「……葵、別れよう」このスレは古いので、もうすぐ消えます。
彼の言葉が重く突き刺さる。昨日と同じテンポで伝わる、八つで文字で構成されるセンテンス。うそ、でしょう。私から漏れていく言葉に彼は首を振った。
卓上にことり置かれたブレスレットは、あの日の旅行で彼に見繕ったものに間違いない。大小様々なサファイアの煌めく豪華なアクセサリーは、反射する光も相まって悲しく見える。
「私、は別れたく、ありません……」
あんなに仲睦まじく暮らしてきたはずなのに、何がきっかけでこうなったのか。温もりを植え付ける暖色の蛍光灯が、なにか違うように思える。空気が痛く寒く辛く苦しい。温もりを与える薄いオレンジの照明すら、うら寂しく感じられてしまう。
娘以外に誰も訪れないこの個室で、あなたからいつかに貰ったお気に入りのネックレスを握りしめた。唇の裏側をぎしりと噛んで今すぐ溢してしまいたい涙を留める。君によく似合ってるよ、あのときそんな言葉と一緒に贈られたこのルビーのネックレス。肌に触れている部分が熱く感じられるのは、きっとこの子たちも混乱しているからなんだろう。彼は首をゆるく横に振り、諦めの乗った声色で言った。
… | 121/04/26(月)23:37:09No.796737898そうだねx1「桐生院たるものウマ娘と高め合えることを至上の喜びとせよ。俺はそれを履行できないんだから、仕方無いよ」 |
… | 221/04/26(月)23:37:35No.796738013そうだねx1「泣かないでくれ、頼む」 |
… | 321/04/26(月)23:38:14No.796738201そうだねx1「違うよ。変わらず、好きさ。だけど君に、おれ……いや、今の僕は似合わない。僕はもう、君たちのそばにいていい人間じゃない」 |
… | 421/04/26(月)23:39:14No.796738541そうだねx1「お願いだから待って下さい!」 |
… | 521/04/26(月)23:39:35No.796738659そうだねx1私が絞り出した言葉に彼は頷かなかった。 |
… | 621/04/26(月)23:40:33No.796738992そうだねx1彼は私に背を向けて、寝室へと踵を返す。扉と部屋の隙間に身体が消えていく。無言のまま見送って、やがて扉は隙間を無くした。深く溜め息を吐きたいのに、喉の付け根でつっかえるのは何故だろう。もういい、考えたくもない、誰も居ないのだから関係ない。私は思うさまだらしなく机に突っ伏した。 |
… | 721/04/26(月)23:41:18No.796739264そうだねx1彼が立ち去った、この思い出のリビングで。私は一人氷の溶けきったグラスを傾ける。先程までずっと目減りしていなかった、彼手製のアメリカーノを一気に流し込む。酔いたい。酔わなきゃやっていられない。飲み込もう、駄目だ上手く飲み込めない。口端からわずかに溢れたダークブラウンが、唇と顎に湿り気を与えた。 |
… | 821/04/26(月)23:41:35No.796739349そうだねx1「ミークに、会いたいなあ……」 |
… | 921/04/26(月)23:52:21No.796742736そうだねx1>私たちの娘なんだから、必ずや桐生院の想いを継いでくれるのだと。苦しそうに、そして忌々しげに彼が想いを吐露するまで、私は一切疑いもしていなかった。『私たち』の人生のレールに、あの子を乗せていくことに。 |
… | 1021/04/26(月)23:59:16No.796744861そうだねx5寝る前だってのにヘビーなモン読ませやがって! |
… | 1121/04/27(火)00:01:56No.796745713+ずーんときて私の性癖にはあってますよ |
… | 1221/04/27(火)00:10:07No.796748512+こういうのも似合うなコイツ |
… | 1321/04/27(火)00:13:12No.796749607+月曜日の夜には重バ場過ぎるよ! |
… | 1421/04/27(火)00:30:04No.796755253+今日が月曜と言うことを忘れていた!失敬ッ!読了については感謝ッ! |