もちろんゴールドシップ自身もやりすぎただとか自分に非がある感じた時は自ら頭を下げに行こうという殊勝な心掛けが無い訳でも無い。
しかし謝罪に赴いたその場で気恥ずかしさが鎌首をもたげるのかイタズラ心が勝るのか、要らん事を口走っては売り言葉に買い言葉また喧々囂々の言い争いが始まるので私が仲立ちに立ちがちである。
今日もこうしてゴールドシップにおちょくられ過激な報復をせんと息巻く彼女を宥め、どうせなら学生ウマ娘の本分たる学業やレースの成績で見返してはどうかと提案したところ、半ば一方的に取り付けられた勉強会の約束を果たすため彼女の元へやってきた訳である。
座布団の敷かれた座卓へ着席を勧められいそいそと勉強道具を取り出しながら、ゴールドシップとトーセンジョーダンの関係について思案する。
我が友ゴールドシップは傲岸不遜、唯我独尊を地で行く自由人だが心根は優しい奴である。
おちゃらけおふざけは大好きでも超えては不味い一線や引き際はしっかり見極めている。
そんな彼女もトーセンジョーダンを相手にするとどうもやり過ぎてしまうきらいがある。

確かにトーセンジョーダンも普段の言動から軽佻浮薄で不真面目のように思われているが、その実泥臭い熱い不屈の意志を秘めたウマ娘である。
口ではダルいとかダサいとかボヤいて居ても義に厚く情は深く面倒見も良いというそのカリスマ性から慕う下級生達も少なくない。
そんなトーセンジョーダンをなぜ特別目の敵にしてしまうのか。
やはり我々ウマ娘の身に宿る魂の因縁がそうさせてしまうのだろうか。
異世界の知る由もない因縁が元でゴールドシップが疎まれたり悪く言われるのは嫌だ。
そう感じたから彼女の友人として、また芦毛愛の伝道師として余計なお世話かも知れないが彼女らの関係改善を図っている。
本気でのいがみ合いでなく憎まれ口を叩き合う喧嘩友達の程度に収まっている現状を見るに、私の目論見も首尾は上々と言って良いだろう。
そんな思考を遮るように不意にガチャリと部屋の戸が開けられた。

「姉御いるっスか〜？」

ああこの声、この三下めいた口調…間違いないヤツだ…
私が苦虫を噛み潰したような顔をして振り返ると
ヤツも私に気が付いたようで同じようなゲンナリした顔をしていた。

「げえっ…変態芦毛キチ…また来てたんスか…」

人を早速変態呼ばわりしてくれたのは口元にマスクをした栗毛のヤンキー娘。
オルフェーヴルである。
普段はオドオドとした卑屈さの感じられるウマ娘だがひとたびレースとなると秘められた凶暴性を解き放つ危険人物である。
とあるレースで勝利した際に駆け寄ってきた自身のトレーナーを興奮のあまり抱え上げ、そのまま投げっぱなしジャーマンで内ラチに叩きつけた逸話はこの先10年は語り種であろう。
それでいてここトレセン学園に置いても指折りの実力者なのだからタチが悪い。
私自身彼女にぶん投げられただとか直接の危害を加えられた訳では無いのだが
どうにも反りが合わずウマが合わず折り合いがつかない。
トーセンジョーダンの後ろをぴょこぴょこ付いていく舎弟ぶりに自分とゴールドシップの関係性を幻視しての同族嫌悪だとか、ゴールドシップとどこか似た雰囲気を持ってるのに芦毛じゃ無い事に対する憤りだとか、色々自己分析の真似事をしてみても腑に落ちない。
結局のところ偉そうにゴールドシップのことをやいのやいのと言っておきながら私もまたウマソウルの因縁に縛られているのだろう。

このいびつなプレインズウォーカーシンボルのような星は…！

「ウチもゴルシとのことがあるからあんま言えんけどさ、アンタらも大概じゃんね？」
私とオルフェーヴルの気まずい睨めっこはトーセンジョーダンの呆れ声で一旦打ち切られた。
まあオルフェーヴルもターフの外では比較的大人しく話の通じる相手である。
どうせ1人も2人も変わらないのだから一緒に勉強を見てやろうとこちらが歩み寄る姿勢を見せるも
ヤツは「えぇ〜…」と心底嫌そうな顔。
あっダメ。やっぱキレそう。
見かねたトーセンジョーダンが財布から紙幣を1枚取り出すとぴしゃりとオルフェーヴルの顔面に張り付ける。
これで自分達が勉強してる間にお菓子と飲み物でも買って来いとパシらせるつもりのようだ。
ぴぎゃあと悲鳴をあげて抗議するオルフェーヴルだったがお菓子も飲み物も好きなものを選んで良いし、お釣りは全部やると付け加えられると一転して「姉御愛してるッス！」と勢い良く飛び出して行った。
トーセンジョーダンの飴と鞭の使い分けに感心するやらオルフェーヴルの変わり身の早さに呆れるやら。
ともかくようやく本題の勉強会に移行することが出来たのである。

