テイオー(1) キッカケは、ちょっとした遊びだった。 テイオーを少し甘やかしすぎて度を越えた我儘を 半ば冗談とは言え口にしたので、お仕置きをしてやろうと思い。 ふと思い出した幼少期の記憶で、自信がされたお仕置きをしてみた 思えば…いくらテイオー相手、いやそもそも多感な少女にすべきモノでは無かった。 それは、ほんの少し前の日の事だ。 「ねぇねぇ、トレーナーはボクの為に頑張ってくれるんでしょ? …ならいっそ結婚して一生世話してくれても良いんだよ?というかそれが良くない?」 「お前なぁ、そういう事はあんま言うもんじゃねぇぞ」 女の子がそう易々と結構とかは口にするもんじゃないだろう…少し呆れて 少々灸を添えてやろうと思い、テイオーを抱きかかえてやった。 「あわわっ、ちょっとー!何するのトレーナー!」 「今回ばっかしは、言って聞かせるだけじゃ足りなさそうだからな」 そうして…俺はテイオーを膝の上に寝かせた。 「と、トレーナー?何するの…??」 俺は黙って手を擦り合わせる、狙いは小ぶりな尻 …そう、百叩きである。 昔オカンに何度もやられた記憶がある、恥ずかしいし何より辛いので 注意された事はその後しでかす事はほぼ無かったのが 今回テイオーに仕置きするという理由になっていた。 「なぁテイオー、そういや前も似たような事言ってたよな いいか?そういうのは自身の立場を考えるべきだろう?」 「で、でもココは僕らしか居ないし…」 「パパラッチもあり得るし、そもそも外でも言うだろ! この前も飯に連れてけば「恋人みたいだね~」なんて言うしな!」 「そ、それは感想だもん!」 「言い訳無用!」パァンッ! 綺麗な音が響く、テイオーの尻尾が跳ね上がり 小さな悲鳴が上がった。 「トレーナー!?今、お、お、お尻叩かなかった!?」 「テイオーが聞き分け悪いからだぞ…」 膝の元でワタワタするのを抑えて静かに答える。 「いいか、お前は今大注目の三冠バでパパラッチだけでなく 一般の皆様の注目を浴びてるんだぞ」パァンッ! 「ひぅん!」 「それなのにそんな言動を続けて根も葉もない噂が立ったらどうなる?」パァンッ!! 「ひゃん! わ、わかんないもん!」 「俺と恋仲だとか下らない噂に邪魔されたり大事な期間に そう言ったことをするウマ娘とトレーナーに思われるかもしれない」パァンッ!!! 「うぅんっ!…」 「噂ってのは怖いんだぞ、わかるか?」パァンッ!! 「ぃんっ…わかんないぃ…」 「人の噂も七十五日、なんて言うがなテイオー」パァンッ!! 「ぁうっ…ぅん…」 「今の世の中そう簡単には忘れてもらえないのが普通だ」パァンッ!! 「あぁっ!…」パァンッ!パァンッ!パァンッ!!! 「いっ…ああああ…」パァンッ!パァンッ!パァンッ!!!! そうやって説教はヒートアップ、これまでも度々注意していたのもあって 完全に目の前見えてない状態になってしまっていて…。 「…と、いう事で、分かったなテイオー、これからはもう少し言動に…ん?」 「はぁ…っ、はぁ…っ」 「て、テイオー?」 「ごめん…なさい…っぃ…」 しょろろろろろろろろろろろ… 俺の膝と、テイオーと…全てが大変なことになって その日は本当にてんてこ舞いになってしまったし。 その後はテイオーに頭を下げて慰めてと 説教も完全にミスってしまったのだが…。 何よりの問題は、その後だ。 「あ、あのさトレーナー?」 「…どうかしたかテイオー?」 「今日のトレーニングで、姿勢が崩れちゃってさ 普通に反省するのじゃ治らないかもだから…」 「………………」 「お仕置きしてくれたら、ボクもしっかりできそうなんだけど…♡」 何もかもミスってしまった俺は、テイオーの大事なものを歪めてしまった。 「あはぁんっ」パァンッ! あんな事をしてしまったのもあり、俺は強く止めることが出来ず 言われるがままに責め叩くのをズルズル続けてしまっている。 「ボク…これでイイ子になれりゅ…」 効果は出ている、というか出てしまっていて テイオーはあの日以来叩けばその分強く賢くなっている。 トレーニングやレースの反省、勉強での悩み 立ち振る舞い、技能、何から何まで…。 叩く程妖しく呻く彼女に私も判断力が少しずつ削れているようで もはやあの失敗を取り返すことは出来そうになかった。 ………すまないテイオー、本当にすまない 君の未来を想ってなどという傲慢で、結果的に歪ませてしまうなんて。 償うように強めにスナップを効かせて叩き。 彼女を喜ばせる事しか、今はもうできそうにない。 ルドルフ(1) 最近、テイオーの調子がいい。 それに対して悪いとは思わないし、テイオー程なら これだけの成果を叩き出すのも頷ける才覚がある…だが。 ただの才能や上手くいってるのとは違う、何か決定的な変化が テイオーの身に起こった、そう思えた。 それも、ただの決意や覚悟とも違う、何せ… 彼女の目は私のように色を知っていたからだ。 私も長い付き合いであるトレーナー君とは、ただのパートナーから 少し進んだ関係だと言える、故にテイオーの変化もわかったのだが…。 何か、こう私の中の内に、彼女に惹きつけられるものが別にあったのだ。 