1.「むー…。」 物陰に隠れて食堂をうかがう明らかに不審なボクの視線の先にあるのはボクのトレーナーとカイチョー。 さぞ楽しそうに談笑する2人を引き合わせたのはボク。 きっかけはカイチョーが最近スランプ気味だっていうからボクのトレーナーにアドバイスをもらったこと。 ボクの再三のケガのおかげでトレーナーはまだまだ新前だけど不調のときの対応は他のトレーナーに群を抜いていた。 最初はボクも含めて3人でカイチョーのスランプ克服に向けて頑張ってたのに…気づいたら2人で会う機会が増えてたみたい。 「それにしても仲良くなりすぎじゃない?!」 カイチョーもこの前のレース、後続なんて寄せ付けない走りで1位だったんだからそろそろボクのトレーナーを必要とすることはないでしょ! スランプなんてのはただのきっかけでボクのトレーナーに近づくことが目的だったんじゃないの?!なんて余計なことを考えてしまう。 ボクはカイチョーのことが大好きだ。トレーナーのことも大好き…だけどカイチョーへの大好きとは違う。 どんなつらい時も一緒に乗り越えてきたトレーナー。そんなトレーナーを一1人の男性として好きになることに不思議はなくて…ボクは初めてを彼に捧げた。 最近は大事なレースも近くてお預け気味だけど…レースの為にがまんがまん。 ボクはモヤモヤする気持ちを抑えて食堂を後にする。 「次のレースが終わったらまたトレーナーの部屋に泊まっても…いい?」 ボクはトレーニング後の人もまばらな練習場で大好きな彼の顔を見上げる。 「いいよ。俺はテイオーのトレーナーだから。最近はその…できてなかったしね。」 トレーナーだって気持ちは同じなんだ。次のレースは絶対勝たなきゃとボクは思った。 トレーナーの言葉を思い出しながらその日はベットに潜り込んだ…けど食堂での光景を思い出しちゃってなか寝付けなかった。ボクは少し夜風にあたることにした。 バレないように裏口から寮を出るとまだ肌寒い春の夜風。 明かりもまばらな寮から学園の方へこの気持ちをなんとか鎮めようと走る。 もう日付を回った頃かな。さすがにそろそろ寝ないと明日のトレーニングに響いちゃう。 レース前に大好きなトレーナーを困らせるのは少し尺だからいい加減帰ろうと思ったら… トレーナー室に明かりがついているのが目に入った。 「あそこは…僕のトレーナーの部屋?」 見間違えるはずはないあそこはボクのトレーナーの部屋。いつも無敵のテイオー様のレースプランを練ったりマッサージをしてもらったりしてるまさにその部屋だ。 「トレーナーこんな遅い時間まで頑張ってるんだ…」 ボクのために…と胸が熱くなるのを感じながら足はトレーナー室へと向いていた。 こんな時間に出歩いてるのバレたら怒られるだろうな…でもいつも一緒に頑張ってくれるトレーナーあっての無敵のテイオー様なんだから少し労をねぎらうくらいいいよね! せっかくなら驚かしてやろうと足音を立てずに目的の部屋にたどり着く。 そして音をたてずにドアノブを回して少し扉を開くと… 「あぁ…?いいぞトレーナー君…ッ?」 ボクの目に飛び込んできたのはソファに座るトレーナーとその上に覆いかぶさるカイチョー。 カイチョーの腰の動きに合わせて水音とソファのきしむ音が夜のトレーナー室に響く。 ソファの周りには2人の衣服が散らばっていて…2人はお互いに夢中でこちらに気づく様子もない。 「なんで…どうして…」 声も出せずにその場にへたり込む。 ボクの大好きなカイチョーが…ボクの大好きなトレーナーのモノを…。 呼吸が苦しい。胸が締め付けられる。 トレーナーとの初めての夜、トレーナーも未経験だと頬を染めながら言ってくれた。 お互い最初で最後の相手になると思ったらホントに嬉しくて…幸せで…気づいたらボクは泣いてた。 なのに…どうして…。 「トレーナー君…ンッ?…テイオーがいながら他のオンナを抱く気持ちはどうだい…ッ…?」 