙するようなレズぴょいして欲しい…
2121/05/12(水)13:18:28No.801939018+
最近みんな気軽に幻覚見るようになってきたな…
2221/05/12(水)13:39:07No.801943441+
>蹂躙するようなレズぴょいして欲しい…
どっちが受けでどっちが攻めなんですかね
2321/05/12(水)13:45:04No.801944584+
普段はおっちょこちょいなお姫様
クリティカルな場面で王子様になって寮長を駄目にする
2421/05/12(水)13:47:08No.801944966+
君が悪いんだぞ君が…!
2521/05/12(水)13:48:38No.801945268+
これだけやっといて寮長がポニーちゃんにされたら倒錯的すぎる
2621/05/12(水)13:50:49No.801945692そうだねx1
しっとりした独占欲を内に秘めててほしい
活躍後に言い寄ってきた他トレーナーに対して担当トレーナーが劣等感抱いてるところに独占欲を開放してほしい


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