二次元裏@ふたば

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34236 B21/05/07(金)23:26:06No.800428435+ 00:26頃消えます
かつてのトレーナーを追い掛けるようにして飛び込んだ指導者としての道。
トレーナーと担当ウマ娘の関係は十年を経てチーフとサブのトレーナーという立場へと変化して、ナイスネイチャは彼に出来ない役割をこなすことを自分に課していた。
実体験を踏まえたレースに関する指導、ウイニングライブにおける演技指導、レース後の簡単なマッサージなど。
担当ウマ娘たちと、ある意味同じ立場であるからこそ出来ることを探してそこを埋めて行くように努力していた。
となると、必然的にナイスネイチャが背負うことになる役割が一つある。

「サブトレーナー。人を好きになるって、どんな気持ちですか」

そう、思春期の彼女らの相談相手になること。一種のカウンセリングである。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/05/07(金)23:26:24No.800428566+
さておき、ナイスネイチャの今の感想はそうきたかー、という困ったものである。
地方から中央へ進学した教え子には、故郷に想いを伝え合った幼馴染がいるらしい。
輝かしい恋愛模様だが、現状は遠距離恋愛のようなものだ。
少し前に久しぶりの通話でケンカをしてしまったようで、彼女のコンディションはメンタル面の影響でかなり落ち込んでいた。
というわけで話を聞いてみたところ、こうなったわけだ。
「人を好きになる、ねぇ。なーんでアタシにそんなこと聞くかな……」
「だってサブトレ、チーフとデキてるでしょ」
「んがっ」
突然殴られた気分だった。
いやデキてるわけじゃ、確かに追っかけている立場ではあるけれどと内心の言い訳を重ねていると、
「商店街行くと、トレーナー達の昔の話よく聞かされるし。うちのチームみんなサブトレの現役時代の話知ってるよ」
「そっちかい!?」
というか、あの頃から周囲にバレバレだったのかと思うと流石に恥ずかしさが込み上げる。
いやでもそうだよね、商店街で何度デートっぽいことしたか数え切れないし……と気分を落ち着け、悩める教え子の隣に座った。
221/05/07(金)23:27:02No.800428835+
「……んで、人を好きになる気持ちだっけ? アレか、ケンカして自分が彼氏のこと好きかわかんなくなっちゃったりした?」
教え子は素直に頷いた。まあ、そりゃそうだよねとナイスネイチャも納得した。
遠距離恋愛なんてのは、積み上げた熱という貯金を切り崩して続ける節約生活みたいなものだ。
手紙や電話なんかのか細い繋がりで、いつまでも続くものじゃない。
「アイツ、私が走るの応援するって言った癖に、最近あんまり電話出来なかったことにすごく文句言ってきて……」
「そっか。まあ練習みっちりやってたら、そういうこともあるよね」
些細なすれ違いも、すり合わせが出来なければ亀裂になる。
どう言葉をかけたものかと思い、ナイスネイチャはとりあえず自分の経験を話すことにした。
「チーフ……あの人がアタシの学生時代のトレーナーだってのは、まあ知ってるよね」
商店街で聞いた、と返事が返ってくる。そりゃそうだろうとも。
「チームじゃなく専属だったから、アタシの青春はほとんどがあの人とレースだった。だからってわけじゃないけど、すごく好きでさ。卒業式の日に告白してみたの。ま、フラれたんだけど」
教え子は驚色一面に目を丸くした。
321/05/07(金)23:27:18No.800428951+
「えっ、だって、え?」
「デキてないってば。あの人頑固でさ、受け入れちゃくれないわけよ。まだね」
「なんで? チーフもあれ、絶対サブトレのこと好きでしょ」
「だと思うんだけどねー。自分で言うのもすごい嫌なんだけど、あの人アタシを硝子細工かなにかだと勘違いしてそうなんだよねー」
バカな人だな、と思う。いつまで人のことを女の子扱いしているのか。
けどそれでいいとも思う。その優しさを、一番最初に好きになったんだから。
「バカな男だけどさ、でも好き。好きだから、バカなところに目を瞑って、その分だけアタシもバカになっちゃうわけ」
子供が憧れるような大人の恋愛なんて、結局のところそんなものはないのだ。
相手の悪いところを知って、仕方ないなとため息混じりに目を逸らす。それでも視界に入るくらいに相手の存在が大きいから好きでいられる。
好きとか嫌いなんてその程度の話なんだからと、ナイスネイチャはいたずらに笑ってみせた。
「ね、その彼氏クンのためにどれだけバカになれるか、試してみなよ」
421/05/07(金)23:27:31No.800429031そうだねx1
それから二週間後、G1レースで5バ身もの差をつけて彼女はゴールした。
猛特訓と強い目的意識が、彼女の実力を十二分に引き出した結果だった。
新しいスターウマ娘誕生の予感に色めき立って取材の準備が始まるが、彼女は取材されるよりも先にカメラの前に立つと、大きく息を吸って、放つように叫ぶ。
『見てたかばかやろー!! アンタのために一位取ったのよ! 見てなきゃ許さないんだから!!』
カメラを睨み付けて、疲れ以外の理由で顔を真っ赤にして、彼女は涙ぐみながら捲し立てる。
観客が、記者が、突然の言葉に聞き入った。
『アンタが応援してくれるから私はここにいるんだから! 練習で辛いのも一人で上京して寂しいのも全部が全部アンタにこれ見せるためなんだから! こんなに好きなんだから文句言うなばかやろー!!』
熱い告白の余韻に観客席からナイスネイチャが「よく言った!」と一声あげると、それに吊られて応援の声やら指笛やらが飛び交う。
ウマ娘のレースは青春なのだ。こういうのが好きな人は、存外に多い。
521/05/07(金)23:27:50No.800429172+
ナイスネイチャの横でぽかんとしていたトレーナーが、口を引き攣らせながらナイスネイチャに視線を移す。
「これが秘策ってやつか」
そんな感想が少し面白くて、にやりと笑った。
「ご名答。恋する乙女は無敵ってわけです。……心当たり、あるんじゃない?」
「……その乙女がいつの間にか一丁前の物言いするようになりやがったな」
「そりゃそれなりには大人になりましたし?」
こんなふうに冗談が言えるのもその証拠でしょ、とウィンクをした。
バツが悪そうな顔をして視線を逸らすトレーナーは、ボソリと呟く。
「勝てねぇなぁ、ほんと」
「ありゃ、やっと勝たせてくれる気になった?」
「ま、そのうちな。そのうち」
「へぇ、楽しみにしてるからね」