「やめてくれルドルフ…いまテイオーの名前は…」 「2人の時はルナと呼ぶよう言っているだろ…?ンッ…?」 2人はボクも経験したことのない濃厚な口づけをして…獣のようにお互いを求めあう。 ボクはその場から立ち去りたいと思いながらもその最悪な光景から目を離せず… 気づくとボクの手は下腹部へと伸びていた。 2.カイチョーのカラダがビクビク震える。 トレーナーも果てたのだろう。普段ボクが受け止めているそれはカイチョーに注がれポタポタとソファにこぼれる。 トレーナー…ボクとの夜よりも蕩けた顔してる…。そんなことを思うとまた胸が苦しくなる。 この感情はなんだろう。嫉妬…悲しみ…それから…。 気づけばボクの足元には小さな水たまりができてた。 もう帰って寝よう。頬に伝う涙をそっと拭って音を立てないようにその場を離れる。 そういえばトレーナーが果てたときニンマリしたカイチョーと目が合った気がしたけど…さすがにそれはボクの思い過ごしかな。 一睡もできなかった翌日の朝練はさすがに行く気になれなくて、適当な理由をつけて休んだ。 学園に行く前に泣き腫らした顔をなんとかしなくちゃ。慣れない化粧をしてごまかす。 トレーナーに喜んでもらうために覚えた化粧なのにな…。いけないそんなこと考えてたらまた泣いちゃいそう。 重い足取りで放課後のトレーニングに向かうと心配そうな顔のトレーナー。 そうだよね。ボクが朝練休むことなんてまずないもんね。 「テイオー大丈夫か…?調子悪いなら今日は軽めのメニューにしとくか?」 誰のせいだと思ってるの…?そんな言葉を飲み込んで笑顔で大丈夫と返す。 それでもトレーナーは心配してくれて今日は軽めのメニューにあとはトレーナー室でマッサージを受けることになった。 いつもと変わらないトレーナー室に入る。 「ソファに座ってくれ。」 促されるままソファに腰かけると片膝立ちのトレーナーが真剣な顔でボクの脚に触れる。 「脚は…いつも通りだな。」 もうだからボクは大丈夫って言ってるのに…。 いつもだったら愛されっぷりにニヘヘと照れちゃうところだけど…ソファの匂いがボクの幸せを阻む。 トレーナーは頑張って消したつもりだろうけど…かすかに香るカイチョーの匂い。 トレーナーはヒトだから気づけないのは仕方ないけどカイチョーはウマ娘なんだからもう少しバレないようにしてほしかったな。 まぁ見ちゃってるんだけど。 「よし!マッサージはこんなもんかな。」 ボクの脚から手を放して立ち上ろうとするトレーナー。 すかさずボクはトレーナーの首元に抱き着いてソファに引き寄せる。 「テ…テイオー…?」 「ごめんねトレーナー。ボク次のレースまではガマンできないや…。」 今ここで…シよ? もうホントに流されやすいんだねトレーナー。 でもそれはボクにだけだと思ってたのに。 ボクはカイチョーの匂いがするソファで…愛するトレーナーに抱かれた。 3.―ガチャ。 トレーナー室の扉が開く音で目が覚めた。 トレーナーにソファで…カイチョーの匂いがするソファで愛されたあと寝ちゃってたみたい。 昨晩は頭の中がぐちゃぐちゃで寝れなかったし無理もないか…。 素肌にかけられた毛布を剥がして体を起こそうとすると… 「邪魔するぞトレーナー君」 今いちばん聴きたくない声…大好きな、大好きだったカイチョーの声。 ボクは慌てて毛布をかぶってソファに顔をうずめる。 「しっ!テイオーが寝てるから」 「おやトレーナー君もなかなかの畜生だな…私を抱いたまさにその場所で自分の愛バを抱くとは…」 「これはテイオーに求められて…頼むルナ今日はおとなしく帰ってく…ンッ…!」 静かな部屋でクチュクチュと水音だけが聴こえてくる。 今すぐ体を起こして、やめて!と叫べばそれで済むこと…だけどボクは何もできなかった。 「ンッ…ハァ? トレーナー君?