二次元裏@ふたば

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158279 B21/04/13(火)23:59:49No.792581014そうだねx2 01:05頃消えます
悲劇とは「あと一歩」が届かない時、最も人を惹きつけるものだ
ここで出会えていれば、ここで間に合っていれば、ここで意思疎通ができていれば
そんな、もう少しで回避できたかもしれないという思いが、人の心を焚きつけるのだ
結局の所生き物は、本能的に、失った、もう少しで失わずに済んだ、そんなものに思いを馳せがちだ
それは失敗を繰り返さないという意味では正しいことなのだろう
だが過去にばかり気を取られていてはいけない
昔何かの本で読んだ
生者は、死者の思い出に勝つことはできない、だがこれから積み重なることはできる
まぁ実際には誰か死んだわけではないのだが、そこは物の例えだ
一度傾いた天秤を戻すには、逆側の皿に新たなものを乗せるしかないのだ
そう、未来を見て生きて行こうではないか

「だからテイオー、昨日のトレーナーの集まりで、どういうわけか人生ゲームをすることになったのも、ダイスがファンブルを起こして桐生院さんのコマと結婚するはめになったのも、全て事故なんだ、そろそろ機嫌を直してくれ」
「ふんだ!」
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/14(水)00:00:27No.792581236そうだねx2
あぁ、俺の愛バが怒っている
ソファの上で腕を組み、あぐらをかき、そっぽを向いている
つらみがヤバ谷園である
1時間続く正座で足も痺れてきた
自分に非がないと主張し、この場を強引に収めることはおそらく可能だろう
客観的に何かに違反しているわけではないのだから
しかしそれは悪手だ
彼女のメンタルには確実にシコリが残る
思えば幼少の頃、両親が喧嘩をすると大体次の日は子供に八つ当たりが来ていたことを思い出した
今思えば笑い話であるのだが、彼女はG1ウマ娘、日常生活に悪影響が出ることがあっては断じてならない
メンタルケアもトレーナーの大事な仕事なのだ
まぁ、このまま彼女に嫌われたら自分のほうが耐えられないというのも否定できないのだが
221/04/14(水)00:00:57No.792581403そうだねx2
「わかった、降伏しよう、俺が不用心だった、すまない、許して欲しい」
「うーん…そういうことじゃないんだよね」

はて、そういうこととはどういうことか
…なるほど少しわかったぞ、これはいわゆる母ちゃんの「まーたこんなに散らかして!大体あんたはいつもいつも…」という奴だ

「…つまり、今回のことがどうこうというわけではなく、今まで積もり積もった思いがとうとう許容値を超えてしまったということでしょうか」
「そう!」

そうなのか、では尚更、自分にはこれ以上できることはないのではないか
途方にくれていると彼女の口から言葉が次々と飛び出す
321/04/14(水)00:02:30No.792581929そうだねx3
「大体トレーナーはいつもそう!最初は『ぜひ君を担当したい!』なんて言ってくれたのにこっちからテストに呼ぶまで来てくれないし!」
「練習中はずっとボクのこと見てるのに、ボクが着替えから戻ってくると他の子の練習眺めてるし!」
「次のレースは長距離だなんて思ったら、長距離の得意な子たちのところに行っては何か閃いて帰ってくるし!」
「ボクの脚の具合を見るときは全然照れずにいつも真剣な表情だし!」
「気がついたらカフェでカイチョーとお喋りしてるし!聞き耳立てたら二人してボクのこと褒めてばっかりだし!恥ずかしくて混ざれないよ!」
出てくる不満に統一感がない、積もり積もったとなればそういうものなのだろう
しかし基本的には職務なのだ、彼女の夢を応援するために必要なことなのだ
厳密に言えば最後の奴は違うのだが、テイオーの魅力を同じ目線で分かち合えるものが他にいないのだ、俺だって愛バを存分に語りたい時くらいある
とはいえ…自分の行動が彼女を悲しませているということはわかった
どうしたものか
迷っていると、ふと脳内で、昔祖父に言われたことが思い起こされる
421/04/14(水)00:02:51No.792582048そうだねx17
『よいか、私と仕事どっちが大事なの!という問いに正論を返してはいけない、お前のために頑張っている、なんてのは分かりきっていることだからだ』
『相手の真意をさぐれ、ちなみに私は「じゃあ仕事やめるわ」と言って婆さんに殴られたことが3回ある』

