とは言え今の彼は心に傷を負っているだろう
トレーナーの彼女だった人が何をしたのかはわからないけど
その不幸を喜んでしまった以上ボクにはソレをとやかく言えない。
取り敢えず大事なのはトレーナーを幸せにすることだ
…そりゃあ、ボクが彼を幸せにしたいけどね。
まぁ、適度にお洒落な服装でいこう、明るい色のものは
今のボクのクローゼットには入ってないからね。

そうやって久々のおめかしをして
笑顔を作って見せる、彼を想えば久々の笑顔なのに
こんなにもしっかりと笑えた、これならしっかり迎えられる。
嗚呼、早く会いたいな、トレーナーはボクと会う事を
喜んでくれるのかな。
約束したのは、お昼の喫茶店
そう言えば、そういうお店に行くのは久しぶりだ。
懐かしい、レースがうまく行った時もこうやってデートしたんだ
早く時が過ぎないかな、待ち遠しい時間があることは本当に久しぶりだ。

そうしてボクは喫茶店で静かに待っていた
周りから視線を感じるのは久しい、だけどボクはもう
何年も表舞台に居なかったからトウカイテイオーだとは
そうそうわからないんだろ。
待ち焦がれた声がした
「ごめん、待たせた」
「大丈夫だよ」
トレーナーが居る、あの時は暗くてわからなかったけど
逞しくて、又大きくなって見えた。
「そんなに時間が経ったんだね…」
「ああ、俺も信じられないよ」
ボクも、いつの間にかこんなにも変わってたんだ
他人の変化で初めて気づける。

「…しかし、トレーナーは優しいのにどうしてなの？」
「何も悪い事はしてない、そう思ってたが、それ以上に
俺は何もしてなかったんだ…」
「どれってどういう？」
「夫婦らしい事してやれなかったんだ、トレーナーの仕事ばかり
俺はずっとやってて時間を作ってやれず何度も怒られたよ…」
「ふぅん…」
確かに、ボクもトレーナーは勤勉だと思うけど、ボクの事を見てくれてたよ
なのにそんな事になるのかな？
「そうして溝が埋まる事は無く、いつの間にか別の男を作ってたが…
俺は、それを知った時…」
一際暗くなった顔でトレーナーは言った。
「"これで変に口出しされないな"なんて思ってたんだ…俺は、最低だ」

それを聞いたとき、ボクは別に失望も何もしなかった
トレーナーは真面目だから自分が悪いと思ってるのだろうし
実際あまり良くない対応だったのだろうとは思うけど。
ボクはただ、合わなかったんだろうと思った。
「ボクはどう過ごしてたか見てなかったから、深くは言えないけど
別に、相性が悪かっただけだと思うよ？」
「そりゃあ、テイオーと俺は上手くやれてたかもだが
あの時はもっと俺からもすべきだったんだよ…」
「…でも、もう色々終わっちゃったんでしょ？
その人は覚えてないよ、トレーナーの事は絶対に」
「そう、だよな」
「んもー！慰めに来たんだし、トレーナーも明るくやろうよ！
せっかくボクもおめかししてきたんだしね！」

トレーナーの目がボクを眺める、懐かしいなぁ
でも今のトレーナーの目は昔よりも繊細で、細かいところまで見てる気がする。
「確かに、綺麗になったなテイオー」
「そう？ 昔と比べても、ちょっとだらしないかもだよ？」
「大人になったさ、見違えるほど」
「にしし、トレーナーにそう言ってもらえると、嬉しいよ」
哀しそうな眼をしないでよ、ボクはすぐそこにいるんだよ？
君が望めば…いや違う、前はそうやって失敗したんだ
今度はボクから手を引いて、求めたらいいんだ。
「そうだ、久々に会えたんだしもっと遊びに行こうよ！
暗いまんまじゃ反省も上手く出来ない、そうでしょ？」
「…ああ、そうだな」
そうやって飛び出した、大丈夫だよ
ボクが忘れさせてあげる、幸せにしてあげるから。