私はこんな日も高いうちからトレーナー君に愛してもらえるテイオーに妬いてしまったぞ」 「だからそれはテイオーが…」 「私のことも抱いてくれ?今、ここで。」 そこから先は地獄だった。 カイチョーはボクが寝たふりをしているソファの背もたれに手をついて、立ったままトレーナーのモノをカラダに収めた。 悔しい。本当に悔しい。 カイチョーに憧れてトレセン学園に入った。カイチョーに憧れて三冠を目指した。カイチョーに憧れて最愛のトレーナーと出会った。 なのに…なのに…。 ボクの中で何かが崩れていく音がした。 気が付くと毛布の中でボクの手は昨日みたいに下腹部へと向かった。 ソファに伝わる振動と2人の苦しそうな呼吸を聴きながら自分を慰める。 指先にはさっきトレーナーに注がれたものが伝う。 認めたくはないけれど、静かに涙を流しながらしたその行為は今までのどんな慰めよりも気持ちがよかった。 ボクと同じものをカラダに注がれたカイチョーは満足した声で別れを告げて部屋を出た。 「テイオー…?起きてるか?」 優しいトレーナーが心配そうにささやく。 そんな声になるくらいならこんなヒドいことしないでよ。 「テ…テイオー?」 トレーナーはボクを覆う毛布に手をかけて…優しくめくった。 トレーナが見たのは目を真っ赤にしてきっとひどい顔になったボク。 「テイオーッ…?!まさか…起きてて…」 白い脚の間からは透明な液体が溢れてソファを濡らしている。 「テイオー…その…こっこれは…」 この世の終わりみたいな顔で慌てふためくトレーナー。 トレーナーのバカ。大好きだったのにひどい。ボクのことはもう飽きちゃったの。 いろんな言葉が頭を駆け巡る。なんて声をかけてやろうか。 ずっと信頼してきた人に裏切られた気持ちをどう表現してやろうか。 だけどボクの口から出た言葉は自分でも意外なものだった。 「トレーナー…心配しないで。ボクはトレーナーのこと…愛してるよ。」 泣き腫らした顔にせいいっぱいの笑顔を浮かべてボクはそう答えた。 4.「トレーナー…心配しないで。ボクはトレーナーのこと…愛してるよ。」 泣きながら笑う彼女の表情を、俺はこの先ずっと忘れることはないだろう。 今日はもう帰るねという彼女の肩を抱き、外泊許可を取らせて、朝まで抱きしめた。 ごめんと何度も謝る俺にテイオーは 「これからはボクだけのトレーナーでいてね」 と優しく許してくれた。 大事なレースも近い。これが終わったらテイオーのやりたいことにとことん付き合おう。 彼女が望む場所へ遊びに行こう。彼女がしたいことをしよう。 無敵のトウカイテイオーをレース以外の場所で傷つけたのは俺だが、同時に彼女を救えるのも俺だけだという自覚はあった。 まずはルドルフとの関係にしっかりケジメをつけなくては。 テイオーの仲介でルドルフのトレーニングにもアドバイスを入れるようになり、そこから男女の関係に発展するまではなんというか色々…あったのだが言い訳はしていられない。 話があるとルドルフを放課後の食堂へ呼び出して自分も向かう。 道すがらルドルフのトレーナーに会った。 「いや〜すいませんねそちらも忙しい中ルドルフの面倒も見てもらって」 彼は学園でも名高いベテラントレーナー。俺のような新米にとっては雲の上の人だ。 「いえいえそんなことは…。大したことはできてないです。」 「お恥ずかしながらケガでもないのに調子を崩したルドルフなんて私も見たことがなくてねぇ…。君みたいなテイオーを何度も立ち上がらせてきた男に一言二言もらえるだけでも十分貴重なことだよ。」 「アハハそれはどうも…ええ、では失礼します。」 一言二言交わすどころか大変な関係になってしまっているのだが…うしろめたさを感じながら彼と別れる。 食堂につくとルドルフは隅っこの席で一人窓の外を眺めていた。 待たせてしまったかな。急いで席に駆け寄ろうとする…がその席に近づくもう1つの人影があった。