…だのに、アタシは素直に喜べずにいた。
ここまで長々と、言い訳じみた状況説明を並べ立てたのには理由がある。
誤魔化しても仕様がないので端的に言うなら──アタシは、見る影もないほど肥えていたのだった。

「あ゛ぁぁヤバいヤバいヤバい…どうすりゃいいってのよこんなの…！」
唸りながらクローゼットの前で右往左往する。旦那に旅行計画を切り出されたのが半刻前。そんなの嬉しくないわけがないし、もちろん二つ返事でOKを出したのだけど。
旦那が風呂に入っている間、！掛かりが解除されて冷静さを取り戻したアタシは自分の体型と服のストックを思い出し…そして、今に至る。
加齢。不規則な生活リズム。育児。スナックでの仕事。旦那との時間が取れないこと。
一つ一つは何てことないと思っていた要素が、知らず識らずのうちにアタシを蝕んでいたようで。
そういえば間食増えたなぁとか、朝は皆で食べるけど昼はカップ麺で済ませることが多かったなぁとか、夜は付き合いでお酒飲みながらおつまみ食べてるなぁとか。思い当たるフシがあまりにも多すぎる。

さらに悪いことに、遠出なんていうものを久しくしていなかったせいで「余所行き」の服がほとんどない。いや無くはないのだけど、誰がどう見たってサイズが合わない。新婚の頃着てたお気に入りのブラウス、ダメ元で合わせてみたらウエストの幅が自分の体の半分しかなくて乾いた笑いが出た。
「お母さん…まだ頑張ってたの？ 諦めておばちゃんとこに買いに行けばいいのに…」
「いやいやローレル行けるわけないでしょーが。絶対笑われるって…キミエさん容赦ないから…」
長女ローレルアクティブのからかいをさらっと流す。ウマ娘として生を受けたこの子は、お父さんに似たのか思慮深くて優しい性格で、ちょっとだけイタズラ好きだった。
とはいえ。子育て真っ最中のアタシにとって、一番身近かつリーズナブルな選択肢となるとキミエさんのブティックが挙がるのもまた事実。
結局、アタシは悩みに悩んだ末、キミエさんに店で一番の「こーでねいと」を選んでもらうのだった。値段はネイチャ割引で元値の3割になった。なんじゃそりゃ。

「はぁー………美味しかった…」
「はは、いい食べっぷりだったな」
旦那の何気ない台詞に、うぐ、と息が詰まる。
旅行だというので無意識にリミッターを外してしまったのか、自分でも引くくらい食べてしまった。受付を担当した仲居さんがアタシのことを覚えていて、ウマ娘用の──それも現役アスリートの──食事を持ってきてくれたのも災いした。本当に久しぶりに、ガッツリと満腹になるまで食べた感じがする。
ちょうどいい着心地だったはずのXLサイズのスカートが、今けっこうキツい。明日からどうすんだこれ…と一人頭を抱えていると、旦那が真剣な表情でこっちを見ていることに気がついた。
「…え？ どうしたのトレ…あなた…」
「…ネイチャ。最近…何か悩んでたりしないか？」
どきり。もしかして今のアタシの体型、ストレス太りだと思われてる？いや間違ってはないけど、それで旦那に心配かけちゃうのはちょっと恥ずかしいってレベルじゃない。

「最近、ネイチャがよくため息をついたり、ご飯を残したりしてる…と、義母さんから相談されたんだ。ネイチャ、何か気になることがあるなら言ってほしい。それが俺の落ち度なら必ず直す。そうじゃないなら、一緒に解決できるよう努力するから」
「……………ぷ」
真剣な表情で、てんで見当外れなことを言う旦那に脱力。というか母さん、それ普通義理の息子に言う？あとで文句言わなきゃ。
そうだ、ウチの旦那はこういう人だった。思慮深くて優しくて、ちょっとだけイタズラ好きな性格で、──そして何より、アタシのことを世界で『一番』、大事にしてくれるひと。
だから、伝えないと。アタシがどうしてメランコってるのか、どうしてこんな体型になっちゃったのか。
いやまぁ、アタシの不摂生が100％悪いんだけど。それでもこの人と一緒なら、なんだか何事も丸く収まるような、そんな予感がしたから。