嗚呼、幸せだ。
久々にショッピングなんかして、服を選んでもらった
お礼に今のトレーナーに似合う物なんかも選んだりしてさ。
お金だけはいくらでもあったから、なんだって出来るけど
「悪いから」
そう言って奢ってもらったりすると心が幸せになる。
ねぇ、トレーナーは幸せかな？
ボクと一緒で幸せになれるなら、ここから先の人生をあげるよ
その笑顔はボクと一緒だから作れたんでしょ？
遠慮なんてしなくても良いんだから…
今のトレーナーは、フリーなんだから、行くよ？

「ねぇトレーナー」
「ん？どうかしたか？まだ行きたいところとか…」
「違うよ！ただ、言いたいことがあってさ」
「そうなのか？」
言葉を整理する、こんなにもいっぱい言葉が沸き上がって
どうしようもないけれど、全部言ったら困らせちゃうよね。
だから、頑張って纏めるよ。
「まず、居なくなってごめん…本当に」
「良いんだ、俺も悪い事だった」
「あと、ボクはまた会えてうれしかった、ずっと会いたかった」
「…」
「もしも、まだチャンスがあるなら…さ
ボクが、トレーナーを幸せにするよ、約束する」
「テイオー…」

「勘違いしないでよ、コレは…ボクが今も好きだから言ってるんだし
だから…もしも、そうなら…手を取って、お願い…」
ボクは、目を瞑った
破裂しそうな程の鼓動を聞いて待つ。
もう祈る事しかできなかった、ここで別れるなんて出来ないよ。
……そして、ボクが耐えかねて、目を開くと
そこには、涙を流しながらボクの手を取るトレーナーが居た。

「テイオー、俺は…俺は…！」
「良いんだよ、ボクは知らない、君が悪い人でも
ボクは知らない、あの学園の思い出と今日が全てなんだ」
「ごめん…こんな、こんなトレーナーで」
「ボクはずっと、待ちかねてたんだ…」
大丈夫、大丈夫だよ…
ボクだってこんな事してるんだから
二人で悪い方が、返って傷をなめ合えるよ。
こんなにも時がたってこんなにも大きくなったトレーナーが
押しつぶされて、こんなにも小さく感じる。
でも大丈夫、ボクが、ボクが…ずっと…
だから、ありがとう。

傷モノ同士の方が返って気持ちがいい、そう思うトレーナーなのであった

共依存いいよね…

いい...

本日の天気は雨のち晴れ
バ場は稍重となっております

>バ場は稍重となっております
ちょっと重すぎません…？
私の性癖には合っていますが

本当かー？本当に晴れるのかー？

雨の影響出過ぎじゃない？稍重で済む？

晴れれば湿気は飛ぶんだ
泥もいつかは乾いて落ちるんだ

雲の切れ間から薄暗い陽射しを感じる陽気となる見込みです

ブランクを超えて奇跡の大復活するかつての最強こんびいいよね…

美しい程に完成していた天才と秀才が大きな傷を負って歪んでしまって
そのまま二人で傷を埋め合って更に歪になっていくのに本人はどこまでも幸せなのが美しいと思うんです
もちろんそれが完璧なまま幸せに彩られて傷一つない幸せを抱いて歩いていくのも大好きだけど
それはそれとしてそこに欠損や傷や涙があると愛せるんですよね
つまりは手の届かない理想郷で笑うテイオーも地に落ちて汚れてなお幸せに食らいつくテイオー
どちらも一種の芸術的な美しさがあっていいと思うんです
例えそこにあの日輝かせた若さも快活さも失われていたとしても
天才は更に美しい何かを身にまとって惨めでも不幸でも
踊りを辞める事はないと信じているトレーナーなんです

あいつ

でもここからもう一回テイオーがトレーナーと組んで天下取り直したらめちゃくちゃかっこいいと思う

俺今すげー気持ち悪い笑顔になってる

わかるよ

多少欠けてた方が噛み合うよね

傷一つなくても隙間なく合わさるだろうけど傷が出来た時は深く繋がり過ぎて離れられなくなるんやなぁって

あいつ
わかるよ

あいつ
良いよね…

因みに前妻殿は非の打ち所がないとまではいかなくとも普通のお方です、合わなかっただけです

テイオーは原作からして失ってなお取り戻すみたいなところあるから
まあ最後にまた無くすんだが

>俺今すげー気持ち悪い笑顔になってる
そしてすげー気持ちよくなってる