オグリキャップ再開系幼馴染概念怪文書 【手紙】 父上、母上、お元気でしょうか。 こんな畑ばっかりの田舎は嫌だと私が大学受験を機に、東京に出て8年ほどが経ちました。 生意気なことを抜かす私を叱りながらも、背中を押してくれたことは忘れていません。 忙しくて手紙も遅れず、申し訳ありませんでした。 私は大学を卒業し、中央のトレセン学園所属のトレーナーとして働いています。 初めての担当ウマ娘の育成に、一区切りがついたといったところです。 ところで私の担当ウマ娘はだれだと思いますか?なんとあのオグリキャップです。 もしかしたら活躍ぶりから雑誌などで知っていたかもしれませんね。 初めての担当としてはありえないくらいの実績を得ることができました。 オグリキャップには感謝しかありません。これで私も故郷に錦を飾って帰れるというものです。 思えば遠くにきたもんだとはこういう時にいうのでしょうか。 近所のはっちゃんと、「いくらウマ娘とは言え、中3が小学生に負けるわけにはいかん」と、かけっこでデッドヒートしていた私からは想像もつかないことでしょう。 あの子も今は立派にやっているのでしょうか。 さて、本題ですが、URAfinalsも彼女の優勝で終わったところでお互いに休暇が必要だろうと思い、帰省することにしました。 オグリキャップもどうやら帰省するようです。 彼女は都会では方向音痴なところがあるので私に名古屋までの切符購入も頼んできました。 案外近い地方だったのかもしれません。 日にちも私と一緒でいいそうなので名古屋まで一緒に帰ることになるでしょう。 新幹線は〇月〇日に取りましたので、その日に笠松へ帰るつもりです。 それまでどうかお元気で。 【ミルクタマモクロス】 うん?もう一度いってんかオグリのトレーナーはん。ふんふん、幼馴染のかなり年下のウマ娘とよお競争してたと…… (オグリの言うてた話と似とるなあ……オグリも年上の近所の兄ちゃんとよーかけっこして遊んだ言うてたで) うん?その子はめちゃめちゃに食べる子だった?オグリみたいに?そらオグリやないか? へ?オグリとは毛の色がちがった? ほんならオグリとちゃうなあ。毛の色なんてころころ変わるもんとちゃうしなあ。 ちなみにその毛の色っちゅうんは何色や? オグリよりも濃いグレー?葦毛やないかい!葦毛は年取るにつれて色が白なるんや! あんた葦毛のウマ娘のトレーナーやっといてそんなことも知らんのかい! お前ら幼馴染かもしれんで!オグリにもいうてき! なに?名前がそもそもちがう? ほんならオグリとちゃうなあ。人の名前なんてころころ変わるもんとちゃうしなあ…。 【笠松への道】 ご馳走様でした、とオグリキャップがで手を合わせた。 「駅弁はうまいが量が少ないのが難点だな。」 「まあその分味はいろいろ楽しめただろう?早めに弁当買いにいって正解だったな。」 「ああ!人参山盛り弁当なんかは美味しかった!」 オグリキャップが新幹線で食べた昼食は10種の駅弁と、少食気味だった。 なので…… 「この喫茶店、食事の分量がやけに多くてたすかったな……」 「チェーン店のようだからトレセン学園の近くにもないか探してみるとしよう。」 新幹線を降りてすぐ腹をならしたオグリキャップをコーヒーショップへと連れて行ったのだった。 「ありがとうトレーナー。君にも帰省の予定があるだろうにつき合ってくれて。」 「オグリが迷って餓死するなんてことは避けたかったからな。」 「む。さすがに心外だぞトレーナー。駅ビルにはたくさんレストランがあるんだからどこかには入れる……はずだ。」 と、他愛もないことを話していると、スマホを操作していたオグリキャップが怪訝な顔をした。 「どうした?」 「ああ、なんでもない。ただ、母がおかしなことを書いててな。」 「最高のトレーナーさんと一緒に帰ってくるのを楽しみに待っています、なんて書いてあるんだ。」 「……なんか勘違いしてるんじゃないか?そもそも別々のところに帰省するんだしな。」 「ああ、多分途中までいっしょに行くのを何か勘違いしたんだろう。」 まあ、トレーナーと担当が”そういう”関係になっているのは珍しいことじゃないが……俺とオグリキャップはそういうのじゃないしな。 「いいよいいよ。さて、じゃあそろそろ行こうか。オグリは何線だ?送っていくよ。」 「あとは実家までもう〇鉄1本だ。」 「え?こっちも〇鉄1本だ。」 おたがい顔を見合わせる。どうやらお互いの実家は同じ鉄道沿線にあるらしい。 「トレーナー、なかなかご近所さんだったんだな。」 「降りる駅も一緒だったりしてな!」 「ふふ、そうだったら面白いなトレーナー。」 実家のあるカサマツに着くまでもう少しオグリとの会話を楽しめそうだ。