二次元裏@ふたば

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214047 B21/04/02(金)23:21:08No.789198329そうだねx2 00:21頃消えます
「と、トレーナー……」
「どうしたターボ」
「ターボもう帰りたい……」
「なんだと?」
「だって今日のレースフルゲートだよ? 18人同時に走るんだよ? 18人だよ!? 野球出来る人数なんだよ!?」
「今からやるのは野球じゃなくてレースだろうが!」

控え室に騒がしい声が響き渡る。
トレーナーである俺は部屋の片隅で身体を丸めたまま震える担当ウマ娘、ツインターボと対峙していた。
彼女は額から滝のような汗をかきながら、青褪めた顔を歪ませている。

「で、でもでもでもでも! あんな人数が居るなんて……あんな多い集団の中で走るなんて……ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「ターボぉぉぉぉぉぉ!?」

俺の担当ウマ娘、ツインターボは青髪を揺らし、頭を抱えて縮こまってしまった。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
121/04/02(金)23:22:02No.789198710そうだねx1
俺がターボの専属トレーナーとなって早半年。
彼女が出走直前で萎縮し、震え上がらないレースは一度たりとも無かった。
メイクデビュー戦の時も、出走直前までこうして部屋の隅で一人震えており、その時はなんとか言葉巧みに誘導して走らせたものの、何度も同じ手がそう簡単に通用する訳ではない。
有マ記念や天皇賞と同じ形式、初めての18人レース。
脚質的に中距離が得意なツインターボにとってこのレースは自分の力量を計る上では最適なのだが……まさかここで引っ掛かるとは思わなかった。

ターボはビビリ……いや、最早ビビリという範疇を超えている。

集団生活が特に苦手で、レースでは毎度の如く、『バ群に飲まれるのは嫌だ』と大逃げを仕掛け、レース終盤で体力を消耗し切って疲れ果てては最後方に沈んでいく——というレース展開を繰り返している。
勿論その性格は私生活も変わらず、集団の中に放り込まれると『みんながターボの悪口言ってる!』と言い出して縮こまってしまう。
221/04/02(金)23:22:45No.789198977そうだねx1
世界の終焉を迎えるような顔で言う割にはそんな事実は無く、単なるターボの気のせいなのだが、彼女は断固としてその事実を認めず、集団に入ろうとはしない。
良くて数人のグループ……教室やレースのように人数が二桁を超えた途端、このように震え上がり、ビビリ散らしてしまうのだ。

今回もその症状が出てしまい、出走前でバ群に入る事を恐れ、ゲートインを拒否している。既に出走予定の他のウマ娘はゲートに向かっている頃だろう。
そろそろゲートに向かわないとマズイ。
そう考えた俺はターボの前に歩み寄るとその場に屈み込み、ポケットに手を突っ込んだ。

「ど、どうしたんだトレーナー……?」

声を震わせながら俺の顔を見上げるターボの眼前に差し出した手の平には、ポケットから取り出した飴玉が乗っていた。
サイダー味。
ターボの髪の色と同じ綺麗な色だ。
321/04/02(金)23:23:46No.789199399そうだねx1
「これ、レース終わったらご褒美としてあげるぞ」
「ほ、本当!? やったぁ!」
「しかも、これだけじゃない……一袋分だ」
「!?」
「このレースで入着したら、帰りに一袋分買ってやるからなぁ!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

その瞬間、ターボのウマ耳と尻尾がピンと立った。その幾重にも重なったよいな模様が刻まれた双眸がキラキラと輝いている。

「ほ、本当にいいの!?」
「勿論! だからこのレース、全力で頑張ってくれよ!」
「分かった! ターボ頑張る!」

そうそう、これでいい。
遂にターボに火が付いたようだ。その瞳の奥には轟々と蒼い炎が燃え滾っている。
421/04/02(金)23:24:13No.789199594そうだねx1
その姿を見て俺は頷くと、溌溂とした動作で立ち上がったターボの両肩に手を掛けた。

「ターボ、作戦は?」
「大逃げ! ゲートが開いた瞬間全力疾走でハナを取る!」
「周りは?」
「見ない!」
「逆噴射して疲れたら?」
「最後まで頑張る!」
「ターボは!?」
「最速!」
「ご褒美は!?」
「たくさんっ!」
「よっしゃ行けるぜ行ってこぉぉぉぉぉぉい!!」
521/04/02(金)23:24:36No.789199747そうだねx1
檄を飛ばしながら背中を叩くと、ターボは弾かれるような勢いで控え室から飛び出し、ターフへと姿を消した。
細い息を吐きながら、俺は呟いた。

「あの調子がずっと続けばいいんだけどなぁ……」

ターボは肉体年齢の割に精神年齢が幼いので、お菓子などで簡単に口車に乗せる事が出来る。
ご褒美を貰う事に夢中になるあまり視野が狭窄し、その間はいつものビビり症が出なくなるのだが、ふと我に帰った瞬間、途端に調子が悪くなってしまう。
今回はいつもよりご褒美の量を増やしてみたものの、いつまで持つかは分からない。

出来ればこのレースが終わるまで、ゴールラインを駆け抜けるまではどうか、純粋無垢で猪突猛進なバカであってほしい。
そんな淡い期待を胸に、俺はターボの勇姿を見るべく観客席へ向かった。
621/04/02(金)23:25:05No.789199938そうだねx12
——結果、8着。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うわあああああああターボの飴玉あああああああああああああああああ!!!!」

結局今日もターボは駄目だった。

でも頑張ったから飴玉は買ってあげた。ちゃんと走れて偉いね。
721/04/02(金)23:25:43No.789200200+
史実でもツインターボは臆病だったらしい
821/04/02(金)23:27:46No.789201049そうだねx3
フルゲートで8着は偉い
921/04/02(金)23:28:30No.789201292そうだねx4
原作のターボ!
1021/04/02(金)23:29:26No.789201630+
ちゃんと走れてえらい!
1121/04/02(金)23:30:07No.789201873+
こんな子がんターボエンジン全開すると思うと吼えろツインターボ!!!!!!
1221/04/02(金)23:31:41No.789202444+
ターボの調教うめーなこのトレーナー
1321/04/02(金)23:40:34No.789205742+
多分トレーナーは父親みたいな心持ちだろうなと
1421/04/02(金)23:43:42No.789206907+
俺この子好き!
1521/04/02(金)23:44:46No.789207257+
原作の方のターボだと終盤に奇策を見せて勝つな…
1621/04/02(金)23:57:51No.789211686+
オールカマーのターボは賢さ特化だったか


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