二次元裏@ふたば

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188382 B21/04/07(水)06:51:15No.790508979+ 10:06頃消えます
春。
出会いと別れ、恋の季節。
そんな私は一流のウマ娘として成果を挙げていて、相応しい一流のトレーナーがおり、その仲は推して知るべしといったところ。
趣味よし、家柄よし、相性よし。さらに言うなら見目麗しく、日々の管理によりバ体よし。キングヘイロー主催トレーナー選抜なら二重丸が三つ並ぶ素晴らしいトレーナーだ。
しかして問題は────
「どうして女性なのかしら……」
そう、干支を一巡しない程度に歳上の女性。さらに言うなら、その耳が示す通りのウマ娘なのだ。
互いの好意ははっきりしていて、その間に立ち入るものは一切なく、生涯を誓い合う事だってやぶさかではない。
しかし女性同士が婚姻を結ぶ事は難しく、なんといっても互いに良家の良血。子を望む声は、黙した口から漏れているもので。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/07(水)06:51:35No.790508997+
殺風景なトレーナー室に、溜息がこだまする。
彼女と一緒に迎える春も珍しくなくなってきたこの頃、先輩後輩、同期にトレーナー、様々な形で春づいていく事に、なんとなく溜息が出てしまう。
男女の関係。自然な風景。私たちとは違う、あるべき姿。
母には未だはっきりとは告げておらず、彼女もまた、家には一切申し出ていない。
互いにこの関係がよくない事だと知っているから、どうしても言い出せないのだ。
そして、この関係をどうしても断ちたくないが故に、走っている自分がいる。
キングとしての使命はもちろん、輝き続けるという宣言は根底にあり続ける。しかし、その底にある影ともいうべき、彼女との関係という欲求もまた、無視できぬほどに広がっていて。
その強い思いが、パフォーマンスに良い影響をもたらしているのも事実としてある。
この関係を引き裂かれるくらいなら一敗地に塗れようとも走り続けるという気持ちが、原動力になった事もある。
221/04/07(水)06:51:51No.790509011+
「えぇ〜……そんな────、そうですけど────」
部屋の奥からは、電話をする声。
私と違って、家とは少し距離を取っている彼女が電話をしている姿は珍しい。
声色からして、それなりに困らされている事は伝わってくる。家に顔を出せとか、その辺りだろうか。
眺めていると、窓の方に向かい、私に背を向けていた彼女から、大きな溜息が聞こえる。
背筋は伸びていても、ぺったり寝た耳から良い報せでない事はありありと伝わる。
「珍しいものね」
「……うん」
もはや、体裁を取り繕うのも難儀な様子。
そうとあらば私の出番。いつでも一流に相応しい状態でなくては困る。愛しきパートナーのメンタルケアだって一流にこなして見せよう。
「それで、どんな事を言われたの?事と次第によっては、私からも物申すわ」
────静寂。
間違えたかもしれない。三流の言い方だっただろうか。
いや、違う。これは────
321/04/07(水)06:52:07No.790509024+
「……ありがとう。でも、キングには迷惑かけられないよ」
思い詰めた笑顔。きっと、悩みに悩んでこの言葉を吐いたのだ。
本心から出た感謝に、飲み込みきれない程の哀しみが乗った言葉だ。
「不愉快だわ。このキングが、あなたの悩みを迷惑に感じる冷血だと思われていたなんて」
思わず、冷めた声が出る。本心から出た、哀しみと怒りの声だ。
その声色の真意は流石に伝わったようで、彼女の顔色はより悪くなったが、ようやく何事があったかを話す気にはなったようで。
重々しく開いた口から、ついに出た言葉は。
「実はね、見合い話を持ちかけられて。
 未婚でいられる歳でもなくなってきて、父にも怒られちゃった。孫はまだかって、母にも言われてさ。
 何度も何度も断ってきたけど、もうそろそろ────」
そう語る彼女の目からは、涙が伝う。
421/04/07(水)06:52:27No.790509044+
────分かっていた。いつかは終わりが来る関係なのだと。
いつか別れ、互いに家庭を持つのだと。
その終わりが、今来ただけのことだと、分かっていたのに。
あれから、感情のままに互いに叫んで、わんわん泣いた。床が浸かるんじゃないかというほどに涙を流し、へたり込んだまま抱きしめ合った。
ぐしゃぐしゃになった顔を見せないように、強く強く抱いて、最後はただ一度、唇を重ねた。
寮に入るなり寮長に、廊下ではスペシャルウィークに、部屋では同室のウララに心配され、そのたびにただ一言、なんでもないと言い張り続けて。
なんでもない、なんでもない。私の恋なんて、なんでもなかったの。
あなた達のように、続きが描かれる恋ではなかったの────
521/04/07(水)06:52:41No.790509053+
思わず、涙が溢れる。
隣からは私を心配する、心優しい声。
そんな声が、私を心配する余りどこかへ消えていくのが聞こえる。
ああ、恵まれている。ライバルに、後輩に、先輩に、仲間に。
ただ、たったひとつ、恵まれなくて。

ぐちゃぐちゃな聴覚に、着信音が鳴り響く。
ベッドに投げっぱなしていたスマホの画面は、母からの着信を報せている。
────ふと、以前に言われた事を思い出す。
「いつかの未来を、考えておきなさい」
ああ、今か。
退き際はここか。
この電話の先で、言うべきはそれなのか。
泣きすぎて枯れた頭で、電話を取った。(続)
621/04/07(水)07:14:52No.790510504+
助けてタキオン
721/04/07(水)07:18:59No.790510824+
地獄か…?
821/04/07(水)07:44:56No.790513210+
ちゃんと幸せな最後はあるんですか!?
921/04/07(水)07:48:34No.790513561+
朝一流で動悸が止まらない
1021/04/07(水)09:09:06No.790522552+
生やすかips細胞か


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