頰を伝った大粒の涙を優しく拭ってくれながら、ライスが気にすることじゃないよ、とお兄さまは温かな声をかけてくれました。
今のライスがお兄さまのためにできること、何かないかな。
お部屋の隅、ゴミ箱に重なるようにして捨てられていたカップ麺の容器を見て、その時、ふと閃きました。
このアイディアは、お疲れのお兄さまを労うことに活かせるかもしれない！

「今日は、ら、ライスがお夕食を作るよ！」

こんな時もあろうかとお休みの日はライス、お菓子だけじゃなくて。お料理の練習もしていたの。
いつもライスのために頑張ってるお兄さまのために、ライスが美味しいご飯を作ってあげるんだ。
いつかそんな日がくればいいなと思っていたけれど。こんなに早く機会が巡ってくるなんて。
お兄さまのお返事を待たずに、マンションの階段を直滑降しながら急いでスーパーに向かって駆け出します。
食材を山盛りに抱えてお兄さまのお家へと戻る頃には日もすっかり暮れて、カラスさんが鳴いている時間。
お仕事の続きを始めようとしていたお兄さまをブルーローズチェイサーでぐったりとさせてから、お料理の準備に取り掛かります。
がんばるぞー、おー！

お米を研いで、炊飯器のスイッチを入れる。
玉ねぎをみじん切りにして（涙が止まらなかったの）フライパンでバターと一緒に、きつねさん色になるまでじっくりと弱火で炒めます。
粗熱を取ったそれをひき肉、お塩、胡椒、パン粉と一緒に混ぜ合わせました。
お塩とお砂糖を間違えていたあの頃のライスとは一味も二味も違います。
こねこね、こねこねとタネを作り終え、油を引いたフライパンの上に乗せて火をつけて。
ハンバーグが焼けるまでには時間がかかるので、その間にお味噌汁の準備です。
前にロブロイさんから教わった通りに、お豆腐を賽の目に切り、お鍋にお水とお出汁を入れて煮立つまで待ったら、お豆腐とわかめを入れます。
そして最後に隠し味。
これを料理に入れれば、ライスさんも彼ともっと仲良くなれますよ、と先ほどブルボンさんに手渡された小瓶の中身を（勿体ないので）少しだけ入れます。

お兄さま。ご飯できたよ……？

気絶するように眠っていたお兄さまをそっと揺さぶって起こします。
テーブルの上の並べられたお夕飯に、お兄さまは目を丸くしていました。
ありがとう、というお兄さまからの感謝の言葉。
幸せな気持ちになりながら、ふたりでいただきますをして、おかずに箸を伸ばします。
なんだか、新婚さんみたい。
心の中で呟いた言葉に、えへへ……と小さく微笑みながら、ぽかぽかしてきた身体を、冷たいお茶を飲んで冷まします。ふーっ。ふーっ。

ライスが作ったお料理を口に運ぶお兄さま。
おそるおそる、ライスは見守ります。
お兄さまは神妙そうな顔のあと、すぐにいつもの素敵な笑顔で美味しいよ、と言ってくれました。
初めてレースに勝った時と同じくらい、ライス嬉しかった！
ライスの作ったハンバーグも、付け合わせのにんじんも、サラダも、……お味噌汁も。
ぜんぶ、お兄さまは美味しそうに食べてくれました。
ライスはトレーニングの時の真剣なお兄さまのお顔も、ライスが落ち込んじゃった時に気遣ってくれる優しいお兄さまのお顔も大好きだけど。
やっぱり、幸せそうに笑っている時のお兄さまのお顔が、一番好きだよ。

すっかり空になったお皿と器を洗い場に下げて、ふたりで一緒にソファーに座ってお喋りをしていたら。
心無しかお兄さまのお顔が赤くなっているのが分かりました。
お兄さま、具合でも悪いの？とライスが声をかけても、いや、とか。なんでもないよ、とか。そわそわしながら、ライスのお顔をぼーっと眺めているばかり。
もしかしたら、お風邪でも引いてしまったのかもしれない。
念のために体温を計らなくちゃ、とお部屋の隅の棚の中に仕舞ってある救急箱から体温計を取り出そうと、お兄さまに背中を向けると、お兄さまはごめん、と一言呟きました。
気にしないで、お兄さま。ライスが返事をする間もなく、次の瞬間にライスのちっちゃな身体はお兄さまの腕の中に包み込まれていました。