後で、この会話を聞いていた教え子達にからかわれることになるが、それはまた別の話。
621/05/07(金)23:28:26No.800429399そうだねx10
仮説1:パフォーマー精神が行き過ぎて人前で青春しちゃうウマ娘とか結構いそう
仮説2:商店街が気ぶるのはネイチャのわかりやすさが原因だと思う
仮説3:自身も余裕も少ない子供なネイチャもいいけど大人の余裕が出てきたネイチャも見てみたい…
仮説4:俺のネイチャはいつでも可愛い


以上の仮説の実証のため我々はURAに挑んだが、仮説4しか証明できませんでしたのでレポート代わりにこちらの怪文書をお納めします
よろしくお願いします


あと今まで書いたのも置いときます
su4834062.txt
721/05/07(金)23:30:56No.800430384そうだねx6
素晴らしい発表でした
つきましては引き続き仮説3の立証をお願いしたく存じます
821/05/07(金)23:32:02No.800430792そうだねx1
同年代の男子と青春するのもいいね…
921/05/07(金)23:33:34No.800431429+
若者の恋愛劇はあらゆる世代にウケるからな…
1021/05/07(金)23:33:55No.800431575+
トレーナーは観念しなよ…
1121/05/07(金)23:34:56No.800431989+
気ぶり視聴者や気ぶり関係者が増えそう…
1221/05/07(金)23:45:41No.800436611+
いいねえ
1321/05/07(金)23:47:07No.800437184そうだねx4
なんだねこの素晴らしい論文は?
こんな素晴らしい論文を世に出せて誇らしくないの?


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