「あれからもう一年か。テイオーが私達の前から去ってから……」
「あんな故障さえなければな……」
「その後の便りは？」
その問いに、トレーナーは寂しげに苦笑して首を振る。
「ないさ。一度も電話が来たことないし、メールですら」
「そうか……」
「もう遠い存在になってしまったのさ。まだそこにいるように感じられても」
「確かに。思い出はまだ色濃くつきまとっている」
シンボリルドルフも切なさと優しさを込めた瞳でフッと自嘲気味に微笑む。
「走っていると気配を感じるんだ。懸命に追いつこう、追い越そうとするテイオーを背中に」

『負けないぞー！今日こそカイチョーに勝つんだー！』

風に乗って確かに耳に届く声。皇帝と呼ばれる自分すら一目を置いた、自分と未来を信じている力強い声だ。

「つい立ち止まって振り返りそうになるよ。その迷いを断ち切ろうと、足を速めてしまって……掛かることが増えた」
夕陽を浴びるその瞳がきらめいている。涙をにじませて。
「恋仲だったそちらは、もっと強く存在を感じているだろう？」
「それが……逆なんだ」
先程よりもずっと力なく、トレーナーはまた首を振る。
「繋ぎ止めようとするほどに……テイオーの顔がぼやけて思い浮かべられなくなっていく」
「一緒に撮った写真などがあるだろう？」
「たくさんある。けど、それらを眺めていると戸惑ってしまうんだ。本当にテイオーはこんな顔をしていたのか？って」

『トレーナー、だーい好きっっ！！』

照れで頬を紅潮させながらもキッパリ言い切ってくれたテイオーの笑顔。
今でも確かに記憶に焼き付いているのに、細部を見ようとするとどうしてこんなにも……。
「思い出だけじゃ駄目なんだ。それだけが残ってても意味がない」
「そうだとも……！思い出と、それを語らう当人と両方がそろっていてこそ……！

「よーーしっ、ゴー―ル！！」
と、そこにテイオーが戻ってきた。
「トレーナー、タイムは？」
「さっきよりも縮まってるぞ！すごいじゃないか！」
「トレーナーとカイチョーが話してるのが見えたからね。えへへ、なんだか力が湧いて加速できちゃった」
無邪気に笑うと、テイオーは勢いよくシンボリルドルフへと向き直る。
「カーイチョーー！！もしかしてボクを見にきてくれた！？」
「ああ。仕事も片付いて時間ができたのでな」
「トレーナー、今日はこれでおしまいだよね？じゃあカフェでみんなでおしゃべりしようよ！」
身を弾ませて言うテイオー。もはや決定事項といった様子だ。
「知ってる？今日から限定パフェが出るんだ〜♪」

「なら、今回は俺の奢りだ」
「ホント！？じゃあボク特大サイズにしちゃおーっと！」
「その前に……まだ余力があるなら併走しないか？特大サイズを頼むならカロリー調整にもなる」
「カイチョーと併走！？──トレーナー！」
「行ってこい！！」
「やったあああぁーーーっっ！！」
飛び跳ねて幸福の畳みかけを表現した後、テイオーはふと尋ねた。
「ところで、二人して何話してたの？」
「テイオーのことだよ」
「ああ。キミのことだ」

テイオーと共に過ごす、その時間がどれほど大切か噛みしめるために。
『自分達の前からテイオーがいなくなったら』という想定で、
時々こっそりこういう会話を交わすトレーナーとシンボリルドルフなのだった。

おしまい。テイオーが好きすぎてめんどくさくなるほど愛したい

誰も不幸になってなくてよかった…

トレーナーと会長のテイオー見守り隊っぷり好き

さらっとテイオー告白済み時空

変な遊びにハマるんじゃない

なんか映画見た翌日にアイアムユアマザー！ノー！ってやりとりしてそうだなこの皇帝と帝王

男子高校生の日常みたいな遊びだ

2人してテイオーへの愛が歪んでる…

>変な遊びにハマるんじゃない
本当に変な遊びでダメだった

でも会長はこういうアホなノリに楽しく付き合ってくれそうなのはわかる

なんだよびっくりさせやがって

>なんか映画見た翌日にアイアムユアマザー！ノー！ってやりとりしてそうだなこの皇帝と帝王
これなら微笑ましいな！

テイオーが戻ってきたのくだりで一瞬思考停止した
まあハッピーな感じでよかった

みんな楽しそうなのでオッケーですね...？

テイオーが聞いたらドン引きするような遊びをするんじゃない！

ﾜｹﾜｶﾝﾅｲﾖｰ!

この会長はエル・プサイ・コングルゥとかにも付き合ってくれそう