ひゃあ！

思わず驚いた声が出てしまいます。
嫌ではありません。寧ろお兄さまにこうされるのはライスの沢山あるローゼスドリームの内のひとつでした。

お兄さま、どうしたの……？

帰ってくる声の代わりに、お兄さまの熱い吐息がちょうど、ライスのうなじのあたりにかかりました。少しかかり気味かもしれません。
そのうち、お兄さまはライスを自分だけのものにするみたいに、ぎゅう、と力強く抱きしめて。
そのまま、ライスの後ろ髪にお顔を近づけました。
するとお兄さまは、はぁ…っ、て。とっても幸せそうなお声を上げながら、すんすんとお鼻を鳴らしました。

ひゃうぅ……。

そのうち、とっても恥ずかしくなってきました。
ライスはさっき、全速力で走って帰ってきて、そのままご飯の準備にかかったから、汗でべたべたしているはずなのに。こんなことならシャワーを浴びておけばよかった。
でも、抵抗はできません。ライスが本気で暴れたりしたら、お兄さまを傷つけてしまうかも。

ライスの考えうる限りの巧みなステップで臨機応変に抜け出そうと試みましたが、今のお兄さまに効果はありませんでした。
その間もお兄さまは、ライスの名前を切なそうに口にしながら、顔をぐりぐり、とワンちゃんみたいに擦り付けてる。
お兄さま、ライスの髪の毛、好きなのかな。
ライスは癖っ毛です。
他のウマ娘さんみたいに、綺麗で艶やかで、さらさらな髪をしているわけじゃないのに……。

何時間もの間、お兄さまの成すがままにされてしばらく。
ふと、お兄さまの腕の力がだんだんと抜けていきました。
お兄さま……？
おそるおそる振り返ると、お兄さまはライスを抱きしめたまま、目蓋を閉じて、ぐっすりと眠っていました。
ご飯を一緒に食べている最中、お兄さまはここの所、ずいぶんと寝不足だったと話していたことを思い出します。
目を覚まさないよう注意を払いながら、お兄さまをお布団まで運んで、隣にちょこんと座り込みます。
幸せそうに寝息を立てるお兄さまのお顔を見ているうちに、いけない考えがむくむくと音を立ててライスの頭の中をいっばいにします。
さらさらなお兄さまの髪の毛を優しく梳かしながら、そっとお顔を近づけます。

───すんすん。

大人の男の人の、少し汗ばんだにおい。
でも、嫌じゃないよ。
太陽のように暖かくて、ライスを幸せにする、とっても安心するお兄さまのにおいが、ライスをいっぱいに満たしてくれました。
そのうちライスも疲れからか、うとうとと船を漕いで。
お兄さまの隣に寝転んで。お兄さまの胸のあたりに顔があたるようにして、目蓋を閉じます。
お兄さまも、朝はパン派だったよね。
明日の献立は何にしようかな。そんなことを考えながら、次第にライスも眠りにつきました。

世界で一番大好きな人の隣で。

ライスの怪文書は人生を祝福させる

可愛い

またありがたい怪文書だ…

いやライスもいいけど
甘酸っぱいのもいいな…

しれっとぐったりさせてる…

あたたかい…
あとブルボンは明日おやつ抜きだ

ブルボンなに渡してんだよ…ありがとう…

>このアイディアは、お疲れのお兄さまを労うことに活かせるかもしれない！
可愛い

>ライスのうなじのあたりにかかりました。少しかかり気味かもしれません。
神威継承してない？このライスちゃん

>お仕事の続きを始めようとしていたお兄さまをブルーローズチェイサーでぐったりとさせてから
何したの？ねえ？

甘口ライスありがたい…

怪文書というやつにはじめて挑戦してみました
見苦しい点などがあったらごめんなさいね
ライスの髪の毛に頭を突っ込んで呼吸したかっただけなんだ

>ブルーローズチェイサーでぐったりとさせてから
ほかほか怪文書なのかうまぴょいまっしぐらなのかちょっと混乱した

ブルボンさんは何を…？

たぶんタキオン印の小瓶

>怪文書というやつにはじめて挑戦してみました
>見苦しい点などがあったらごめんなさいね
>ライスの髪の毛に頭を突っ込んで呼吸したかっただけなんだ
いいんだ…お前は漢だ

あったかくて幸せになる怪文書だ…
それはそうとこのブルボン絶対大声で騒いでる方のブルボンでしょ

素晴らしい怪文書
私の性癖には合っていますね

>ライスの考えうる限りの巧みなステップで臨機応変に抜け出そうと試みましたが
足をばたばたしているライスかわいい

あのすいません全体的にほっこりしてる気はするけど
ブルーローズチェイサーでぐったりさせたり
タキオン印の謎の薬入れたり
端々危険では？

>怪文書というやつにはじめて挑戦してみました
>見苦しい点などがあったらごめんなさいね
>ライスの髪の毛に頭を突っ込んで呼吸したかっただけなんだ
お前は素晴らしい男だ
スウェーデンの雪原を生き抜くドルフ・ラングレンのような男だ
次を期待している

