私のトレーナーは、一言で言うなら残念な人というのが的確な表現だろう。
いつも寝不足なのか髪はボサボサでろくな手入れもされず、肌も荒れ気味。
トレーニングにはひた向きで論理的、真面目かつ真摯に向き合ってくれているのは分かるのだが、頭痛持ちなのかすぐ調子を崩す。
私の健康を気にする暇があるなら、まず己のことから正すべきだろう。
正直なことを言うと、同じ女として恥ずかしくない程度には身嗜みを整えて欲しいというのが本音なのだ。
三冠ウマ娘である私と一緒に並び立つに相応しい、皆が羨ましがるようなトレーナーでいて欲しいというのはわがままな願いだろうか。
……初めて会ったばかりの頃は、こうではなかった。
新人である私がレースを通じて初めて会った時のトレーナーは、「大人の女性」だった。
毛先まで手入れされた髪、落ち着いた話し方と立ち振る舞い、この人になら自分の未来を預けられると感じさせる魅力があった。
だというのに……。
私が実力を付けレースで活躍するにつれ、だんだんと……だんだんと、今の残念な姿になってしまったのだ。

せめて、自慢の姉貴や姉貴のトレーナーのような自慢のトレーナーでいてくれたら。
三冠である私が自慢できるトレーナーであったなら。
そんな不満を抱きつつも、まあ、その、感謝していないわけではなかった。
だから何の気まぐれか、偶然にもマチカネフクキタルから巻き上げた幸運のお守りとやらをトレーナーにプレゼントしてやったのだ。
その翌日が、これだ。朝からの偏頭痛。
少しでも痛みが和らげばと額を揉むが効果はない。ううう、トレーナーに頭痛薬でも貰うか？きっと常備しているはずだ。
そこまで考えて、ふと、今朝のことを思い出す。
確かトレーナーは、珍しく明るい笑顔をしていたな……。
久しぶりに頭痛もなく、ぐっすり寝られたと言っていた。その時はフクキタルの幸運のお守りとやらも役に立つじゃないかと思ったのだが……。

なるほど、やってくれたなフクキタルめ…！
うまい話には裏がある。きっとあれは幸運のご利益があるお守りではなく、身代わりのお守りなのだ。
トレーナーの不調が、そっくりそのまま私に移っている。
だから頭痛だの寝不足だの肌荒れだのと不運に悩まされているわけか。
さて、フクキタルをどう締め上げてやろうか？
そんなことを考えながら、私はまあこれも悪くないかとも思っていた。
今こうして耐えていれば、逆にトレーナーは快適に過ごせているはずなのだから。
とりあえず今日一日だけ耐えてみよう。

今日一日だけ……。

それからが大変だった。ただでさえ頭痛で絶不調なところに妙なトラブルばかり舞い込むのだ。
生徒会として解決に奔走し、ご機嫌な会長の駄洒落を聞かされ、全てが終わった頃には本当にクタクタだった。
間違いない。普段からトレーナーが抱えている不運やトラブルがきっと自分に降りかかっているのだ。
私は、ほんのちょっぴりだけトレーナーに同情した。
それはそれとしてマチカネフクキタルは捕まえて締めあげたのだが。

「え？身代わりィ！？……あ、あの、何か勘違いしてませんか？あの開運アイテムは身代りじゃなく魔除けですよ！ま・よ・け！」
「……なに？本当にそうか？贈った側が不幸を肩代わりする呪いのアイテムじゃないのか？」
「違いますって！シラオキ様のお告げによると、一日だけあらゆる干渉から守ってくれるありがた〜い魔除けのお守りです！」
……なんだ、それは。つまり、…今日の不幸は単なる不運で、ぜんぶ……勘違い？
改めて襲ってくる１日の疲れに、私はがっくりとうなだれるのだった。

■

それはまだナリタブライアンがトレセン学園に入学したばかりの頃のお話。
トレーナーが、ナリタブライアンと出会い担当になったばかりの時の出来事です。
彼女は独り、三女神像の前で祈っていました。

