『ハナを切ったのはやはりセイウンスカイ！セイウンスカイが先頭でレースを引っ張ります！』
トレーナーがスカウトしてくれて、トゥインクルシリーズに出られることになった。
メイクデビューから、最初は未勝利戦の繰り返し。
勝てなくて勝てなくて、それでも、トレーナーは頭を撫でて褒めてくれた。がんばったね。って。

『先頭からやや離れて！3番人気エルコンドルパサー！』
私は走れて楽しい。トレーナーも褒めてくれる。私はそれで満足してしまっていた。
1着こそ中々取れなかったけど、頑張って練習してればいつか必ず1着は取れるんだからって。

『後方集団の中、外で足を溜めています！2番人気グラスワンダー！』
ある日、いつものようにトレーニングが終わってトレーナー室へ行ったときの事。
トレーナーが目の下に大きなクマを作って、机に突っ伏して寝てた。頬っぺたには濡れた一筋の跡。

『そしてそのすぐ後ろ！今日、もっとも夢を託されたウマ娘！1番人気スペシャルウィーク！！』
その時にはへろへろなのかなー、とかしか思わなかった。
机の上にたくさん散らばってるトレーニングメニュー表の表紙には、ウララを勝たせる為にって書いてあった。

『そしてぽつんと一人最後方！大きく離れてハルウララ！やはり厳しいか！？』
次の日、トレーナーに聞いてみた。私、今走ってるのも楽しいよ。いつか勝てるから大丈夫だよ？って。
そしたらトレーナーは、私がウイニングライブの中央で輝いてるところを見たいんだって。
じゃあ見せてあげよう！って思って、その日からたっくさん練習して、初めて1着を取ることができた。

『第2コーナーから向こう正面へ！先頭は依然変わらずセイウンスカイ！』
初めてレースで1着を取って戻ってきたら、トレーナーは泣いてた。
よく頑張ったね、えらいね、すごいねって、泣きながら抱きしめてくれた。
私も生まれて初めての1着だったから、つられて泣いちゃったっけ。
初めてセンターに立ったウイニングライブは、真っ赤な目で出る事になっちゃった。

『先頭が第3コーナーに差し掛かります！ここで外からスペシャルウィークが動いてきたあああ！！』
そこから勝ったり負けたりを繰り返して、初めて出たG1レース。
3着を取れて満足してた私に怒鳴った子がいたけど、あの時は何で怒鳴ったのかほんとわかんなかった。
そして始まった、私の勝てなかったウイニングライブ―――――――

『グラスワンダーも負けじと追い上げる！セイウンスカイ、エルコンドルパサーは苦しいかー！？』
大・大・大歓声。
観客のみんなの送ってくれる歓声が、私の肌にビリビリくるぐらい。
でも、観客のみんなは私じゃなくて1位の子の名前を大声で呼んでいた。おめでとー、すごかったよーって。
その流されそうな歓声の中で、小さくウララー！って声がした気がした。
そっちの方を見たら、トレーナーがピンク色のライトを振っていた。

『最後の直線！スペシャルウィーク！スペシャルウィーク前に出た！！そして大外から――――――』
そっかあ。G1で1位を取ると、こんなにたくさんの皆に喜んでもらえるんだ。
この声援を一身に受け止めたかったから、あの子は私に怒ったんだね。
トレーナーも、応援してくれる商店街の人も、観客の人も。
私がG1で1位を取ったら、この観客の皆みたいに喜んでくれるかな？

トレーナーは、また私をギュッてしてくれるかな？

『―――ハルウララ！ハルウララだ！！ハルウララ物凄い足で突っ込んでくる！！』
私は私の為だけじゃない。皆の為に走るんだ。
ウララが居てよかったって。思ってくれる人皆の為に！だから私は―――

「負けられないんだよ、スペちゃあああああああああんんッ！！！」
『差は2バ身、1バ身！！届くか！届くか！！今二人重なり合ってゴールインっっ！！！！内スペシャルウィーク残したか、外ハルウララ届いたかーーっっ！？』

――それから。
URAを勝って、ご褒美に連れてきてもらった温泉旅行。
トレーナーと一緒に温泉に入るのは何か恥ずかしかった。女の子同士なのになんでだろう？
いつもはライスちゃんとかとお風呂入ってても全然気にならないのに。
でもこれからもトレーナーと一緒にいるだろうし、回数重ねれば慣れてくるよね？
また練習もレースも頑張って、たくさんご褒美貰えるようにがんばらなくちゃ！

次は勝つから、その時はまたギュッてしてね。トレーナー。

おわり。
ウララ有馬チャレンジハナ差2位供養でした
怪文書なのにメモ帳マークつけ忘れてごめんね

泣いた

>ウララ有馬チャレンジハナ差2位供養でした
俺は泣いた

>ウララ有馬チャレンジハナ差2位供養でした
良くやったな…お疲れ様です

おまえかっこいいよ

>ウララ有馬チャレンジハナ差2位供養でした
あんたもウララも立派だよ…

>ウララ有馬チャレンジハナ差2位供養でした
よくやった！
次は勝てるといいな

2位なのが逆にドラマ性を引き立てているように感じる

2位は2位で専用イベントあるらしいですがどうでしたか？

>2位は2位で専用イベントあるらしいですがどうでしたか？
なんで私は勝たせてあげられなかったんだってなりました
いや着外もなりますけど……

>怪文書なのにメモ帳マークつけ忘れてごめんね
謝らなくていいよ
引き込まれたよ

レース運びが目に浮かぶ力作でしたよ
作戦は差しのままですか？
追込ウララに可能性だけ感じてますが因子が全く足りません

有馬で競るだけで涙が出てくる
何がなんでも勝たせたいけど訳が分からないくらい壁が高い

>レース運びが目に浮かぶ力作でしたよ
>作戦は差しのままですか？
>追込ウララに可能性だけ感じてますが因子が全く足りません
私もチームレースでは追込ウララを使用していますが、有馬チャレンジでは追込因子を入れる隙が無いので差しでやりました
なのでレース描写はフィクション20%ほど混じっています

コースの適性が合ってないようですね
継承で適性を上げれば勝てるかもしれません

たづなさんはさぁ…