「…はぁ、我ながらへっぽこね」
気を利かせて洗濯をするつもりが自分の下着まで洗濯機に突っ込んでしまったのに気づき
トレーナーのクローゼットからシャツを拝借して着る事にした
改めて彼との身体のサイズの違いを実感しながら妙な安心感に心を躍らせる
が、尻尾のせいで背後からはとても見せられない光景が広がっているに違いない
とはいえいかに一流といえど大衆の目は無い。目撃するのも幸いトレーナーだけだ
同じく髪の毛は乾かしたものの未だに髪はセットしていない
外泊した日は彼に結ってもらう事にしているので起きるまでの我慢だ
洗濯機では私の衣服一式と彼の一流のスーツがぐるぐると回っている
以前大丈夫か、と聞いたが最近のスーツは優れものらしく
丸洗いもできれば形状記憶でシワも残らないのだとか
だからいくらでも雨のレースの後抱き着いてくれ、というのでおばかと声を掛けてやった
まだトレーナーは起きる気配が無い
はて、と部屋を見渡す

一人暮らし用のトレーナー寮であるからさして広くは無い
一般的なアパートやマンションと違うのは防音設備と耐久性に優れている位
残念ながら掃除も行き届いているとなれば後は朝食の準備位しか残っていないのだが
生憎母親に似て料理の腕はこれきしなのである
と、スマホが鳴った
「…もしもし」
「ごきげんよう。元気にしてる？」
「ええ。変わりは無いわ。お母様も調子は良さそうね」
「あら？随分と楽しそうね」
「いいえ。噂をすれば影だと思って」
「貴方が私の事を考えているなんて意外ね。それで？今日もトレーニング？」
「今日はお休みよ。昨日は遅くまでトレーナーと忙しかったから休養を取ろうと話していたの」
「…遅くまで？」
一瞬の沈黙。もしかしたら良からぬ想像でもしてしまったのだろうか？
「ふふ。何でも無いわよ。それよりもトレーナーの食事の用意をしたいから急用でなければ後にして貰えないかしら？」

「…食事？貴方が？料理を！？」
「何でカタコトなのよ」
「いえ…だって…いやでも…料理を！？」
「失礼ね。私だって卵焼き位は作れるの。貴方と違ってね。最近は野菜も切るのよ」
「野菜！」
野菜一つでこの人がこんな風に反応するのは初めてだったかもしれない
「貴方野菜って…腕は無事なの？」
「どれだけ力を込めると思ってるの！？ちゃんとついてるし、トレーナーにも言われて押さえる手はグーにしてるわ」
「貴方のトレーナーさんはしっかりしているのね…」
「一流だもの」
こんな事で一流を名乗ったら彼が聞いたら若干怒りそうだと思いながらつい自慢気に言ってしまう
「まあ、分かりました。程ほどにするのね。また後でかけるとします」
「今度お母様も食べる？」
「…時間があればね」
珍しい返事が来た

「おはよう。何を豚肉と睨めっこしてるんだ？」
スマホでレシピを検索していた所で漸くトレーナーが起きてきた
「朝食に何か作ろうかと思ったんだけど、もうお昼前じゃない。だからお腹に溜まるものがいいかと思って」
「お腹よりも先にお尻をしまった方がいいんじゃないか」
「お生憎様。今洗濯中なの」
「それはシャツを見れば分かる。そうだな、グリッツとか」
「グリッツ？コーンミールの事かしら」
「そうそう。留学中南部生まれのルームメイトが好きでさ。良くごちそうになってて俺も作れるようになったんだ
焼いた豚肉と野菜乗っければお腹にも溜まるし美味しいよ」
「両方初耳ね。留学してたって話も、ルームメイトの事も」
「男だぞ」
「性別の話、したかしら？」
ちょっとした喧嘩のようなやりとりも雑談の合図となっている
話を聞くに中々カロリーの高そうな食事なのだが
ヒトの一人前ならウマ娘にとってはさほど問題ではない、という事でブランチのメニューにする事にした

