私、エアグルーヴ、ナリタブライアン。
夕方に生徒会の幹部三人が揃ったところで会議は始まった。
「まずこれを見てくれ」
エアグルーヴがプリントアウトした資料を手渡してきた。
『この人いつもライブに来てくれるけど、はっきり言って臭い。せめて身だしなみは整えて欲しい』
ややブレ気味で顔が隠されている男性の写真。そして星や矢印の横に数万の数字。
あまり詳しくないが、ウマッターの投稿だろう。

「大炎上してるな」
ナリタブライアンが呟いた。
「そのとおりだ。まあ、このファンが不快な外見をしているのは事実かもしれないが……こういうことを晒し上げるようにSNSに投稿するのは問題だ」
エアグルーヴが続けた。
「学園の育成カリキュラムの中には、ファンに対する対応、広報、メディア戦略などの授業もあったはずだが……その内容が昨今のSNSの普及に対応できてない、ということかな？」
三人で何年も生徒会を運営してきた。阿吽の呼吸で話が進む。

「そういうことでしょう。生徒会から学園側に関連したカリキュラムの見直しを要求する要望書を出すことになります。それと、生徒会からも生徒に対してSNSの使用に関するルールの厳守を告知する必要がありです」
エアグルーヴの提案は妥当だろう。手渡されたプリントの投稿の日付は古くはないものの、新しくもない。
この件に関して、生徒を特定して呼び出して……などということまでは、まだしなくても良いはずだ。事前調査はしておく必要はあるかもしれないが。
「要望書や告知文の内容については生徒会書記にお願いするとしよう。これでおしまいかな？」
エアグルーヴは少しため息を付いた後、再び別のプリントを手渡してきた。

『今日のレースも1着！ご褒美に眺めの良いホテルでゆっくりするんだ♪』
これはウマスタグラムの投稿だろう。投稿は昨日。ホテルからの綺麗な景色と、トウカイテイオーの顔が写っている。全く、元気なものだ。
「……何か問題があるのか？確かにまだ十代の少女がこれほどランクの高い部屋に宿泊するという贅沢は、世間的には目に余るかもしれないが……」
私にはそこまで問題があるようには見えなかった。トウカイテイオーは今や学園一の優駿だ。他の生徒の憧れになるような活動をアピールしても構わないと思っていた。
「問題はこれです」
エアグルーヴは写真の端を指差す。
窓からの反射だろう。ベッドの片隅が写っていた。大きなベッドだ。そしてその上には、切れているが、バスローブが2つ用意されている。
「わからん。相変わらずテイオーの顔が小憎らしいくらいしかわからん」
ナリタブライアンが唸った。

「ベッドの上にバスローブが2つある！この意味することはわかるだろ！」
……ああ、なるほど。ナリタブライアンがサッと頬を染めた。
「これはいわゆる『匂わせ』というやつです。テイオーは用意周到にSNSの投稿を行って、自身にパートナーがいることをアピールしようとしていると思われます」
「よく気づいたな」
「SNSなどに詳しいカレンチャンが教えてくれました」
テイオーめ。彼女が専属トレーナーにべったりだということはずいぶん前から気づいていたが、ここまで進んだ関係になっていたとは。けしからん。
「不純異性交遊の示唆は……良くないな。この投稿はどうなっているんだ？」
「一定時間で削除される機能を使用して投稿されたらしく、もうありません。カレンチャン曰く、インターネット界隈で感づかれた気配もないようです」
これが若さの持つ瞬発力というものだろうか。私が後塵を拝することになるとは。

「この他にも、同様の匂わせがメジロマックイーンからもあったそうです。仮に発覚した場合、学園の風紀が問題視される可能性があります」
「わかった。同じ様な投稿を行った生徒を呼び出そう。今後こういったことをしないように厳重注意するしかない」
その後も今後も対策をいくつか考えた後、緊急会議は解散となった。

しかし、匂わせ……匂わせ、か。
私の知らないSNSテクニックがまだまだあるようだった。

「またせたな、トレーナー君。申し訳ない。生徒会の緊急会議があってな。しかし、予約していたレストランに間に合いそうで良かったよ」
生徒会役員は学園外との折衝なども頻繁にあるため、夜間外出、外泊許可などの申請は免除されていた。
「こら。その呼び方は、違うだろう？ちゃんと名前で呼んでくれ」

