許してくれとは言わないけど、テイオーを愛してるのは変わらない…なんて、いつの間に俺はこんな最低な男になり下がったんだろうか。
…とりあえず寮に戻ろう。今の担当はお休み、業務もそんなにあるわけでもない。戻って支度してから考えよう…
顔を洗い終えた後、寝室の方をのぞき込むと彼女がベッドで寝ている。まあまだ朝は早いし仕方ないよなと思いつつ、俺はまだ薄暗い部屋の中で若干酒の匂いが付いた自分の服を見つけて着替え始めた。
「…ん……もう帰るのか？」
「日曜とはいえまだやる事があるからね…」
「…そうか…頑張ってくれ…服は洗濯機に入れてもらって構わない…よ…」
寝ぼけ半分の彼女は布団から顔を出して会話を交わした後、再び布団を頭まで被った。
そういえば俺は彼女の服を着てたのか…俺の身体が細いとはいえ普通逆じゃないのか…？
まあ今更気にしても仕方ない。俺は着替え終えた後、言われた通り来ていた服を洗濯機に入れる。
「トレーナー君…私はいつでも…待ってるから…」
寝言なのだろうか、寝室からそう聞こえた。再び寝室をのぞき込むとやはり彼女がぐっすり寝ている。

別れの挨拶ぐらいはしておきたかったが、ここで起こすのも無粋だと思ったので俺はその場を後にして玄関に向かった。そして多分俺はまたここに来てしまうのだろうと思いながら靴を履き、ドアを開ける。
マンションなので当然だが、外はドアの開ける音が少し響くぐらい静かだ。俺は少し冷たい外の空気を感じながらドアを閉め、エレベーターに足を進めた。
…やっぱり今日は会わない方が良い…今日は休みを取って寮で過ごそう…

結局その日、私はトレーナー室でずっと待ってたけどトレーナーは帰ってこなかった。
必ず戻ってくるって言ってくれたけど、やっぱり心配だな…たづなさんに聞いても分からないし…どこに行ったんだろう。
…朝起きて考えるのはそんな事ばかり。今日帰ってこなかったら私はちょっと怒るかもしれない…なんて、いつも会ったら照れちゃうのがお決まりだけど。でも流石に今日は帰ってくるよね…トレーナーの部屋の前で待ってサプライズでもしようかな。
ふざけ半分で出した考えだけど、気づけば私は身支度を済まして外に出ていた。どうも身体は正直のようで、自分が考えなくともトレーナー寮に向かっている。
私が住んでいるマンションからトレーナー寮まではそんなに遠くない。全力で走れば２分ぐらいで着くけど…当然そんな速度も出ないので想定より遅くなった。
そんな感じで着いたトレーナー寮だけど、まだ朝早いのに駐車場の方からエンジン音がする。
この時間に車を使うのは珍しいと思って見に行くとトレーナーの車だった。

私は車から降りてきたトレーナーを呼び止め、抱き着いた。
「おかえり…って、お酒飲んでたの？」
「…まあそんなところかな」
…でもおかしいな…なんでトレーナーから会長の匂いがするんだろ…
「ねぇトレーナー…もしかしてだけどさ、会長と会った？」
「まあ…会ったな」
「へぇー…まさかそういう関係になったりして？」
トレーナーも会長も大人だし…普通に会ってお酒飲んだだけだよね…
「冗談だよ…って、どうしたの？顔色悪いよ？」
「…」
…もしかして当たってたの…？
「トレーナー…何か言ってよ…」
「…ごめんな」

「…なんで謝るの？嘘って言ってよ…」
「…俺は…最低だよ…」
…なんだ…やっぱり、私はこの人にとっての一番になれなかったんだ。
私を抱きしめて出て行って浮気するって…意味分からないよ…ここまで頑張ってきた私がバカみたいじゃん…
「…トレーナー…私の事はまだ好き？」
「…好きだよ」
「私だけを見てなんか言わないからさ…捨てないでよ…」
「…テイオー？」
あれ…私何言ってんだろ…
「お願いだから…トレーナーの居ない人生なんて嫌だよ…嘘でもいいから…身体目当てでもいいから傍に居てよ…お願い…見捨てないで…」
…なんだか自分じゃないみたい…言ってる事は間違いじゃないけど…もうなんでもいいや。