勉強会と言ってもそう大それた事をする訳でも無い。
トレセン学園で支給されてる教科書や参考書の例題を実際に解いてみて、解法が分からなければ説明してやるというだけの話である。
案の定しばらくするとトーセンジョーダンが分からん分からんと管を巻き出したので会心の芦毛の魅力になぞらえた説明を披露してやる。
美しい芦毛を用いて例えてやればどんな難解な問題も理解できるはず。
そう意気込んだはずがトーセンジョーダンの反応は今一つ。
仕方ないので彼女の好きなネイルケアやウマスタグラムで例えてやれば「それならわかる！」とさっきと打って変わって膝を打つ。
説明の骨子部分は何一つとして変わっていないので私としては釈然としない思いだ。
そうこうしている内にオルフェーヴルがスナック菓子と炭酸飲料でパンパンになったレジ袋を抱えてパシリから帰って来る。
丁度キリも良かったので休憩がてらおやつタイムと洒落込んだ。

お菓子をつまみながら「こんだけ勉強したからアイツをギャフンと言わせられるはず！」と上機嫌なトーセンジョーダン。
飽き易い彼女なりに頑張ったのは確かだが、ギャフンと言わせられるかは微妙である。
今日の内容で満足せずに反復する大切さを説いてやると「そりゃジャスっちは真面目だしそういうの苦になんないだろうけどさぁ…」と返される。
心外な！真面目、優等生と人から評される私とて日々のトレーニングや学習が楽だと思ったことは一度たりとも無い。
特に冬の早朝トレーニングなど布団から一歩たりとも出たく無いし、芦毛に囲まれている素晴らしい夢見の時は永遠に微睡んでいたい。
それでも私が練習をサボればゴールドシップもサボる、私が気力を振り絞って練習に出ればゴールドシップも出る。
このような芦毛の未来が双肩に掛かっている状況でサボっていられようか、いやいられまい。
そう力説したところ

「なんというか…御馳走様？」
「よくそんな真顔で小っ恥ずかしい惚気が話せるっスね…」

などと宣う二人。
すぐ惚れた腫れたの話にしたがるのは年頃の女子の悪い癖である。
私は芦毛愛というエロースよりもアガペーに近い情熱で行動していると言うのに。

その後また勉強を再開したり、雑談に興じるなどして時間を過ごした。
雑談の内容もこの前のドリームトロフィーリーグのレースが凄かっただとか、新入生に可愛い芦毛の子が居るだとか（後者に関しては二人ともびっくりするほど話に乗ってこなかった）たわいもないものである。
山ほど買ってきたお菓子とジュースもウマ娘三人にかかれば存外あっけないもの。
すっかり完食したところで勉強会もお開きとなった。
辞して自室に戻ればゴールドシップがむくれたようなバツが悪そうな何とも言えないアンニュイな表情で佇んでいた。
たまに彼女が見せる物憂げな様子はゾッとするほど美しい。
いつもの彼女なら「どこ行ってたんだよ〜！？ゴルシちゃんは寂しくなると死んじゃうんだゾ⭐︎」とやかましいテンションで絡んでくるところだが。
聡い彼女のことである。
私がトーセンジョーダンの元へ赴いていたのも薄々気付いているのだろう。
それが面白く無いという感情と同時に、元を辿れば自分のトーセンジョーダンへの接し方が端を発している後悔、そしてその尻拭いを私にさせているという申し訳無さ。

最後の一つに関しては私が好きで勝手にしていることなので彼女が気にする道理はサラサラ無いのだが。
女心と秋の空とは言うけれどその娘が芦毛なら手を取るように判ります。
兎も角もこれだけ強く想っていてくれるのは親友冥利に尽きる。
しかし彼女がずっとこの調子でいては私の調子も狂うし、彼女のトレーナーや他の友人も心配しきりであろう。
早急に対処をする必要があるがこうなったゴルシちゃんは中々に手強い。
対処法はずっとそばにいて見つめてやることだ。
簡単じゃないかと侮ることなかれ。
彼女が「ジャスタウェイはバカだな！」と自分自身を笑って許せるようになるまで一時たりとも目は離せない。
とにかく根気がものを言う我慢比べの耐久レースだ。
彼女のトレーナー氏でもメジロマックイーン女史でもまだ荷が勝ちすぎる。
もうしばらくだけは私の専売特許だ。
さて、そうと決まれば明日の（芦毛）ウマ娘ちゃんを愛でる会はキャンセルを入れておかなければと、私はアグネスデジタル女史に連絡を入れるのだった。