「ほんとはね」
「うん？」
「ほら。バレンタインデー覚えてる？あの時、手作りのチョコ用意してたのよ」
「へえ」
「でも、失敗しちゃって。だからお茶とあの子達から貰ったお菓子で済ませたんだけどそれが悔しくて」
彼の横で野菜を切りながら話しかける
本当は秘密にしておいた事を話すのは衣服の下をさらけ出すよりも恥ずかしい
けど受け止めてくれると分かった今は、それが楽しみでもあった
「だから料理もね、勉強してるのよ。貴方からだけじゃなくて、色んな娘に聞いたりして」
「キングも随分友達が増えたな」
「だって距離に関係なく色んなレースを走るんだもの。顔見知りも増えるわ」
世間知らずとまではいかなくてもトレーナーのお陰で随分と世界が広がった気がする
これからもきっと増えていくのだろう
「ね、トレーナー。今日はグリッツで構わないわ」
「うん。次はキングが食べたいものがいい？」

「いいえ？貴方が好きな物。教えて頂戴。私の手料理を食べる権利をあげるから」
「楽しみだな」
「そうね」
貴方が好きな物も。貴方が気持ちいいコトも。色々教えて欲しいから
そしたら代わりに、私も色々あげましょう
それが一流のパートナーというものでしょう？
と、再び電話が鳴った
「あら…まただわ」
「その反応お母さんかな」
「ええ。もしもし」
「来たわよ、キング」
「えっ？」
「時間を作りました。今トレーナーさんの家のドアの前にいるわ」

これは私達のとある休日のお話

大変！ママが来た！

お母様フットワーク軽いな！

キング怪文書助かる…

尻を丸出しにしてまだ昨日の残りが垂れてきてないタイミングでやってくるのか…

おっとこれはいろんな意味で修羅場だぞ

いいじゃねぇか
彼女の母親とはなかよくしとけよ
……彼女今尻丸出しだわ

大急ぎで身支度しないといけない…！

お母様めっちゃご近所さんだな！？

>今トレーナーさんの家のドアの前にいるわ
怪談じゃねえか！

メリーさんかよ

お母様もウマ娘だから隠しても匂いでバレますやん

こいつらうまぴょいしたんだ！
しんだよな？

キングノーパンなのか…
トレーナーヤバくない？一流の責任の取り方強いられない？

…お尻は仕舞いなさい

((📱))🚪

なんでトレーナーの家知ってんの…？

一流の母だぞ

隠すならきっちり着替えも整えなさい
男の家にいる時点で隠せてはいませんが

>なんでトレーナーの家知ってんの…？
そもそもキングが今トレーナーの部屋にいるって言ってなくない？

いいでしょう七冠馬よ

GPS機能付きのスマホだったか

>そもそもキングが今トレーナーの部屋にいるって言ってなくない？
トレーナーのために料理を作る→どちらかの部屋に二人ともいる可能性が高い
トレーナーはウマ娘寮に入れない

>>そもそもキングが今トレーナーの部屋にいるって言ってなくない？
>トレーナーのために料理を作る→どちらかの部屋に二人ともいる可能性が高い
>トレーナーはウマ娘寮に入れない
なるほど
いやでも来るの早くない？

コワ〜…

>>>そもそもキングが今トレーナーの部屋にいるって言ってなくない？
>>トレーナーのために料理を作る→どちらかの部屋に二人ともいる可能性が高い
>>トレーナーはウマ娘寮に入れない
>なるほど
>いやでも来るの早くない？
>いいでしょう七冠馬よ

ニコニコしながら読んでたら急にホラーじゃん…

ママに頑張って説得すればなんとか

現場抑えるために全力ダッシュなのかな

顔見に近くに寄ったら
吉報ッ！

まぁこのトレーナーさんがスパダリっぽいオーラ放ってるから許すが…

>>いいでしょう七冠馬よ
ただでさえ三冠馬で文句を言えなくされるのに…

七冠馬出すのは卑怯だろ

この日近所の国道では車をぶっちぎる美女が確認されたとかなんとか

素晴らしいグリッツね
南部によくあるチーズたっぷりのグリッツはミルクとたっぷりのバターを使っていて
本来かなりこってりに仕上がるはずなのだけど
これは添えられたミントが清涼感を出しているのね
中央に置かれた豚のブロック肉も柔らかく仕上がっていてスプーンで崩せるなんて
分かったわ、一度圧力鍋にかけたのね
キング。貴方が焼いて上に乗せたこの目玉焼きも及第点といったところでしょう
私ならばきっとスクランブルエッグになっています
それはそれとして聞きなさい
男の人の家に外泊をするというのなら急な来客に備えて替えの服や下着は用意していくもの
「汚してもいい」というのを喜ぶ人もいるわ
貴方のお父様もそうでした
聞いていて？
「はい…」
（ケツを出したまま正座しながら）

