ビッビッ！ビー！
「っ！うるっさ……」
丘の上で貨物搬入用トラックがクラクションを鳴らしながらのんびり走っていた。
窓から肩を出して実に楽しそうだ。まったくのんきなものぉっ────
意識を残して下に体だけが飛んだ。

「ったた……」
勢いよくマヤノに引き倒されたのだ。下手人は顔を埋めて固くしがみ付いてきている。
呼吸も荒く────ああ、まずい。
「マヤノ、大丈夫！私はここにいる！」
体勢を直して抱き返す。
「っはーっ、……っはーっ、……」
過呼吸症状、クラクションがトラウマに触れたらしい。
涙を押さえようとして余計に息が詰まっている。
背中をさすりながら呼びかけているとだんだん落ち着いてきたのか静かになった。

「大丈夫？」
首だけが小さく動いた。
「トレーナーちゃん……」
「なあに？」
「ごめんなさい……マヤ、心配で……」
声に涙が混じる。泣き止むように頭を撫でる。
「大丈夫だって、ほら」
胸に手を添え、答えた。
「マヤノが守ってくれるんでしょ？」

きっかけは約半年前。
私はその日に一人で春物を探しに街へでて、暴走車にはねられた。
骨折うんぬんより生垣に突っ込んだときに腹が破けて多量に出血したのがまずかったらしい。
事故から丸二週間昏睡していたと知らされたときに真っ先に彼女がどうなったか近くのナースに喰ってかかったのを覚えている。


結論から言えば、私はマヤノに命を救われていた。
偶然事故現場に居合わせたらしく、連絡の手配から応急処置までみごとな手際だったとはお見舞いのネイチャの言葉。
更には輸血のドナーまで引き受けたという。
「マヤの血がトレーナーちゃんをいつも守ってるから！」だなんて、あの年の子に言わせていいセリフではないと今も思っている。

……そう、マヤノは事故現場に "居合わせてしまった"。
目にしたのだ。私の無残な姿を。一番近くで。
わかったのだろう、この状況で何をすべきか。彼女は聡いから。
わかってしまったのだろう、すべきことをしなかった時の私の姿を。
結果、彼女は最適解の行動をとった。痛む心の傷よりも優先して。
あれ以来、以前のような爛漫とした笑みは見せなくなった。
笑うときは誤魔化すように、あるいはこちらを不安にさせまいとして。

『マヤにむちゅー、になっちゃった？』
集中力が散漫なのは、私が心配だから。
『マヤから目を離したらだめだよ♪』
目を離したすきに、こぼれていくものがあるとわかってしまったから。
彼女が一体何をした。

どうしてこんなにむごい仕打ちを受けないといけないのだ。

『マヤ、絶対キラキラな大人のウマ娘になるから……一番近くで、マヤのこと見ててくださいっ！』


泣き止むまではあと2分。
けど、私の中に置き去りになった彼女のキラキラ。
それを取り戻すまでには、いったいどれほどかかるだろうか。
きっと彼女にしかわからない。

トレーナーはライアンカットの女性を想定しています

可哀想すぎる…

私の性癖には合っていますよ

時間が解決してくれる問題だけどいつ解決してくれるのか...

思いつきでアプリの台詞を挟んだんですけど尊厳破壊の感じが増して酷いことになりました

私はいいと思う

なんだい最近はおつらい怪文書をよく見るが…

>なんだい最近はおつらい怪文書をよく見るが…
最近救いのない奴ばっかり書いてるので5月病の症状なんだと思います

👮暴走車の運転手はマヤノを悲しませた罪で極刑に処す

>👮暴走車の運転手はマヤノを悲しませた罪で極刑に処す
普通に傷害でいいじゃん！

トレーナーちゃんの傷見るたびに曇っちゃうんだ…

キラキラできなくなっちゃったマヤは美しいけどそれはそれとして克服イベントが欲しい…おつらい…

救いはないんですか！？