いったんおしまい
このあと温泉ぴょい編があるようなないような

トレーナーと二人三脚でダイエット頑張れネイチャ…

結婚したら思いっきり産後太りするネイチャ
私の性癖には合っていますね

こういう結婚から10年後…のシチュが一番想像できるよねネイチャ

──結論からいえば、『丸く』収まった。
「…………」
「…その、なんだ。スマン…ネイチャ」
「…………へんたい」
「うぐ…」
食後のゆったりした空気の中、アタシは色々なことを伝えた。
子育ては楽しいけど大変なこともあること。旦那と生活の時間が合わないことでわりと寂しい思いをしていること。母さんの手伝いで生活が不規則になって、これらすべての複合でこんなに太っちゃったこと。
そして、太っちゃったことでトレーナーさんに嫌われたらいやだ、ということまで。
かつてのアタシなら絶対に言えなかったような赤裸々な話。あけすけに伝えられたのは、母親になってちょっとでも強くなったからだろうか。
それで、そんなアタシの告白を聞いて、この人が言うに事欠いてのたまったのが、これ。
『最近のネイチャ、以前にもまして可愛くエロくなったと思ってた』
普通さ？普通、体型が丸々として（婉曲表現）悩んでる妻にそんなこと言う？
思わずアタシの視線が冷たくなっても仕方ないことだと思わない？
付き合って16年、結婚10年目で旦那の知られざる性癖を暴露されて、アタシにどうリアクション取れってのよ。

「重ね重ね…すまなかった。ネイチャは真剣に悩んでるのに…」
「…じゃあ、証明してよ」
「え？…うわ！？」
にじりよって、しなだれかかる。
引退したとはいえウマ娘、そこに（不本意ながら）大幅増の体重によってパワーを増したアタシは、いとも簡単に旦那を押し倒せた。
肉厚になってしまった身体で全身を覆うようにして、唇を寄せる。
彼は、抵抗しなかった。
「ん…ちゅ、んちゅ…ぅん…」
「むちゅ…ん…ぷはっ！ね…ネイチャ…」
「…証明して。本当に、こんな身体になっちゃったアタシでもいいのか。こんな身体になっちゃったアタシ『が』いいのか。お願い」
「…ネイチャ」

逡巡は一瞬。わかった、と呟いた彼が、今度は彼の方から、唇を奪う。
激しく優しい、舌の絡めあい。彼の手が乳房に伸びて、掬い上げるようにこねる。
太ったことの数少ないメリット──新婚の頃から3カップほどサイズアップした大きな胸を、夢中になってこね回す彼。その目は獣欲に乱れ、吐息は荒く、普段の紳士然な姿からは到底想像もできない姿だった。
目線を落とす。ズボンを突き破らんばかりに、股ぐらが膨れていた。
その様子を見て、今更ながらに実感する。
この人は、本気だ。本気で、こんな身体のアタシに欲情しているんだ。
下腹部が疼く。脳天に至る甘い痺れが、アタシから蜜を分泌させる。
アタシは熱に浮かされたまま、震える手で彼のズボンを下ろし、そして──。

一線を退いたアスリートが肥え太るなんてよくある話だと思ったけどウマ娘ほどの摂取カロリーだと尚ヤバそうだな･･･

なんかスレ画のネイチャ丸いな

>なんかスレ画のネイチャ丸いな
ほんとだ
細けぇ…

カノープスのトレーナーは
丸くなったネイチャも良いですよと言ってくれる

「っはぁー…………」
深夜1時、大浴場『桜の湯』。
平日の夜中ということもあり、貸切状態になった大きな岩風呂で、アタシは、
（──やりすぎた…）
頭を抱えていた。
あのあと、数年ぶりに本気で盛り上がってしまったアタシと旦那は。3回戦までやりきったあと同時にノックアウト、つい先ほどまで二人して爆睡していたのだった。
何が恐ろしいって、ヤり始めた時には確かにあったはずのお膳が目が覚めた時には忽然と消滅していて、代わりに布団がぴっちりと並べて敷いてあったことだ。明日どんな顔をして女将さんに会えばいいんだ。
どう考えても謝らないとまずい。まずいんだけど、自分からそういう話を切り出すのもちょっとつらい。

