続きは･･･

「いいお湯だったわ！洗濯も問題なくできてる…と思うの」
風呂上がりのキングは目に毒であった。男物のブカブカのシャツにハーフパンツ。胸元の危うさにもっと小さい服を探しておくべきだったと後悔する。髪は乾かしてきたからか濡れてはいないようだった。そして、何より目を引いたのは彼女の耳だった。メンコを外したキングの耳。思えば初めて見るのかもしれない。髪と同じ色をしており、みじろぐと敏感に反応して動く。
「やだ、ちょっと聞こえすぎるわね…」
どこか落ち着かない様子でもじもじする彼女につい生唾を飲み込んでしまう。聞かれてなければいいが…と祈りつつ、あまり大きな声を出さないように配慮して、キングに話しかける。
「やっぱり、メンコがないと辛いのか？」
「ええ、そうね…やっぱり音が気になってしまうこともあるわ。ウマ娘にもよるけど私の場合は気を取られがちになっちゃうから、できればずっとつけていたいぐらい」
とはいえ、洗濯にかけてしまっている今、つけることはできない。予備も、鞄のなかで濡れてしまっているとのことだった。

レスが遅いけど、まさか即興で書いてるの…？

傘を渡して部屋に戻ってもらうべきか。しかし下着を含む衣類を置いていくのも心細いだろうし、なによりこの格好で出歩かせるのはあまりに問題があるように思う。同じ敷地内なのだから部屋まで走って戻ってもらえばよかったか…今更な考えが頭を巡るがなってしまったものは仕方ない。キングに訊ねると、待たせてもらうとのことだった。さて、洗濯が終わるまでどうしようかと物思いに耽る。読書…も紙を捲る音が耳障りだったりするのだろうか。何が大丈夫かをいちいち聞かれるのも据わりが悪いだろう。そして考えを巡らせている間、互いに押し黙ってしまうのだった。

>レスが遅いけど、まさか即興で書いてるの…？
はい

ゆっくり待たせてもらおう

(これが…トレーナーの部屋……)
私は彼に気づかれないように周囲を見回す。彼の部屋、と言えども寮なだけあって、極端にトレーナーの色が出た部屋…ではないと思う。まぁ、男性の部屋にはいるのはこれが初めてだから比べようもないのだけど。まさか、予備のメンコが濡れるというアクシデントに見舞われはしたものの、雨に濡れて彼の部屋にお呼ばれするぞ作戦は大成功。敏感な聴覚に振り回されることを除けば目論み通りと言える。あともっと言うなら彼の服まで借りられてこれは思わぬ収穫。部屋だとこんなラフな格好なのね。それに、先程からそろりそろりと笑えてしまいそうなほどに一挙手一投足が慎重なトレーナー。私の耳を気遣ってくれているみたい。本当、一流のトレーナーよね。私は優しい彼に思わず目を細めてしまう。洗濯機がうるさいけど、素敵な時間が過ごせそうだと思ったわ。

「キング？なにか時間潰しでもしようか。なにか希望は…といっても大したものはないんだけど」
寮生活ということもあり、私物を極端に増やすのも憚られた。結果として週刊誌を積み重ね、キングの記事が載った本だけ残してある程度まとまったら処分するということを繰り返していた。あとはテレビ、ノートパソコン…音のでないものがない。彼女が喜びそうなものがすっと思い付かない自分を発見し、今後要改善だなと肩を落とす。キングの方を見ると、なにやらきょろきょろと辺りを見回しており、自分の部屋に興味津々…のようだった。
「何か気になるものでもあったか？」
「いっ…いえ！別に…おとこのひとの部屋ってこんな感じなのかしらって…ちょっと思っただけだから！」
強烈に悪いことをしているような気分になってきた。しかし、ああ、だめだ。目の前で落ち着かない様子の彼女を見ると、つい、可愛いという感想が浮かび脳内を支配してしまう