「落ち着け…息が上がってる…」
「大好きだから…お願い…捨てないで…」
でもなんか急に力が入らなくなってきた…ちょっとやばいかも…
トレーナーがなんか言ってるけど…あんまり聞こえない…

…テイオーが目の前で倒れてからしばらく経った。どうやらパニックで気が動転したとのこと。
幸いにも身体的には異常は無かったものの、精神的なダメージを負ってしまい、回復するまで一時的に学園から離れることになった。
そんなテイオーは最近毎日のように俺の部屋に入り浸っている。本当は断るべきだが、テイオーの必死の懇請に押され部屋に入れてしまった。
そして俺が帰ってきた今もテイオーは生気のない顔でソファーに座り、テレビを見ている。
「…おかえり…今日は会長と会ったんだね…」
「…ごめん」
「いいんだ…私はトレーナーが居てくれれば良いから…」
あの日からテイオーはずっと虚ろな目をしている。笑顔も作ってばかりで、何か重要なものが欠けたように歪になってしまった。
全部俺のせいだ。俺がテイオーを壊してしまったんだ。胸が締め付けられるのも自業自得としか言いようがない。

「一緒にテレビ見ようよ…傍に来て…」
どっちかとの関係を絶たないと現状は良くならない。そんなことはとっくに分かってる。
「えへへ…トレーナーの匂い…大好き…」
しかし俺にとっては2人とも大切な人なんだから見捨てたくはない。
そんな事を言うと世間的に見れば俺は浮気男になるんだろう。
「ねぇトレーナー…一つ聞いていい？」
確かに俺は最悪の選択をした…でも不思議と後悔はしてない。
「トレーナーは…幸せ？」
「…ああ、幸せだよ」
「…私も」
…きっと、俺は一生この歪な関係から抜け出せないんだろうな。

おわり
これまでです
su4802460.txt

のんびり書いてたら長くなってしまいました…
そしてここまで読んで頂きありがとうございました
ちなみにテイオーの私じゃないみたいというのは離人感みたいなやつですね

ぐえー！

これルナルートなんだよね…？

ウワーッ！
拗れすぎて誰も幸せにならない！

ウワーッ！拗れたエンド！
テイオーエンドもお願いします

もうここまできたら3人で一緒に暮らした方がいいんじゃないか…？

>もうここまできたら3人で一緒に暮らした方がいいんじゃないか…？
トレーナーが
ストレスで
死ぬ

この堕ちていく感じ
いいとおもいます

>これルナルートなんだよね…？
一応ルナルートなんですけどテイオーが不憫すぎたので少し救済しました

>>これルナルートなんだよね…？
>一応ルナルートなんですけどテイオーが不憫すぎたので少し救済しました
救済…？

人間として最低のクズなのに今更良識人ぶってるから苦しむのだ

トレーナーも壊れていってるからね…

会長もトレーナーもテイオーも幸せになるにはもう時間逆行して会長パパぶん殴って駆け落ちするなり交際を認めさせるしかない

>>もうここまできたら3人で一緒に暮らした方がいいんじゃないか…？
>トレーナーが
>ストレスで
>死ぬ
構わん、死ね
疾く死ね
何なら腹上でも良いぞ

テイオーエンドは皆が前向きになれるエンドだったのに
ルナエンドなんかこう破滅的すぎない？

txtよんだ
苦しい…寝る前になんてものを…でも良かった…

ぐえーこれで終わりか...

会長ルートをしくじった世界線だからあの時に覚悟を決めるべきだったんだよなトレーナー…

言い忘れてたんですけどこれ渋にシリーズとして載せてるのでテイオーエンド見たい方はそちらへどうぞ