サンキュー爺ちゃん、でもそれ孫にする話じゃないわ
521/04/14(水)00:03:20No.792582201そうだねx1
そうだ、大事なのはこの場を収めることではない、彼女の不満を消し去ることだ
そのためには彼女の胸の内をはっきりさせねば
俯いていた視線をやや上向きに、彼女の顔を視線に捉える
テイオーはこちらを見ていた
「な、何だよぉ…そんな目で見ないでよ…」
その目には…怒りはなかった
思っていたことを言ってしまった、という不安が感じ取られた
「…今言ったことを、やめて欲しい、という意味ではないんだな?」
「…うん、そんなことしたらトレーナーがトレーナーじゃなくなっちゃうよ、それはイヤ」
彼女は賢い、俺が普段何を思い行動しているか、理解しているのだろう
ならば、俺がするべきことは…誠意を示すことだ
621/04/14(水)00:04:06No.792582455そうだねx3
「俺にとっては、テイオーが一番だ、何をしてもそれは変わらない」
「ウ」
変な声を出すな、こっちは砂糖を吐くような思いで捻り出しているのだ
「…そ、そっかー、まぁ当然だよね!ボクたち一緒にセンセンフコクした仲だもんね!裏切りは切腹だよ!」

テイオーがソファから降り、正座している俺の膝に腰掛けてくる
「…もう一回、言って」
帝王様のご命令とあらば仕方ない
右手を彼女の頭へ、左手を彼女の左肩へ、そして口を、ピンと立つ彼女の耳元へ
「不安にさせてすまない、だがテイオーが俺の一番だ、テイオーが俺の頑張る理由だ、俺はこの3年をテイオーと二人で走り切るためなら何だってやる」
「…3年のその先は?」
「それはもう、許されるのならいつまでもだ」
「…そっか」
彼女の耳がふにゃりと脱力し、倒れるのが見えた
721/04/14(水)00:05:01No.792582751そうだねx3
これで、彼女を安心させることができたのだろうか
父さん、母さん、爺ちゃん、ありがとう、いつか彼女を紹介します
緊張のせいなのか、本当に砂糖を吐いてしまったのか、口の中がカラカラだ
「…ふぅ、じゃあトレーナーのPCの『ボクっ娘』フォルダのことは今日は聞かないでおくよ」
「さらっとカマをかけるな、そんなものはない」
「ちぇー、ないのかー」

…一応「尻尾」フォルダは消しておくか、あくまで資料なのだが
そんな思いを胸に、俺は彼女とのこれからに思いを馳せるのであった
821/04/14(水)00:05:18No.792582836そうだねx13
テイオーに問い詰められたいなぁ、でも曇らせたくないなぁと思いながら書きました
921/04/14(水)00:06:03No.792583087そうだねx9
>テイオーに問い詰められたいなぁ、でも曇らせたくないなぁ
わかるよ…
1021/04/14(水)00:07:13No.792583455+
深夜の糖分ありがたい……
1121/04/14(水)00:08:23No.792583830+
別にテイオーだって100%自分を見てろってわけじゃないんだけど
それはそれとして気に入らないモノは気に入らないからね…
1221/04/14(水)00:10:48No.792584642+
尻尾フェチか…いいよね…
1321/04/14(水)00:11:01No.792584715+
>テイオーに問い詰められたいなぁ、でも曇らせたくないなぁと思いながら書きました
いい塩梅だ
1421/04/14(水)00:11:30No.792584881そうだねx4
>「…ふぅ、じゃあトレーナーのPCの『ボクっ娘』フォルダのことは今日は聞かないでおくよ」
画像だけのボクっ娘なんて本物の100分の1以下の価値しかないよ
1521/04/14(水)00:12:21No.792585175+
テイオーがどうかはともかく
子供はワガママ言える人にしか言わないからね…
1621/04/14(水)00:15:45No.792586382+
ほう尻尾フォルダ…
1721/04/14(水)00:17:15No.792586919+
テイオーの尻尾の根元を撫で回したい欲求に駆られてそう
1821/04/14(水)00:19:12No.792587577+
その欲望、開放しろ…
1921/04/14(水)00:19:19No.792587616+
最近テイオーの年相応の稍重怪文書多くてありがたい…
2021/04/14(水)00:21:06No.792588175+
クソボケ…じゃない⁉︎
2121/04/14(水)00:28:33No.792590536+
テイオーは湿っぽいくらいがちょうどいい
2221/04/14(水)00:34:44No.792592448+
可愛いなくそ
2321/04/14(水)00:42:31No.792594811+
ああ資料ね…資料資料
2421/04/14(水)00:48:00No.792596432そうだねx4
>「な、何だよぉ…そんな目で見ないでよ…」
この辺りに曇らせたくはないけど曇り顔はみたい矛盾した欲望を感じる


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