頑張れ

「……っ！！」
気付けば、耳をぴんと立てた彼女と目が合っていた。どうしたというのだろう。まさか、いやいやそんな、漫画じゃあるまいし、思ったことがつい口に出ていたなんてこと……。
「今、か、かわいいって……？」
ああだめだ。マンガだ。しかもベタベタの、マンガをやってしまった。
「あっ！いや、今の違…わないけど…！！」
慌てて取り繕おうと声をあらげかけて、踏みとどまる。深呼吸して何とか小声でもう一度話そうとすると、キングは立ち上がり、すぐ傍まで近づいてきていた。
「もう一度、聞かせて？」
両の耳をこちらに向けて、お願いをするキング。もう一度、というのは勿論かわいいという賛辞であろう。今更なかったことにはできない。シャワーの熱で上気した肌が理性をちりちりと焼いていく。メンズサイズに大きく開いた襟から覗く彼女の意外と育った膨らみが、普段直接見ることのない耳が…日頃自分しかいない部屋にいるとても魅力的な女の子が気になって仕方ない。

即興怪文書初めて見た…
がんばれ

かわいいよ、と小さな声で呟く。ぴくっとした耳の動きが愛らしい。抽象的な誉め言葉から、徐々に解像度をあげていく。キングの耳、かわいい。いつ見ても、美人だ。肩が細い。尻尾の毛並みが艶やかだ。ふわっとウェーブした髪も素敵で、それから…それから…一度たががはずれてしまうともうだめで、キングの好きなところを次々と挙げていく。その度に隠しようもなく反応してしまうキングの耳に、そうか、これは確かにメンコは必需品なのかもしれないと納得を得る。
「も、もういいわ…ありがとう」
「好きだ…キング…」
「…………ぇ？」
今、自分は何を言ったのだろうか。

いけーっ！抱けーっ！！

「一流を騙っていた君が好きだ。一流足らんとする君が好きだ。一流の君が好きだ。一流じゃなくたって、きっと君が好きになった」
「ちょ、ちょっとあなた？」
「君の走る姿が好きだ…末脚の切れ味の鋭さに心酔した…強いところが好きだ。優しすぎて見えてしまう脆さも、弱さも愛おしい」
もうよすべきだ。それはわかっているのに、言葉が止まらない。担当ウマ娘にかけるべき言葉じゃない。しかし、彼女は自分を信じてたった一度の競争ウマ娘人生を預けてくれた。そんな彼女の隣に立つに値する一流に、自分もなりたくて何もかもを彼女のためにと考えてきた。だからある意味これは必然なのかも知れない。思いの丈を身勝手に吐ききって、沙汰を待つ。これで嫌われてしまうかもしれないと思うと身体が芯から冷える思いだ。それでも、嘘はない。もう、一流にはほど遠いけど、それでも…この気持ちだけはもはや隠し通すことができなくなっていた。

これは一流の末脚の切れ味

見届けてから寝る

トレーナーが、かわいい、って…私を見て、そう言った。聞かなかった振りをしようとして…できなかった。もっと、もっと、もう一度聞かせてほしいって、ねだった。そうしたら、彼は何度も、深くまで掘り下げて、私のことを可愛いって、言ってくれた。す…すきって、いわれた……。なんども、いろんな角度から……そんなの、ずるい。ずるすぎる。私だって、私が…あなたのことをこんなにも……いてもたってもいられない。言いたい放題言った彼は、私を見たまま黙っている。最後は私に決めさせようとしている。そんなのって、ずるい。ずるいのに……一流じゃないのに。私は、もう我慢ができなかった。

今晩はキング率が高い…！天国なのか地獄なのか！？

ユーイチ勝ったからね

「このおばか！へっぽこ！！なんでそこまで言っておいて…俺のものになれって言わないのよ！！」
キングが胸に飛び込んできて、強く抱き締めてきた。その身体は震えていて、迷いを吐き出すかのように、熱くなった身体から衝動のままに声を叩きつけてきた。
「私に付き合って一流って言い出したおばか！私に並ぶ一流になろうとしたおばか！一緒にお母様に電話してくれたへっぽこ！くしゃみしたところを写真に撮るおばかで上着を貸してくれたへっぽこ！！」
罵倒にもなっていない言葉を刻み付けるように聞き入る。彼女が締め付ける力の分だけ抱き締め返し、彼女の声に集中する。
「好きよ…好きに決まってるじゃない！たった一度のトゥィンクルシリーズ…貴方だけが私と並んでくれて、私のためにたくさんのものをくれて…私だけの…私たちだけの一流をくれたの！そんなの好きになるしかないでしょ！？」