悶々とした気持ちを抱えたまま、ふと水面に映る自分の姿を見た。
顔はまん丸になっているし、首はかろうじて残ってるけど鎖骨は脂肪で見えなくなっている。二の腕なんて振袖みたいに──この喩え現役の頃にも使ったな──なっている。
今の自分はどこからどう見ても、太ったおばさんだろう。
けれど。
（『トレーナーさん』が、これでもいいって、これがいいって言うなら、アタシは）
ぱしゃり、と水音が響く。
ダイエット、明日からでもいいかな──なんて、自分を甘やかしてしまいそうになるのだった。

どうぞごゆっくり

幸せそうでなによりです

抱けーっ！抱いたーっ！

「あーっ！おかーさん、またおはぎたべてる！ふとる！」
「ふとるー」
「むぐ！？メロディ…おもち食べてる時に驚かすのやめて…」
次女レディメロディが、目ざとくアタシの間食を咎めてくる。その後ろには末っ子、長男の姿もあった。どうやら2人でおままごとをして遊んでいる途中、甘い匂いを嗅ぎつけたらしい。
これまでは見つかったらなんとなく罪悪感が湧いてきて、言い訳をして逃げるようにその場を立ち去っていたのだけど。
「…？おかーさん、きょーはたべるのやめない？」
「あぁうん…お母さんね、ちょっとくらいならいいのかなって思うようになったの」
「…ちょっとじゃない！おかーさん、ぷよぷよのぶにぶに！」
「ぶにぶにー！」
「あっこら！やーめーなーさーい！」
子どもたちにまとわりつかれながら、アタシはあの夜のことを思い出す。

思えばアタシが悩んでいたのは、あの人に嫌われないように、ということが第一だった。
その当人からOKサインが出された以上、今のアタシにはそういうブレーキがない。客観的に見て、体型維持という意味ですごく危険な状態だけど。
「…まぁいっか」
変に抱え込んで悩まず、こんな風に楽天的に考えられるようになったのは、一歩成長したのかな、なんて。
握り拳大のおはぎ6つ目を頬張りながら、アタシは身勝手にもそう思うのだった。

4人目はどっちでしょうね

取り敢えず健康診断には行こう

[コンディション：幸せ太りを獲得]
なんか久々に怪文書書いたらめちゃくちゃ長くなってしまいました
スレ画のネイチャは拾った物です
3Dモデリングのコラはなかなか難しくて手が出ませんね…
ちなみにお分かりかとは思いますがローレルアクティブとレディメロディはナイスネイチャの産駒です

地方３勝か……

例え太っていようがネイチャに欲情するし抱けるんだよなあ

結婚しても女であることを維持しようとするタイプとがっつりカーチャンになるタイプがいるけどネイチャは後者だろうなとは思う

学園時代の体型でお母さんやると倒れる回数増えそうだからな…
三十路であの体型維持してるのもそれはそれで良いものではあるが

美女は多少太っても美女なのか

怪文書書こうと思い立ったのはスレ画の素晴らしいコラを見つけたことに加え今日育成してたネイチャが3回太り気味になって最後は太り気味のままURAファイナルズ決勝勝って殿堂入りしたことがきっかけでした
音無さんに月刊優駿もとい月刊トゥインクルの表紙にさせてくれと頼まれた時絶賛太り気味中のネイチャは何を思ったのか…

グラマーというより普通にぽっちゃりに踏み込んでる体型っぽいけどトレーナーの性癖にはあっていたのでオッケーです

このぐらいの太さで急激にじゃなくて年々太くなっていったらそら肉感増してエロいなってなりそうだな…

妻が最近私の性癖に合う姿になっていって嬉しい反面興奮が抑えられなくてしんどいです

確かにネイチャって結婚後幸せ太りしそうだよな…

女帝やスカーレットは体型維持してそうだけど間違いなくスペちゃんとマックイーンは幸せ太ってる
オグリとテイオーは食っても太らないタイプな気がするから微増くらいに留まってそう

ワ イ ド
幸せ太り

まだペラペラの折り紙トロフィー大事に取っおいてるんだろうな…

あぁワイドってそういう…

あと一応渋の方にも同じのアップロードさせてもらってます
転載するようなもんではないと思うんですが…自分のを「」っちーで探す手間を省く備忘録的なものとしてひとつご了承いただければ

愛に溢れすぎてる…