「女神様。もし、私の願いを聞き届けて貰えるのなら、あの子を、ナリタブライアンを守ってあげてください。
　あの子はとても素晴らしい才能を持った子です。その才能が潰れてしまう事がないように、不運や不幸に見舞われることがないように。
　学園を卒業するまでの間、健康でいられるような運命を授けてあげてください。私はその為にならどんな努力も厭いません。
　それで足りないのというのなら、私があの子の分も全ての不運も引き受けます」

その真摯な願いは女神さまに通じました。
だからその日から、
トレーナーの抱える不調は二人分になったのです。

重い…

願いを叶えてくれるのは良いけど代償が重いよぅ！

雛人形みたいな役割を担ったトレーナー…

あらゆる干渉から守るって事は加護的な物も無効化してるんだな…

トレセンは悪魔でも祀ってるんか…

ナリブは一回怪我したら…

本来背負うべきだった負担だけでこれなら普段トレーナー本人が背負ってる負担を考えると生きてるだけでも凄いな…

トレーナーが気ぶりの身代わりしてたのが
フクキタルのお守り効果でなくなって
もともと持ってた不調が来てただけ？

魔除けが機能してるってことは呪いの類だな！

ナリブの不幸が全部トレーナーに飛ぶとするなら怪我関連も全部背負うのか…

トレセン学園の起源は、とあるウマ娘の一族がウマデビルを祀り出した事にあるというのは知っているな？

ブライアン気付けー！！！

何者だよ三女神…

代償を取る代わりに願いを叶えるって点を見ると女神というか悪魔だな…

ぬーべーで見た奴!
早く気付かないと手遅れに…

トレセン学園を卒業したら加護解けそうだから
気付くとしたらそれからかな？

何となくうみねこの外伝思い出した

気ぶる暇はないぞブライアン

継承が完全ランダムの邪神らしいな

出会ったばかりの頃のトレーナーと今のトレーナーの見た目が違うのってそういう……

この様子だと多分三年保たないだろうなトレーナー…

三女神vsシラオキ様が始まってしまう

ぬ〜べ〜であったな
人の願いを叶える代わりに自分はどんどん醜くなっていく妖怪

ナリブが人気になったからだらけるようになったんじゃなくて身体ボロボロすぎて取り繕う余裕もないのか

因子星3出してくれない女神なんかに頼るから…

>出会ったばかりの頃のトレーナーと今のトレーナーの見た目が違うのってそういう……
あらゆる不運を背負いすぎて命削れてそう

他者の罪とか不幸を背負って罰を食らう存在は神道寄りだしシラオキ様の得意分野だよな…

フクキタルトレーナーに霊視してもらわないと…

シャワーやスズカトレーナーが同じ願いしたら何ヵ月持つかな

>夜ふかし気味
>練習ベタ
>太り気味
>偏頭痛
>肌荒れ
本来ならナリブに降り掛かってたコンディション全部肩代わりしてるのかなトレーナー……

男のトレーナーだったらCVが予測つくぐらい重いな…

トレーナーに降りかかる練習ベタってなんだろう…

女トレーナーでこの重さ

>トレーナーに降りかかる練習ベタってなんだろう…
仕事の効率が悪くなるとかじゃない

>フクキタルトレーナーに霊視してもらわないと…
見たこともない四足歩行生物の骸骨にまとわりつかれてそう

トレーナーが守ってくれてるので
こうして安心してナリタブライアンは気ぶれるのだ

女神像様はさぁ…

ぬ〜べ〜だとこのトレーナーが気に食わなくなって追い出した途端に絶不調になってドン底人生始まるやつ

>女神像様はさぁ…
願いを叶えてくれたね

テイオーのトレーナーが同じことしたら
気がついたらトレーナーが骨折して松葉杖付いてたりするやつ

多分厄はトレーナーに行ってるけど原因はブライアンの方にあるからナリブがちゃんと休息とらない限りトレーナーの不調は一向に改善しないパターン

バッドイベントは起きず大食いイベントは起き良く眠れトレーニングは失敗せず金スキルは得られ出遅れずかからず馬群に飲まれず温泉に当たる…
まさにトレーナーの夢だな

>テイオーのトレーナーが同じことしたら
>気がついたらトレーナーが骨折して松葉杖付いてたりするやつ
事実知ったらテイオー大泣きするわこれ

ロバートジョンソンかな

スズカとかライスの身代わり人形になりたいですよね