即興キング文章兄貴！待ってたぜ！

それから、どれだけの間抱き合っていただろうか。聞こえるのは互いの鼓動と、熱い息遣いだけ。高ぶった気持ちはどこまでも膨れ上がり単純な、バカみたいな感情のぶつけあいしかできなかった。徐々にその状態に身体が慣れ、しかし覚めることのない衝動にだけ突き動かされ、互いに見つめ合う。もはや言葉での確認なんて生ぬるいものは必要なかった。どちらともなく顔を近づけ距離が縮んでいく。そして、互いのそれが触れあう間際……
《ﾋﾟｰｯ!ﾋﾟｰｯ!洗濯が完了しました！》
飛び退いて床に頭をぶつけた。

(洗濯機の)クソボケがーっ！

ラブコメだこれ

一流のへっぽこはちがうな…

中学生ぐらいが読んでそうなちょいエロシーンのあるタイプのやつだ…

ｼｮｳｼﾞｷｽﾏﾝｶｯﾀ

「なんなのよーっ！もーっ！おばか！ほんとおばかったら！！」
もはや隠すことなく邪魔物の洗濯機に悪態をつくキング。そんな彼女の姿につい気が緩んで笑いが込み上げてきた。
「あっ！ちょっと！なにわらってるのよ！信じられない！！デリカシーゼロ！！へっぽこ！！」
一度緩んでしまうともうだめで、そういう空気は完全に霧散してしまっていた。もはや一流の面影も残ってはいない。それでも、彼女の思いを確かめた今、言わなければいけないことがある。
「キング、キングヘイロー。貴女の事が好きです。恋人になってください」
虚をつかれた表情のキングに畳み掛ける。
「明日、デートをしよう」
いいかな？と念押しに、彼女の求める確実な約束を言葉にした。
「な……なによ……もうっ！締まらないわねっ！貴方にはキングの人生の半分をもらう権利をあげるっ！ありがたく思いなさいっ！！」
胸ぐらをつかんで引き寄せ視線の高さを合わせたキングに触れる。初めての口づけは、石鹸の香りがした。

おしまいです
いっぱいかけて満足

お疲れ
即興のクオリティじゃないぞこれ

おつかれさまでした

お疲れさま
良いキングの夢見てね

ブカブカシャツのノーブラキングとかもう絶対うま勃っちしてしまう

「」のキング怪文書の人らはみんな即興のパワーが凄い
この切れ味は差しS短距離Sですぜ

読んだら寝ようと思ったのに…こんなん読んだらキング育てたくなるじゃないか！

好きって言われて心をかき乱されちゃうキングがかわいすぎる...

恋人通り越して逆プロポーズしてませんかキング

>読んだら寝ようと思ったのに…こんなん読んだらキング育てたくなるじゃないか！
俺はちょっと前に二人目の世代の湯けむりキングが誕生したので
寧ろタイムリー過ぎてデジたる（動詞）になるとこだった

誕生日キング話書いたけどやっぱり馴れ初めも書きたくてスレたてました
わたわた書いたのに付き合ってくれてありがとう

>恋人通り越して逆プロポーズしてませんかキング
最終的に結婚するんだからセーフ

いいキングをありがとう…

キングはかわいい

甘酸っぱいキングは風邪予防に良いとされる

>恋人通り越して逆プロポーズしてませんかキング
私の性癖には合っているわ
早く帰ってき（て孫を見せ）なさい

>>恋人通り越して逆プロポーズしてませんかキング
>私の性癖には合っているわ
>早く帰ってき（て孫を見せ）なさい
気ぶりグッバイヘイロー…