そんな想いを秘めてから、ある日の事 私はテイオーと二人きりで話をする機会が出来た 彼女の今の喜びや、背を追うだけではなくなった決意を聞き トレーナーと二人三脚で進んでいくという、微笑ましくも熱いものがこみ上げる話だ。 その内テイオー自身の話や生活の話なども楽しむ内に。 私はふと、今の躍進になにかキッカケはあるのか聞いていた その話を振った途端に、テイオーの目は桃色に揺れて見えた。 「……カイチョーにしか話すつもりないからね?」 「ん?ぁ、ああ、わかった」 そうして彼女が話した、彼女の悦びを聞いた時 どくん、一際大きく私の中で何かが揺らいだ。 「もしかしたら、カイチョーも"合ってる"かもね」 そう呟く彼女の瞳に…私は吸い込まれていき… 「トレーナー君、トレーナー君いるか?」 熱に浮かされたように、トレーナー君のいる部屋の扉を叩く 中からは軽く返事が返ってきて、間もなく扉が開かれる。 「ルドルフ、どうかしたのかい?」 「…すこし、頼み事があるんだ」 「?まぁ、上がってくれ、中で聞くよ」 少し弱った言い方だからか、トレーナー君は訝しげに返したが 優しく部屋に招いてくれる、ああ、嬉しい。 そうして彼の部屋で机を挟み、私と彼は向かい合った。 「それで…一体どうしたんだ?」 「それは…その…だな…」 私は、この心から溢れ出る望みの為に その名の背負う神威を、積み上げた想いを 今この瞬間だけは、全て忘れて彼に頭を下げて言った。 「私を、私の尻を…力いっぱい叩いてくれないか」 「ル、ルドルフ!?」 「一度でいい!今日この瞬間だけでも構わない! だっ、だから…」 懇願に近い、しかしそれ程までに私はその倒錯した行為に惹かれてしまった。 お願いだ、お願いなんだトレーナー君… そんな私の勢いに押し負けたのか、彼は小さく 「わかった…」 そう答えてくれた。 今、私はトレーナー君の部屋で、壁に手を付けて 今日まで誰にも晒されていなかった尻を露わにして 制服のスカートを下げて下着を晒し。 尻尾もピンと立て、その時を待ちわびる、まだか、まだか… 「ルドルフ、改めて聞くけど… 全力で、なんだな?」 「ああ…お願いだ」 屈辱的な姿勢で、恥辱を待ち構える。 彼は大きな手を広げる、これまで幾度となく私を優しく撫でたその手を そして、その瞬間は訪れた。 スパァアンッ!!!!! 風を切り振られた手が私の筋肉詰まった尻を叩く 激痛と、甘美な電撃がこの身を駆け巡る。 痛い、痛い、気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい。 尾の付け根が震える、脊髄に弾けるキャンディが詰まって砕ける 脳髄を走り回って、脱力しきった脳を悦楽の雪崩が打ちのめす。 耐えられない、あしにちからがはいらない、だめだ、見ないで …いや……みて…♡ 腿に温かなものが伝って、床に広がっていく 後ろでは心配するトレーナー君の声が、鼓膜に響いて幸せだ。 じんじんと私の大きな尻に残った甘い暴力の余韻は 未だに私をおかしくして、決定的な変化をもたらす。 もう、忘れられない、暴力と快楽の衝撃が 私の脳の隅から隅までこの恥辱の記憶を焼き付けて。 この身に宿っていた何かが叫ぶ、本能的に声を上げる。 見てくれ、トレーナー君、この姿を そして、願わくば罵倒して、教え込んでくれ。 『今のお前は最低最悪だ』そう教えてくれ。 …ぁんっ… ダメだろう、そんなに優しく摩られたら 私が、私が…わるい子に、なってしまう。 ダメダメダメ、教えないといけないのに、教え込むべきなのに 優しく、大事にしたら、我慢が効かなく… あ♡ そうして、私は煮えたぎる様な情欲を呼び覚まし 後戻り出来ない場所に投げ出された。 心にこびりつく濁った欲望は、この身に宿すには余りにも穢れていた。 だが、仕方のない事だろう、こんな幸せを覚えたら、戻れはしない 堕ち切った瞳で彼に訴えかける、私はこんなに堕落した事を。 思慮深い彼の事だ、これでわかるのだろう… 嗚呼、彼の選択が待ち遠しい。 この快楽から引き離し、どうにかして私を引き上げようとしてくれるか 或いは、この爛れた欲望を、果たしてくれるのか。 早く、早く聞かせてくれ。 ……その日から、二週間 強いショックを覚えた彼は、目を合わす事すら難しいようだったが ある日、私は彼の部屋に再び招かれた。 私は涼しい顔を貼り付けて彼の答えを待った、尻を下品にも疼かせて。 そうして出された結論は…酷く都合のいい物だった 私のにとって、全てが。 「俺は、ルドルフに対してそんな事はできそうにないと、そう思った」 「…仕方のない事だ」 「だけど、向き合うべきだとも思った、その望みに対して」 「それは、どういう事だ?」 「……ルナ」 「っ!」 その呼び方は狡いだろう、そう来るなんて予想外だ いや、流石は私のトレーナー君だろう。 「君が悪い子になったのは、俺が甘かったからだ ルナの言うなら…そう言い訳して断るべきものを見失い 大人としてすべき事を誤ってしまった、だから」 だから、だからどうしてくれるんだ? 「ルナ、君と話しあって、向き合って そして…お仕置きするよ」 「ふふ、あははは…君に出来るのかな?」 「するさ、責任がある」 ゆらりと立ち上がるトレーナー君は 片手に細身の何かを構える、いいな、そう来たか その鞭で、私を…… その夜、何かが叩かれる音は鳴りやむ事は無かった。