あれは… 俺は慌てて物陰に隠れて様子をうかがった。 「カイチョー。ちょっとお話があるんだけど。」 5.幼い頃は人の物を欲しがる子供だった。 周りが持ってるおもちゃ・ゲーム・洋服…いろんなものを欲しがっては両親に叱られた。 皇帝と呼ばれ地位も名誉も手に入れたが…結局根っこの部分はそう変わらないのだろう。 私の視線の先にはとびきり笑顔のトウカイテイオー、そしてストップウォッチ片手に彼女の頭をなでる専属トレーナー。 ほどよく整った顔立ちで高身長、それでもってまだ若い。好青年といったところ。 女性が圧倒的に多いこの学園では人気が出るのも必然で、テイオーの立場を羨むものも少なくないと聞く。 私はというともう少し大人の落ち着いた男性が好みだ。彼は正直そこまでタイプじゃない。 …だがテイオーと親しく接している姿を見ると無性に…欲しくなる。 私を憧れとして慕うテイオーの大切なパートナー。それを自分のものにできるなら…思わず体の内から悪い感情が湧き上がってくるのを感じた。 私はこの感情に逆らうことができず行動に移した。 テイオーの前で最近脚に力が入らないことがあるとかスランプ気味だとか呟くと彼女は 「ボクのトレーナーは怪我とかスランプには詳しいんだよー!一緒に聞いてみようよ!」 私の無粋な考えもいざ知らず彼と引き合わせてくれた。 そうして彼と面識を得たあとは少しずつ距離を詰めて…ある晩いい酒が入ったから日頃の礼がしたいと夜のトレーナー室へ。 年頃の娘が多いトレセン学園で若い男性トレーナーは発散のさせ方に悩むと聞く。 私は呑めないが適当にお酌をして肩を寄せるとすんなり私を受け入れた。 「ルドルフ…昨晩はその久々のお酒で…すまないことをした」 翌朝浮かない顔でトレーナー君は私を訪ねてきた。 「なに私だってキミのことを受け入れてしまったのだからお互い様さ。なにより女性が多いこの学園で発散のさせ方に困っていたのだろう?今後も私がキミの相手をしてあげよう」 「いやそれは…すまないキミの気持ちは嬉しいが俺にはテイオーがいるから…昨日のことも黙っていてほしい…」 黙っていてほしい…か。私はおもむろに携帯電話を取り出してある動画を彼に見せる。 「ルドルフ…こっこれは…」 「すまないトレーナー君。実は君の部屋にカメラを仕掛けておいたんだ。まさかあんなことになるとは全くの予想外だったがな…さてこれをテイオーに見せに行くとするか…」 「頼むルドルフ!それだけはやめてくれ!!」 トレーナー君は私の足元へすがり涙目で懇願してくる。 「頼む!俺にできることならなんでもする!毎日トレーニングの相談にものるしトレーナー室も自由に使って構わないから!頼む…テイオーにだけは…」 次第に弱弱しくなるトレーナーの声に反比例するように私の下腹部に熱いものがこみ上げてくる。 「それじゃあトレーナー君…私のいうことはなんでも聞いてくれ…?」 それからの日々は好きでもないトレーナー君を性欲処理の道具として使った。 他のウマ娘たちが彼に向ける眼差し、そしてなにより頭を撫でられ頬を染めるテイオーの瞳を思い出しながらの彼との行為は凄まじい快楽をもたらした。 しかしそのうち彼にも飽きてきて…そろそろ解放してあげようかという頃だった。 夜な夜ないつものようにトレーナー室で行為に及んでいると、ドアの隙間からテイオーが覗いていることに気が付いた。 彼女の絶望した目…そして下腹部を必死に弄る姿…溜まらなく興奮した。 ああダメだよテイオー…そんな目をされたら彼を手放せなくなる。 翌日は寝たふりをする彼女を見下ろしながらトレーナー君と致した。 これはもうしばらく楽しめそうだ…。 次はどんなことをしてやろうかと考えを巡らせていると、トレーナー君に食堂に呼び出された。 いったいこの私に何の話があるというのだ。キミの話なら夜な夜なベッドで聞くというのに。 