最後ゴルシトレーナーやマックイーンに挑発的なジャスタウェイですが
自身とゴルシの絆が彼らとのそれに比べてあくまで付き合いの長さによる一日の長でしかないとの自覚からちょっとイジワルな感じです
（ゴルジャスはトレセン入学前からの幼馴染という独自設定）
付き合いの長さから今は自分がゴルシの1番だとしても
そのうちトレーナーやマックイーンにその座を明け渡すことになるだろうと
ならばこの一瞬だけは自分が独占してもバチは当たらんだろうというジャスタウェイにしては珍しい執着心の表れです
もちろんジャスタウェイも寂しさを覚えない訳では無いですがそれ以上にゴルシが沢山の人やウマ娘と絆を結んでいくことに喜びを見出す芦毛キチの鑑です
そして自分は2番3番それ以下でも良いというジャスタウェイの内心をゴルシが知ったらと思うと
私の心の中のデジたんがゴールドエクスペリエンスレクイエムを受けます
長文駄文お粗末様でした

>デジたんがゴールドエクスペリエンスレクイエムを受けます
またか…

また来た…芦毛の方をずっと見てるからすぐ分かる…

この見たことないキャラなのに見たことある感じのキャラの大作ありがたい…

湿っぽいゴルシ良いよね…

オルフェはなんかこう…うんオルフェだな

いつの間に実装されてたんだ

やっぱりオルフェとか同期の近しいウマ娘達には芦毛キチなの知れ渡ってるんだ…

>（芦毛）ウマ娘ちゃんを愛でる会
なんだそのおぞましい会合は

何気に大作

原作でもジャスタとオルフェ仲良くないんだっけ？

>原作でもジャスタとオルフェ仲良くないんだっけ？
何故か仲が悪い

こいつ原作での関係記録多くてネタに事欠かないな…

ウマソウルの親子や孫の関係で不思議と仲良くなれる娘達がいる一方で
ウマソウルの因縁のせいでどうにも違いに素直になれない娘達もいるんだろうなぁあの世界…

素直になれないのも良き…

😇×∞

（欠席の理由のいきさつを聞いて電話口で死ぬデジたん）

大人しくてスルースキル完備なジャスタとなぜか仲が悪いオルフェ

失明ゴルトレの時といいキャラが立ってきたな…実装も近い…

舎弟同士だと仲悪いみたいな？

ジャスタを舎弟扱いするとキレるぞ
ゴルシが

オルフェは臆病だからジャスタウェイがキモく感じるんだろう

ジャスタ来るならジェンティルドンナとかフェノーメノとか後クロフネも何とか来て欲しい

クロフネが来たらジャスタが湯川君ポジになってしまう

gff…krfnsn…

>大人しくてスルースキル完備なジャスタとなぜか仲が悪いオルフェ
むしろスルーされたから仲悪いんじゃねえかな…

ゴルジャスｷﾃﾙ…😇😇😇😇😇

ジョーダンとジャスタウェイはめっちゃ仲良いんだっけ

なんなら覗きに来るデジタル

>とあるレースで勝利した際に駆け寄ってきた自身のトレーナーを興奮のあまり抱え上げ、そのまま投げっぱなしジャーマンで内ラチに叩きつけた逸話はこの先10年は語り種であろう。
ｺﾜｰ…

知らないウマ娘の怪文書は健康に良い

デジタルと連んでることが最近共通認識になりつつある

>デジタルと連んでることが最近共通認識になりつつある
だって観察に協力してくれるのデジタルしかいないだろ

デジタルとジャスタウェイ逃げる時クソ速いんだろうな…

>ジョーダンとジャスタウェイはめっちゃ仲良いんだっけ
ボスと子分

この中からどの二人選んでもデジたんが死にそうな面子

ジョーダンがクラスのリーダー格だったから

>（ゴルジャスはトレセン入学前からの幼馴染という独自設定）
全部独自設定なのでは？ゴルシちゃんは訝しんだ

>>ジョーダンとジャスタウェイはめっちゃ仲良いんだっけ
>ボスと子分
ジョーダンの子分はオルフェのほうだよ

一番速いやつがボスって訳じゃないのが面白い

>>（ゴルジャスはトレセン入学前からの幼馴染という独自設定）
>全部独自設定なのでは？ゴルシちゃんは訝しんだ
ゴルシとジャスタは幼馴染だし
キタちゃんとサトちゃんは幼馴染だし
ダスカとダスカトレーナーは幼馴染
みんな知ってるね

マジで実装されたらゴルジャスの時代が再来しそう

存在しない推しウマの供給がいっぺんに来て無限に助かる

>デジタルとジャスタウェイ逃げる時クソ速いんだろうな…
世界一取った差し脚でやることがこれ

>>>ジョーダンとジャスタウェイはめっちゃ仲良いんだっけ
>>ボスと子分
>ジョーダンの子分はオルフェのほうだよ
ごめん間違えた

トレーナー投げ飛ばす怪文書は別で見たがもしや

>マジで実装されたらゴルジャスの時代が再来しそう
OK待ちでゴルシの部屋のルームメイト不明にしてあるからね

ジョーダンのルームメイトがオルフェになる可能性もあるのか

>ジョーダンのルームメイトがオルフェになる可能性もあるのか
ジョーダンのルームメイトはチケゾーだよ

>マジで実装されたらゴルジャスの時代が再来しそう
訪れたとして再来なのが本当に濃いなこいつら…