夕暮れ時の道をひた走る。数日前からエルがトレーニングどころか、授業にも出ていない。
心配して寮で同室のグラスワンダーに訊ねてみたが、伝言は「ひとりにして」の一言だけ。

ただエルが深く悩んでいる事だけは分かる。くそっ、と罵声と共に速度を上げた。
悩みを打ち明けてくれない事実に顔が歪み、こちらを見た通行人が、道を譲る。

おっかない表情をした長身の男が迫れば、そうもなるだろう。
人気のない方へと進路を変え、走り続けながら思う。

今までエルを様々な面で支えてきたつもりだが、頼りないと思われていたのか。
優秀なウマ娘からの失望と侮蔑が、痛みの源泉か？　……いいや違う。

胸痛の原因は、共に鍛え、夢を語り、勝利の喜びを共有したエルに頼られなかった事だ。
トレーナーと生徒の関係だが、深い所では通じ合っていると思っていた。
そう。大の男が、両親に逆らってまでトレセン学園に残ったのは、彼女の事が、

――――ぞくり

背筋が凍る。止まった世界で、思考が疾る。異様な感覚。これは何だ！？
筋肉が騒めき、血液が一瞬で沸点まで上昇してゆく。分かっている、闘いの準備だ。

ぶん、という唸りをあげて、得体の知れない影が疾り抜けていった。
すれすれで、生存本能で避けたものの、強烈な風圧が全身を叩く。タックルだ。
この風圧、この一撃。知っている、この世の誰よりも自分が知っている！

「エル……ッ！」「トレーナーさん……あれを避けちゃいますか」

地面に刻まれた足跡を挟み、ドロリとした瞳でエルが歪な笑みを浮かべている。
恐らくこちらが独りになるタイミングを見計らって襲い掛かったのだ。

「今ので寝て欲しかったデース」「おい何だか知らんが、危ない冗談はやめろ」

冗談？　と首を傾げると、エルからすうっと表情が消え、強い緊張が空間に満ちる。
彼女の足が動き、音を立ててアスファルトが砕けた。蹄鉄が穿ったのだ。

「そう思うのなら、大人しく寝て下さーい。それとも警察でも呼びます？」

ふふん、一度も見せた事のない嘲るような笑みをエルが浮かべる。

「担当ウマ娘に逆うまぴょいされそうだから助けてくれと、叫びますか？」「……いいや」

腰を沈め、トレーナーは拳を握る。唇がむずがり、自然と口の端が吊り上がった。
たまらぬ。今、自分は悦んでいる。

これまでエルの担当トレーナーに努めてきた。彼女の勝利と喜びが、自分の勝利と喜びだと。
だから共に鍛えてはいても、ウマ娘に勝ちたいという想いは希薄であった。
専心すべきは才能を育てる事のみ。己の欲求は彼女の成長には邪魔だと抑え込んできた。

だが今は違う。あの最優秀ウマ娘が、海外でも活躍した女が、俺を求めている。

「どうしたんデス？　怯えてるんデスか？」「嬉しいんだよ」

訝しむエルに、にぃと笑ってみせた。ウマ娘と人間の戦力差、勝率など意識にはない。
共に鍛えてきた筋肉に想いを全て乗せて、燃焼し尽くす。結果は二の次だ。
勝敗に意識を割く等、今この場にある蜜月の妨げになるだけである。

目を爛々と輝かせ、今にも絶頂しそうに涎を零すエルの顔に、己の股間が激しく疼く。
分かっている、レフェリーも観客も居ない二人だけの舞台で、今から犯しあうのだ。
地面に叩きつけ、腕を折り、ぐちゃぐちゃにし、混ざり合う、うまぴょい以上の繋がりだ。

「やろう」「やるデース……」

そういうことになった。何故襲われるのか、理由は最早どうでもよい。

「トレーナーさんは誰にも渡さない、渡さない。アタシのデース……」

虚ろな青い目と小刻みに震える手でも構える彼女が、そうするに足る訳があるのだろう。
理由なんぞ、後で病院か豚箱で聞けばよい。例えどんな理由であれ、

「俺は生涯お前のトレーナーだ」「ッ！　おきゃあああああっ！」

感情を爆発させたエルが、本気で突進してきた。同時にトレーナーも動いていた。
一瞬で二人の距離が零になり、ぶつかった。
「それで仲良く海外療養に出て、戻ってきた二人の間に居たのがあなたよ」
「もっと頭がまともな両親が良かったデース、グラスおばさん……」

エルの怪文書ありがたい…

外はカラッと、中身はドロリなエルコンドルパサーと
さわやか風こってりトレーナーを添えて

マスクありでもなしでも可愛いエルをもっと書いて

こうして生まれたのが貴方よ、ビッググラス…

可愛い

プロレスごっこからのうまぴょいが似合うウマ娘一位

>プロレスごっこからのうまぴょいが似合うウマ娘一位
プロレスが「ごっこ遊び」？　エルの声に怖いものが宿った。

>こうして生まれたのが貴女デース、ヴァーミリアン…

平和に終わってよかった
トレーナーがエルをエルだったものに変えて君を止めるにはこの技しかなかった…とか言い出さなくてよかった

どうしてウマ娘怪文章SS書いてる「」ちゃんはたまに夢枕獏の構文を発症するの？
マヤわかんない…

エルの可愛さはもっと広まって欲しい

>エルの可愛さはもっと広まって欲しい
書けるよね、書いて、書くんだ

ヴァーミリアンちゃんこんな話聞かされて可愛そう…

貴方ひょっとして以前ライアンの怪文書書いてませんでした？？？？？

エルの寝技とか絶対美味しい題材なのに

>貴方ひょっとして以前ライアンの怪文書書いてませんでした？？？？？
ました。あとデジたん

マスク着用エルに強気に騎乗されるも良し
マスクを剥がれて照れるエルを正面から責めるも良しな
一粒で二度おいしい完全食だァ

だと思ったよ！