タクシーを使って、学園から離れた高級レストランへ。
URA上層部と打ち合わせに使用した際の印象が良く、彼を連れてきたいと思っていたのだ。
「安心したまえ。言っては何だが、私は君より稼いでいるぞ。まあ、君のプライドを考えて、ここは君が出してくれても良いかな？」
テーブルについて、メニューを選ぶ。お互い成人しているので、飲酒だってOKだが……一応学生の身として控える。
やってきた華やかな飾り付けの前菜を前に、私はスマートフォンを掲げた。
「珍しいかな？私もこういったことを始めてみようと思ってね」
前菜を写した投稿画像の片隅に、彼の指が写ってしまった。ふむ。うっかりというやつだな。
私は構わずその写真をウマスタグラムに投稿した。

そのままメッセージアプリを立ち上げて、メッセージを打ち込んだ。
『調子に乗るなよ、不良娘。皇帝をなめるな』
しばらくして、返事があった。
『えー、そんなんじゃ帝王には勝てっこないよーだ』
「……ずいぶん楽しそうだね、ルナ」
トレーナー君が声をかけてきた。
「ああ、目をかけていた後輩が想像以上の成長を果たしてね。私ものんびりしていられないなと思ったところなんだ。……ところで、食後に時間はあるかな？」
私は不敵に微笑んだ。

こいつ…

水面下で飛び散る火花
…水面下かな？

流石に担当は別のトレーナーだよね？

修羅バ

わざとやる辺りルナも不良だな
…いやもしや
…そのトレーナー誰のトレーナー？

SNS上で
やるな

こんなに真面目そうなトレセン生徒会初めて見たかも

エアグルーヴが憤死しそう

>こんなに真面目そうなトレセン生徒会初めて見たかも
真面目かな…真面目かも…

ルドルフのトレーナーかテイオーのトレーナーか
チームトレーナーで二人のトレーナーか
単にどっちが先にゴールインするかを競ってるかで大きく意味が変わる

言い合いも牽制し合いも好きにすればいい
>SNS上で
>やるな

テイオートレーナーは専属らしいから別人だろう

ルナ呼びなのに幼児退行してないのに独占欲は強い

ルドルフモードで独占欲だけがルナちゃんになった皇帝はヤバイ

会長はテイオーにあてられて恋愛観加速して欲しい気持ちある

これは掛かり気味のようですね
シンボリルドルフ落ち着きがありません

漁夫の利でかっさらわれたら二人はどんな顔するかな…

>>こんなに真面目そうなトレセン生徒会初めて見たかも
>真面目かな…真面目かも…
だっていつも爛れた民主主義みたいなことやってるし…

恋愛頭脳戦…生きていたのか…

>流石に担当は別のトレーナーだよね？
>『調子に乗るなよ、不良娘。皇帝をなめるな』
同じじゃねーかな…

専属だし別人っぽいし良かったね
いやよくねぇな！

カレンチャンの実装に合わせてSNS問題を
別の人が投稿している生徒会議事録風でもいいかなと思ったけど
せっかくなので文章で

カレンチャンはまだ手に入れてないので書けない
その鬱憤の解消を会長にお願いした

>だっていつも爛れた民主主義みたいなことやってるし…
生徒会は寡頭制だからな

もし同一ならトレーナーも結構危ない橋渡ってない？
テイオーとホテル行ってルナと食事だろ？

別のトレーナーじゃなきゃ複数の女学生と平然とホテル行ったりする男の倫理観がかなり悲惨じゃん…

>テイオーめ。彼女が専属トレーナーにべったりだということはずいぶん前から気づいていたが、ここまで進んだ関係になっていたとは。けしからん。
ということらしいから安心！

流石に同じトレーナーじゃないよ！
でも読み方次第ではそう読めるか……

クソボケofクソボケなら安心

テイオーとルナがトレーナー取り合う怪文書はよく見るからついそう見てしまった
すまない

真面目『そう』だからな…

ルドルフに寝取らせて自分の脳みそを破壊するのが趣味なテイオーに毒され過ぎたか…

匂わせとか出来ずに直球してしまいそうなウマ娘と言えば

>匂わせとか出来ずに直球してしまいそうなウマ娘と言えば
マブいスケ

ﾊｲｯ!
ﾏﾁｶﾈﾌｸｷﾀﾙﾃﾞｽｯ!

>匂わせとか出来ずに直球してしまいそうなウマ娘と言えば
モルモットくーん