気がつくともういい時間となっていた。時計を見てぼんやりと空腹を自覚する。目を擦ると涙を流したような残滓が手のひらにくっついてきた。
傍を見ると軽食-食堂から貰ってきてくれたのだろうか-とマヤノからの置き手紙があった。
今日は外泊します、内容はそれだけであったが、何となくありがたいと思った。

おにぎりを齧りながらひとまず自分の仲で情報を整理してみる。
会長とトレーナーがキスをしていた。思い出すと何故だか胸がきゅうと締め付けられる。もしかすると二人は恋人だったのかもしれない。
思えばトレーナーがボクのトレーナーになる前の事は全然知らなかった。このテイオー様の選抜レースの様子を見てスカウトしてくれた、それ以前の事は何も分からないのだ。
当然ボクの実力だってあるだろう、それにしても3冠持ちを担当してる立派なトレーナーだ。尊敬する会長とくっつくのはそれはとてもめでたい事だろう。
そうだと理屈では納得できた、けれども。
「嫌だ...嫌だよ...」
涙が止まらない、この気持ちは何なんだろう。ぐちゃぐちゃな思考のままその解読を諦めて布団に身を委ねた。

目覚ましさえかけていなかったが、体は正直なものだ。いつも通りの時間に目が覚めいつも通り空腹を訴える。
とりあえず身支度をして食堂に向かうと、同じく食事中のマヤノがいたので一緒に食べることとした。
昨晩はマーベラスサンデーの部屋に遊びに行ってたそうだ。
きっと酷い顔をしているだろうに、何も聞いてこず取り留めのない会話をしてくるマヤノが本当にありがたかった。

部屋に戻ったところで、少しは胸につかえたものを吐き出せそうな気がしたので思い切ってマヤノに聞いてみることにした。すっごいレースを見た時とも違う、この気持ちは、なんだろうと。

こんなに酷いアウトプットは授業中寝ちゃってた時の小テスト以来だ。それでもマヤノはゆっくりと話を聞いてくれた。
「それはさー、多分自分でもう答えが出てると思うんだー。マヤもそんなに詳しくは、ない、けどさ。テイオーがトレーナーちゃんをどう思ってるか思い返せばいいんじゃないかなーって。」
なんだか急に気恥ずかしくなってしまった。布団を頭から被りうんうん唸りはじめる。
マヤノからは随分面白く見えてるだろうなと変に冷静なボクがいたりもした。

トレーナー、ボクのトレーナー。ずっと支えてくれた、無謀で無茶な練習で体をダメにするところを助けてくれた。苦しい時も辛い時もいつも一緒、一緒にライバルと向き合って賞を取ってきた、一緒にお出かけもした、ボクの、ボクのトレーナー。
そのトレーナーが会長とつきあう？お似合いだろう、だけどそれは嫌だ、嫌だ、どうして？どうして？

簡単じゃないか、なんたってトレーナーはボクのトレーナーなんだ！
好き、好きだ！相手が会長だろうと渡したりなんかするものか！

急にムカムカと腹が立ってきた。トレーナーにも、会長にも！こんな時にやる事は決まっている！
生徒会室の扉を勢いよく開け、ボクは叫んだ。
「勝負しろ！会長、いやシンボリルドルフ！」

普段はドリームリーグに行っておりあまりトゥインクルシリーズや学園で走ることのない皇帝シンボリルドルフと、3冠を達成し向かうところ敵なしの気鋭の帝王が勝負を行うと言うことで、非公式の試合ながら学内は大いに沸き立った。
本番さながらがいいだろうと生徒会のセッティングにより、黄金世代の面々や我こそはというウマ娘達も加え、勝負は始まった。

肺が苦しい、息が切れる、脚が重い、こんなにも辛いのに、皇帝の背中はまだ遥かに遠くにある。
負けない、譲らない、譲れない、先頭も、その先も...
「ボクのものだああああっ」

ゼェ、ゼェ、ゼェ
悔しいなぁ、追いつけなかったなぁ。

息を切らした会長がこちらへ向かってくる。
なんだ、向こうだって余裕なんかもうないじゃないか。
出された手を取り、立ち上がる。なんだか清々しい気分だ。
「強くなったな、テイオー。楽しかった。」
「ありがとうね会長。ボクもすっごい悔しかった。そしてすっっっっごく楽しかった。」

お互いに健闘を讃えあう。
まぁでもそれはそれとして。
踵をかえして観戦していたトレーナーのもと駆けていく。会長の不意をつけたかな？
ボクだって末脚に自信はあるんだからね。
しかし思っていた以上に体は限界だったようだ。そのまま自慢のステップも繰り出せずトレーナーにぶつかり、意図せず押し倒すような形になってしまった。
その勢いのまま唇を奪う、きっと顔は真っ赤になっていたと思う。
振り向き、宣誓した。
「トレーナーは、ボクのものだからね！」

昨日のルナちゃんトレーナーがテイオートレーナーになったやつの続き風味
じっとりはかけないので誰か

私の性癖にはあっていますよ

私の趣味にはあっていますよ

解説多いな！？

大胆はキスは乙女の特権

大レースだからな…

勝負に負けたのだから潔く退くべきでは？皇帝は訝しんだ

ネイチャ本文にいねぇ！

間違えた、外泊はマヤノだった

重バ場かと思えば一夜明けてわずかに雨が残る良バ場
今後も素晴らしいレース展開が期待されますね

大丈夫？会長怒ってない？

マヤノは気を遣ってマーベラス空間に行ってただけなので

マーベラスのところに外泊＝ネイチャ分のスペース空いてると言う推測かと思った

試合に負けても勝負は諦めない女、実に私好みです

ここのカイチョーとテイオーは爽やかでいいですね

マーベラスとネイチャが同室だっけ
ネイチャならまぁ...

これトレーナーさんの胃大丈夫？

トレーナーの専属制度守らないとこうなると言う教訓

>トレーナーの専属制度守らないとこうなると言う教訓
専属からのチームトレーナーは関係をしっかり精算してからやりましょう

トレーナー業は大変だな…

一人だけ担当して離職する新人が一定数いそう

会長もテイオーも絶対諦めないよこれ諦めて両方娶って

…もう1人くらい育てられる余裕があるのでは？

>…もう1人くらい育てられる余裕があるのでは？
よし、メジロマックイーン行くか！

なんでですの！
なんでですの！

流石にこれに饅頭マックイーン加えると糖度が高すぎる

ねるねるねるねみたいな体に悪い甘さになるわ

会長は走り終わったあとトレーナーになんて言うんだ

ここで実績あるトレーナーに諦め癖が付いてしまった少女ハルウララを立ち直らせてほしいと

>会長は走り終わったあとトレーナーになんて言うんだ
押し倒されたトレーナーさんを助け起こすだろ
その勢いのまま抱き寄せチューするだろ
そのあとテイオーに「勝ちも彼も渡さないぞ」と

もらい事故のようにこういうのに巻き込まれるのはタマちゃんの役割では

>押し倒されたトレーナーさんを助け起こすだろ
>その勢いのまま抱き寄せチューするだろ
>そのあとテイオーに「勝ちも彼も渡さないぞ」と
俺の代わりに続きを書いてくれ

タマちゃんは現状どうやっても解像度が高くならないと思う

>会長は走り終わったあとトレーナーになんて言うんだ
あいむゆあまざー