食堂の隅で窓の外を眺めていると近づいてくる足音。 ようやく来たかこの私を待たせるとは何事だと視線を移すとそこにいたのは… トウカイテイオーだった。 「カイチョー。ちょっとお話があるんだけど。」 6.ルドルフの待つ食堂へ急ぐ。 彼女のトレーナーとの立ち話もあって遅くなってしまった。 俺はちゃんとルドルフに伝えるんだ。 俺はテイオーを愛してる。だからこの関係は終わりにしようと。 テイオーにルドルフとの情事を見られてしまった時点で、事の始まりである隠しカメラの映像は意味をなくしている。あとはちゃんと口にして関係を終わらせるだけだ。 ルドルフのためにも、そしてテイオーのためにも。 食堂に入り彼女が座っている席へ近づくと俺より先にその席にたどり着く人影。 俺は慌てて物陰に身を隠す。 「カイチョー。ちょっとお話があるんだけど。」 その声は紛れもなく俺の愛バだった。 「テイオー…か。私はキミのトレーナー君に呼び出されてここにいるんだがなにかあっ…」 「ボクのトレーナーのカラダはよかった?」 テイオーはルドルフの言葉を遮って話を進める。 …まずい。これは非常にまずいことになった…。 ルドルフは少し驚いた様子だったがすぐ口元にニヤリと笑みを浮かべた。 「あぁ…たまらなくよかったよ…。正直顔は全然タイプじゃないがキミの泣き顔、震える肩を眺めながらの行為はたまらなかった…。きっとこの先一人の夜は…あの光景を思い出しながら自分を慰めるのだろう…。」 「ふ、ふーん…そうなんだ。」 テイオーは震える手を胸元で合わせて必死に自分を抑えているようだった。 「ボクね、カイチョーのことが許せない…。ボクの大切な人を…カイチョーは好きでもないのに弄んで…自分の欲望のはけ口にして…」 「だが彼と巡り合わせてくれたのはキミだろう」 「こんなことになるなんて思わないじゃん!!」 テイオーの目からは大粒の涙がこぼれていた。 そろそろ潮時だろう。 俺が間に入りちゃんとテイオーに謝って、ルドルフには別れを告げよう。 俺の軽率な行動が悪いんだ。彼女たちが争う必要はない。 だが俺が重い腰をあげようとしたその時、テイオーが予想だにしないことを言い出した。 「…でもボクもうおかしくなっちゃったんだ」 頬に伝う涙を拭いて彼女はルドルフを見つめる。 「ボク、トレーナーがカイチョーに弄ばれてるの見て…そのすごく…興奮しちゃったんだ」 俺の愛バは何を言ってるんだ…?ルドルフもさすがに理解しかねるといった様子で続く言葉を待っている。 「カイチョーおねがい…これからもボクのトレーナーを抱いて…?これからもボクのトレーナーを使って?その様子をボクに見せて?」 まだあどけなさが残る年頃の彼女だが、頬を染めて息を上げるその表情は…オンナの顔…というかメスの顔になっていた。 「大好きなトレーナーに愛される夜も好きだけど…大好きなトレーナーが汚されるのはなんかこう胸が締め付けられて…おなかの下の方がキューってなって…呼吸が苦しくなって…」 テイオーの頬には一度拭いたはずの涙がまた伝った。 「だから…ね?カイチョー…悔しいけど…ほんとに悲しいけど…お願い…お願いします…これからもボクの大好きなトレーナーを抱いてください…」 腕を組んでじっと話を聞いていたルドルフはテイオーの頭に手を伸ばしてそっと撫でた。 「ああわかったよ。テイオーが望むならそうしよう…これからもよろしくな」 そう答えるとルドルフは立ち上がり食堂を後にする。 一部始終を聞いて立ち尽くす俺に気づいたルドルフは、すれ違いざま俺の肩に手を置き 「聞いた通りだトレーナー君、これからもよろしく頼むぞ?」 そう言って俺を見つめるその瞳は、ウマ娘というより肉食獣のそれだった。 「うぅ…ごめんねトレーナー…ボク…ボクはもう…」 ああどうしてこうなってしまったのだろう。 俺とテイオーの関係は、狂ってしまった。