>ママに頑張って説得すればなんとか
既に納得というか認めているからセーフ
それはさておき休日にけつ丸だしでいちゃつく娘は叱る

引退してデザイナーになってもその脚は健在ということですか…
💡

>男の人の家に外泊をするというのなら急な来客に備えて替えの服や下着は用意していくもの
>「汚してもいい」というのを喜ぶ人もいるわ
>貴方のお父様もそうでした
>聞いていて？
>「はい…」
>（ケツを出したまま正座しながら）
せめて履かせてからにしてあげて？

>貴方のお父様もそうでした
急に親の性癖暴露されるキングかわいそう…

尻丸出しでしかも服は全部洗濯中って詰みでは

7冠バの脚だ
そこいらの交通機関使うより速い

親の前に彼シャツ下着なしで対応とか恥辱プレイにしても厳しいよ

https://youtu.be/4F3dvh7KaKg?t=347
グリッツはこういうの

お父様がかわいそうなことになってない？

急に親の惚気話

両親の夜の営みの話をされたらたまったものではありませんよ！！

>この日近所の国道では車をぶっちぎる美女が確認されたとかなんとか
ターボばばぁだ！！

>https://youtu.be/4F3dvh7KaKg?t=347
>グリッツはこういうの
……結構ガッツリしてるというか
バターを固まりで投入していたから怖くね

>>https://youtu.be/4F3dvh7KaKg?t=347
>>グリッツはこういうの
>……結構ガッツリしてるというか
>バターを固まりで投入していたから怖くね
カロリーは美味さだからな

かつて伝説と呼ばれた走りだ、お母様の足なら家まですぐよ

バターたっぷりはさすがアメリカ料理だ…

>それはそれとして聞きなさい
>男の人の家に外泊をするというのなら急な来客に備えて替えの服や下着は用意していくもの
>「汚してもいい」というのを喜ぶ人もいるわ
>貴方のお父様もそうでした
キング父「「」くん…キングをよろしく頼むよ！最近父離れしたのかキングは私に目を合わせてくれないんだ…」

>「汚してもいい」というのを喜ぶ人もいるわ
何を教えてるんだお母様は！

お母様も多分似た様な経緯で父親に堕とされてそう

最高だわ

これが一流……

>何を教えてるんだお母様は！
経産婦だし娘は年頃なんだし
それ相応のことを教えないと

汚してもいいって言ってるのはトレーナーの方なんだよね…

グッバイヘイローこわ〜…

お母様はお漏らし癖あるのかな…

>お母様はお漏らし癖あるのかな…
ちょっと別の方を疑ってしまいますね

現役選手に手を出したのかと勘繰られるのではと思ったがキングの母親妊娠中にも走ったんだっけ…

お母さんがうっかりなのはキング見ればわかる

ナリタブライアンよりパワープレイで押しきるセリフ初めて見た

泥まみれの勝負服に興奮するトレーナーもいるわ

…キング目玉焼きしか焼いてなくない？
ほとんど全部トレーナーが作ってない？

>…キング目玉焼きしか焼いてなくない？
>ほとんど全部トレーナーが作ってない？
それでも母親より作れる

いいでしょう？私のトレーナーよ

>…キング目玉焼きしか焼いてなくない？
>ほとんど全部トレーナーが作ってない？
目玉焼きも焼いた
ミントも刻んで散らした

泥まみれのまま草葉の陰でうまぴょいしたこともありましたね…

親からしたらこのトレーナー糞では？

>親からしたらこのトレーナー糞では？
キングをしっかり大成させたあとならなんとか許されそう

>親からしたらこのトレーナー糞では？
お母様と和解してるっぽくて温泉行ってるしもう囲い込む段階に入ってるのでは？

>泥まみれのまま草葉の陰でうまぴょいしたこともありましたね…
お母さま
情報を漏らし過ぎです

一流トレーナーじゃないならまず外泊届出してトレーナーの部屋でうまぴょいするほどキングと仲良くなれないし…

>親からしたらこのトレーナー糞では？
は？一流だぞ？

会話から考えると因子継承全距離走れるようにしてるっぽいから 3年間で20勝くらいしてそう

実際有馬制して同期を蹴散らした段階でお母さんもう認めてそうだしそこから実績を上積みすれば誰も文句言わなそう
ただ親子ともども色々甘いだけで