>お仕事の続きを始めようとしていたお兄さまをブルーローズチェイサーでぐったりとさせてから
急に破壊力を発揮するんじゃあない

>怪文書というやつにはじめて挑戦してみました
>見苦しい点などがあったらごめんなさいね
>ライスの髪の毛に頭を突っ込んで呼吸したかっただけなんだ
私の性癖には合っていますね
今後の活躍が期待されます

>ブルーローズチェイサーでぐったりさせたり
強い決意でお兄様は座ってて！しただかけだよ？
>タキオン印の謎の薬入れたり
ブルボンさんから貰ったものを疑うのはよくないよ？
>端々危険では？
なんにも危なくないよ？

あの短剣を持って歩いてるわけもなく
持ってても刃のない小道具だろうからせいぜい峰打ちか手刀だろう

>持ってても刃のない小道具だろうからせいぜい峰打ちか手刀だろう
刃が無くても金属の塊をゴツンとやれば十分重く痛いんだ

>さらさらなお兄さまの髪の毛を優しく梳かしながら、そっとお顔を近づけます。
イケメンなのかお兄さま
イケメンだろうな…

わたしこういう健全な甘々好き！

おはようごさいます！！ライスさん！！
昨晩はおたのしみでしたね！！
？？

>持ってても刃のない小道具だろうからせいぜい峰打ちか手刀だろう
違うよお兄さま？
これは触媒で霊気を込めてね…剣よ伸びろ！って

ウワーッ！カッケーッ？！

めちゃめちゃ優しい人達が不意にみせた厳しさだったのか…

>怪文書というやつにはじめて挑戦してみました
>見苦しい点などがあったらごめんなさいね
>ライスの髪の毛に頭を突っ込んで呼吸したかっただけなんだ
貴殿の行為に敬意を表する

霊剣による斬撃で意識を断ったか…

ブルーローズチェイサー（首への手刀）

それじゃライスシャワーが結果的にウマ娘最強になるやつじゃないか！
最強だったブルボンがウマ娘やめたとかで！

実況とスキルを挟むなや！！

彼女の脚質には合っていますね！

薬を盛られてもライスの髪の中で呼吸する程度で耐えるお兄さまは鋼の意志でも持ってるの？

普通の女の子なら大の大人一人運ぶのは無理だがウマ娘なら可能か…

>薬を盛られてもライスの髪の中で呼吸する程度で耐えるお兄さまは鋼の意志でも持ってるの？
大好きなライスを傷付けるなんてできるわけないだろ

>薬を盛られてもライスの髪の中で呼吸する程度で耐えるお兄さまは鋼の意志でも持ってるの？
使いづらくておかしいと思ってたんだよ…
これ元々トレーナー用スキルだな？

ブルーローズチェイサーでぐったりさせておいて暴れたら傷付けてしまうことを気にするのかわいい

>少しかかり気味かもしれません。
ここだけいつもの実況ホイスで再生されてだめだった

包丁に手を添えて突進してくるライス想像したらだめだった

>薬を盛られてもライスの髪の中で呼吸する程度で耐えるお兄さまは鋼の意志でも持ってるの？
ライスが全部入れてたらさすがに危なかったかもしれん…

ライト・ライスシャワーはお兄さまの匂いを嗅いでみたい邪な気持ちをコントロールできない…

>これ元々トレーナー用スキルだな？
ああ、トレーナー白書ってそういう…

>これ元々トレーナー用スキルだな？
じゃあこれ渡してくるサトイモはなんなんだよ
試練でも与えてくるつもりなのか

>じゃあこれ渡してくるサトイモはなんなんだよ
>試練でも与えてくるつもりなのか
イベントで手に入るスキルは全部トレーナーがふと思い付いたものだから…

（誘惑に耐えられない時に使って下さい）
と書いてある

>ブルーローズチェイサーでぐったりとさせてから
ブルーローズチェイサー（手刀）

>嫌ではありません。寧ろお兄さまにこうされるのはライスの沢山あるローゼスドリームの内のひとつでした。
ここすき

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

どうして…

ぐえーっ

ひどい
ひどい

ライスだから許すが…

ウマ娘の力で

ﾄﾞｺﾞｫ